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  • 【連載】World Baseball Classic あの瞬間をもう一度②

    2023.2.4 11:01 Saturday

     今年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック。第5回となる本大会には20ヵ国のスター選手が「ベースボールの世界王者」をかけた熱戦を繰り広げる。本シリーズでは2006年の初大会から撮り続けているカメラマン田口有史氏が捉えた、代表の母国を歓喜で打ち震わした歴史的な瞬間を紹介する。写真を振り返りながら、感動で泣け叫んだ瞬間、悔しさでうなりを上げた瞬間を思い出そう。

     第1回大会の優勝で、キャンプから大きな注目を集めた第2回ワールド・ベースボール・クラシック。ドジャースタジアムで行われた決勝の日韓戦は、今でも語り継がれるベストゲームのひとつとして記憶に残る。

     日本で行われた一次ラウンドから数えて2勝2敗。決勝で勝った方がまさにこの大会のチャンピオンという状況で迎えたこの一戦。日本が先制し、引き離そうとするも韓国が粘り強く、9回裏に韓国が同点に追いつき延長戦に。

     そして迎えた10回の表、2死1・3塁で打席にはイチロー。キャンプインからの日本中の期待と重圧を一手に受けていたイチローはこの時、出血を伴う胃潰瘍を患いながらも出場を続け、準決勝までの8試合で38打数8安打、打率は.211。得点圏打率においては13打数2安打、.154まで下がっていた。しかし、それまでの不振すべてを覆したのがこの決勝打。

     打ったあともイチロー選手をカメラで追っていたため、打球の行方はわからなかった。イチローさんがボールを捉えたということだけは認識して、打球の行方は目視していない。内川、岩村の本塁生還シーンにもレンズを向けていない。イチローの表情を追い続け、一塁ベースを回るこの瞬間に勝ち越しのヒットになったということを理解した。

     9回裏に韓国に追いつかれていなければ。イチローがこの大会、好調にヒットを打ち続けていれば、このイチローによる決勝打はなかった。様々な状況が絡み合って伝説の瞬間が生まれた。今回はこの第2回ワールド・ベースボール・クラシック以来の5名のメジャーリーガーが日本代表に参加表明をしている。この時のような痺れる瞬間が再び訪れることを期待したい。

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    田口 有史(たぐち ゆきひと)/日系アメリカ人の親戚がいたこともあり、幼少の頃よりMLBに興味を持ち、中学生の頃からよりのめり込む。アスリートになれなかったため写真を始め、MLBを撮りたくてアメリカ留学。そのままフリーランスとして活動をし、30年近くMLBを撮影。全30球団を毎年必ず撮影することを自身に課し、1年の半分近くをアメリカで過ごす。オフィシャル・フォトグラファーとして予備予選なども撮影しているので、おそらく世界で最もWorld Baseball Classicの試合を撮影している。(写真:田口有史)

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  • 【強豪国だらけの世界大会④】過去2度アメリカ撃破のダークホース、初の決勝ラウンドに向けて

    2023.2.4 10:54 Saturday

     2006年の第1回大会から5大会連続出場のメキシコ。2006、2013年大会ではアメリカに勝利したダークホースが、初の決勝ラウンド進出へ最強メンバーで挑む。

     2006年の第1回大会では1次リーグを1位で通過。第2ラウンドではアメリカに勝利し、2013年の1次ラウンドでもアメリカを撃破したメキシコ。今回もアメリカと同じプールCで初の決勝ラウンド進出を狙う。

     監督は、2002年のエンゼルス世界一メンバーで、自身も2006年大会に出場、2021年の東京オリンピックで指揮を執り6位となったベンジー・ギルが務める。

     先発投手には、2021年にメキシコ出身選手では史上4人目の20勝を挙げ最多勝。昨年は17勝、2.16で最優秀防御率のタイトルを獲得したドジャースのフリオ・ウリアスをはじめ、昨季13勝のアンドレス・ムニョス(マリナーズ)、同12勝のタイワン・ウォーカー(フィリーズ)など。

     抑えには、2019年にアストロズでセーブ王の輝き、昨年は千葉ロッテ、今季は福岡ソフトバンクでプレーするロベルト・オスナが控えている。

     打撃陣では、キューバのハバナ出身も、メキシコに亡命。2020年のポストシーズンでは10本塁打を放ち、本塁打数の新人新記録を更新。新人野手初となるシリーズMVPに。2021年にはキューバ出身選手として6人目となる新人王のタイトルを獲得し、2年連続20本塁打を記録しているレイズのランディ・アロザレーナを筆頭に、昨季20本塁打のアイザック・パレイデス(レイズ)など、メジャーで活躍する若手もそろっている。

     アメリカ、カナダ、コロンビア、イギリスとのグループCで、今回はどのような躍進を見せるか。ダークホース的な存在のメキシコも見逃せない。

  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第11話 海と繋がる野球場

    2023.2.4 10:26 Saturday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、MLB全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    海と繋がる野球場

     サンフランシスコ名物の「スプラッシュ・ヒット」は、文字通り、海に飛び込むホームランのことです。ライトスタンドを越え、マッコビー湾に水しぶきが上がると、カヤックに乗って待ち受けるファンが、一斉にボールを追いかけます。

     素晴らしい景観と共に、野球を楽しむも良し、海の上で、その一球に賭けてみるも良し。大自然の恩恵を受けた、唯一無二の体験が出来るボールパークです。

    マッコビー湾を照らす朝日が、とても美しい!

    オラクル・パークへ

     街の中心部へと向かいます。「サンフランシスコ国際空港(東京から直行便で約9時間)」からダウンタウンまでは、電車を乗り継ぐと、およそ45分。車だと20分くらいです。試合前にちょっと足を伸ばせば、ドラマ「フルハウス」のオープニングでお馴染みの『ゴールデン・ゲート・ブリッジ』や、坂道を登るケーブルカー、桟橋の観光地『ピア39』での、朝食やランチを楽しめます。

     潮風に導かれ、大きなヤシの木に囲まれたら…Oracle Park! Nice to meet you!

    巨大オブジェの正体は?

     「オラクル・パーク」の象徴とも言える「コカ・コーラ」と「グローブ」のオブジェ。レフトスタンドに近づけば、見上げるほどの大きさに、圧倒されるはずです。

     「コカ・コーラ」のボトルは、長さ24メートルほど。内側は、鉄の筒が張り巡らされています。実はこれ…子供たちのための『滑り台』になっています。ゴール地点にはホームベースがあって、滑り終えると、スタッフのおばあさんが「セーフ!」と言って、出迎えてくれます。そのお隣には、小さな野球場もあります。

     世界最大と言われている「グローブ」は、なんと実物の20倍!1920年代に使われていた4本指のビンテージ仕様です。写真を撮りに来たファンを、オルガニストが、素敵な演奏で出迎えてくれます。

    コカ・コーラとグローブの巨大オブジェ

    Ballparkの楽しみ方

     とにかく景色が美しい球場なので、色んな角度から楽しみましょう。僕の一番推しは、一塁側最上階席からの絶景です。左からダウンタウンのビル群、ベイブリッジ、サンフランシスコ湾、マッコビー湾を、野球のフィールドと重ねて、一望することが出来ます。ザ・サンフランシスカン・ビュー!開放感、爽快感抜群の、とても美しい眺めです。

    パノラマ写真で、一枚絵に収めたい壮観!

     港町ならでは、充実のシーフードも美味しいものばかりです。クラブサンドは、カニの身がぎっしり入ったペーストを丁寧に塗り込んだ、ガーリックトースト。外はサクサク、中はふわっふわです。

    溢れんばかりのカニの身が!

    スプラッシュ・ヒットに挑む

     「スプラッシュ・ヒット」と呼ばれるのは、サンフランシスコ・ジャイアンツの選手が放った、海まで届くホームランだけです。相手チームの一打やファールボールは、カウントされません。球場がオープンした2000年から、2022年シーズンまでの23年間で「97本」を数えました。平均すると、年間4本のペース。ライトフェンスに掲げられたメーターが、今シーズン「100」の大台に到達する可能性が高まっています。

     さあ、スタジアムでの観戦を満喫出来たら、海に出ましょう!球場に隣接する『シティ・カヤック』は、レンタルのお店。1時間単位で借りられるので、誰でも「スプラッシュ・ヒット」のボールゲットに挑戦出来るんです。船着場では、球団のキャラクターでもあるアザラシが、気持ち良さそうにお昼寝しています。

    多分アザラシ

     マッコビー湾には、大きな船で気ままにパーティーを楽しむ人たちや、岸の上から釣竿でボールを狙う強者まで、三者三様。

     中でも有名なのが、50個以上の「スプラッシュ・ヒットボール」を獲得したレジェンド・デイブさんです。彼に弟子入りしたファブさんは「スマホじゃだめだ。タイムラグがない、ラジオを聴きながら待つ。バッターによってポジションを変え、打球音に耳を澄ませるんだ。」と、師匠の教えを守り、91号を手に入れました。最後は誰よりも早く、海に飛び込めた人が、ライバルとの戦いを制します。中継映像にも映り、ファブ・オーバーボード(=船外活動)というあだ名がついたほど体を張ったと、笑顔で教えてくれました。

     野球の楽しみ方が、こんなにも多様であることを教えてくれる「オラクル・パーク」で、あなただけの体験が出来ることを、心から願っています!

    唯一無二の、素晴らしいひと時を!

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第10話 藤浪晋太郎投手に会いに行こう

    2023.2.3 18:48 Friday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、MLB全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    ベイエリアに、ニュースター誕生

     阪神タイガースの藤浪晋太郎投手が、オークランド・アスレチックスに入団!複数の球団が獲得に乗り出した中、先発投手の柱を求めるアスレチックスのため、剛腕を振り抜くことに決めました。アメリカ・カリフォルニア州の西海岸にあるオークランドは、お隣のサンフランシスコと共に「ベイエリア」と呼ばれます。美しい港町の景色、豊かなシーフード文化、過ごしやすい気候で人気の街です。

     同じベイエリアの強豪NBAチーム「ゴールデンステイト・ウォーリアーズ」は『ベイエリアへようこそ⚾️🤝🏀』と、野球とバスケットボールが握手をする絵文字付きで歓迎しました。

     地元紙も『このオフ、最大の補強!』と期待を寄せています。猛虎から白象へ。メジャーリーガー・Shintaro Fujinamiが、力強さに磨きをかけ、夢の舞台で躍動してくれるはずです!

    オークランド・アラメダ・カウンティ・コロシアムへ

     通称『オークランド・コロシアム』は、サンフランシスコの北東、カリフォルニア州・アラメダ郡・オークランド市にあります。「サンフランシスコ国際空港(東京から直行便で約9時間)」からは、車で30〜40分。「オークランド国際空港(ロサンゼルス国際空港から約1時間15分)」からは、車で7分です。スタジアムまでの移動は、車推奨です。

     まるで古代ローマの円形闘技場「コロッセウム」を思わせるような、大きな円いスタジアムが見えてきたら…Oakland-Alameda County Coliseum! Nice to meet you!

    激闘の舞台・コロシアム!

    藤浪晋太郎投手に、会いに行こう

     『オークランド・コロシアム』は、元々アメリカンフットボールと兼用のスタジアムとして建設されました。外野をぐるりと取り囲む壁、見上げるような高さの外野スタンドは圧倒的です。内野部分は、なだらかな傾斜なので、とても試合が観やすいです。

     フィールド部分がとても広いことから、ブルペンもファールゾーンに位置しています。ホームチームのベンチがある三塁側のスタンドから、すぐ目の前。先発ピッチャーが試合に向けて投球練習を始めたら、その緊張感までも伝わってくるような距離感です。

    ベンチに柵がない唯一のMLBスタジアム

     そして、同学年の大谷翔平選手との名勝負も、また実現するはずです。同じアメリカン・リーグ西地区のロサンゼルス・エンゼルスとは、年間で13試合(アスレチックスホームゲームは6試合)が予定されています。3月30日の開幕三連戦から、さっそく相見えます!

    Ballparkの楽しみ方

     レフトスタンドにあるラウンジ「ツリーハウス」が、特徴的です。オークランド市は、文字通り『樫の木の地』というだけあって、木を大切にしてきました。ウッディーなフロアの中心には、バーカウンター。太さ1メートルを越す大木がいくつも横たわり、テーブルとして使われています。モニターや子供たちの遊び場もあり、家族で楽しめる素晴らしい空間です。その他、ベイエリアのグルメが揃ったフードコートや、子供たちが室内で走り回れるキッズエリアもおすすめです。

     MLBでは珍しい、鳴り物を使った応援もアスレチックスの名物。ライトスタンドから、大声援が聞こえて来ます。熱狂的な阪神ファンに愛されてきた藤浪投手にとっては、ホームを感じるスタジアムになるはずです。

    ユニークな手作りの帽子を被ったファン

     また、アスレチックスの球団再建を、実話をもとに描いた映画「マネーボール」では、ブラッド・ピットさんが主演を務め、球団人気を底上げしました。劇中に座っていた三塁側の席からは、藤浪投手のピッチングが最高の角度で楽しめます。

     藤浪投手が躍動することで、かつてのような勢いを取り戻すはずです。ぜひ映画を観て、苦しい時代を乗り越えて来たことに想いを馳せ、新時代のアスレチックスの救世主を、一緒に応援しに行きましょう!

    新時代のマネーボールが始まる!

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【連載】World Baseball Classic あの瞬間をもう一度①

    2023.1.30 18:23 Monday

     今年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック。第5回となる本大会では、20の国と地域のスター選手が「ベースボールの世界王者」をかけた熱戦を繰り広げる。本シリーズでは2006年の初大会から撮り続けているカメラマン田口有史氏が捉えた、母国を歓喜で打ち震わした歴史的な瞬間を紹介する。写真を振り返りながら、感動で泣け叫んだ瞬間、悔しさでうなりを上げた瞬間を思い出そう。

     今年3月に5回目を迎えるワールド・ベースボール・クラシック。その第1回大会は17年前の2006年に行われた。MLB選手も参加するベースボールの本当の世界一決定戦、という掛け声のもと始まった。

     今回、アメリカ代表が初めてドリームチームを結成したかのように言われるが、実は第1回大会もデレック・ジーター、ケン・グリフィーJr.、ロジャー・クレメンスなど、錚々たるメンバーが揃っていた。しかしながら、果たして真の実力がトーナメント形式の大会で決定できるのかなど、今にして思えば様々な部分において手探りの様子で始まった感じは否めなかった。

     実際のところ、当時マリナーズ所属のイチロー選手は参加したものの、ヤンキースに所属していた松井秀喜選手は参加を見送り。一次ラウンドが行われた東京ドームもチケットの売れ行きという面では出足が遅かった。

     そんな状況のなかで始まった第1回ワールド・ベースボール・クラシックだったが、日本は一次リーグ、二次リーグでアメリカや韓国に敗れるなど、苦しい展開を強いられながらも、イチロー選手の勝利への執念とリーダーシップに導かれて準決勝で韓国にリベンジ。キューバとの決勝戦の頃には日本中の注目を集めるようになった。

     この写真は決勝戦の9回表。5対6と1点差に詰め寄られたあと、タイムリーヒットで川﨑宗則を生還させたのち、福留孝介のレフト前ヒットで生還するイチロー選手。二塁から一気にかけてきて、キャッチャーのタッチをかいくぐり、珍しくヘッドスライデンングをする姿に、イチロー選手の優勝にかける熱い気持ちと野球の確かな技術を見て、感動しながら撮影したのを思い出す。

     見事に優勝を果たした日本代表。この頃は、撮影まわりの仕切りが混乱していたが、喜ぶイチロー選手にトロフィーを抱えながら目線をもらって撮影することができた。

     日本の戦いぶりと優勝による熱狂がワールド・ベースボール・クラシックを成功へと導き、国別対抗の世界一決定戦として、第2回大会以降へと続いていくことになった。

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    田口 有史(たぐち ゆきひと)/日系アメリカ人の親戚がいたこともあり、幼少の頃よりMLBに興味を持ち、中学生の頃からよりのめり込む。アスリートになれなかったため写真を始め、MLBを撮りたくてアメリカ留学。そのままフリーランスとして活動をし、30年近くMLBを撮影。全30球団を毎年必ず撮影することを自身に課し、1年の半分近くをアメリカで過ごす。オフィシャル・フォトグラファーとして予備予選なども撮影しているので、おそらく世界で最もWorld Baseball Classicの試合を撮影している。(写真:田口有史)

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  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第9話 最古の球団が最先端の街づくり

    2023.1.30 18:05 Monday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、MLB全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    ボールパーク新時代の幕開け

     2021年のワールドチャンピオン、アトランタ・ブレーブス。本拠地の「トゥルイスト・パーク」は、2017年にできたばかりの、MLBで二番目に新しいボールパークです。アメリカのプロスポーツ・マーケティングのトレンド「その競技を愛する人はもちろん、興味がない人さえも楽しめる空間作り」を見事に成功させました。象徴とも言えるのが、球団がプロデュースして作った街「ザ・バッテリー・アトランタ」です。野球場を中心に、唯一無二のスポーツ&エンターテインメント体験ができます。

    そこに行けば、必ず何かがある!

    トゥルイスト・パークへ

     スタジアムは、ジョージア州アトランタの中心部から北西に約16キロと、郊外に位置しています。車での移動が一般的で、空港からは30分、ダウンタウンからは20分くらいでアクセスできます。

     都会のビル群から、木々の豊かな緑へと景色が移ろい、野球場が見えてきました! 駐車場に車を停めて歩いてみると、もうそこはボールパークのなか。レストラン、映画館、ライブハウスが軒を連ね、街ゆくだけで、気分が高まってきます。広々とした芝生でキャッチボールをしたり、寝そべって寛いだりしながら、試合までのひとときを楽しむファンと出会ったら… Truist Park! Nice to meet you!

    向こうには球場。グラブをつけて歩く人。野球と街が一体に

    誰もが楽しめる空間

     街の名は「ザ・バッテリー・アトランタ」。野球へのリスペクトを込めて、ピッチャーとキャッチャーのことを表す「バッテリー」から取りました。スタジアムが6万5000平方メートルで、街全体だと24万3000平方メートルもの広さを誇ります。いつでも誰でも楽しめる、5つのポイントが…

    「EXPLORE」=洋服や雑貨、ギフト、スポーツ用品店といったショップや、ダイニング、バー、ブルワリーなどの飲食店、映画館やライブハウス、コミュニティスペースなどの探訪を楽しめます。

    「EVENTS」=野球の試合はもちろん、OBによるサイン会やトークショー、音楽ライブ、ヨガ教室など、毎日イベントが開かれています。

    「LIVE」=アパートなどのレジデンスも多く、この街に住むことを楽しんでいる人もいます。

    「WORK」=オフィスビルが建ち並び、職場にもなっています。

    「STAY」=敷地内にはいくつもホテルがあり、数日にわたって滞在する場所としても人気です。街には病院や銀行、ジムにヘアサロンなど、暮らしに欠かせない施設も集まっていて、誰しもが安心して過ごせる空間です。試合のチケットを持っていない人もやってきて、パブリック・ビューイングで楽しむのですから驚きです。

    Ballparkの楽しみ方

     お子さんの思い出になる工夫が凝らされています。まずは、MLBスタジアム最大級のキッズエリア「サンドロット」が魅力的です。ピッチング、バッティング、ベースランニングといった野球にまつわるものに加え、ターザンロープ、クライミング、反射神経チェック、水鉄砲など、体を動かして楽しめる遊具がたくさんあります。

     さらに、試合前には、フィールド上に子供だけが入れるエリアが設けられます。練習を終えた選手たちが立ち寄って、サインに応じたり、一緒に写真を撮ったり。大喜びする子供たちの笑顔を見ると、一生の思い出になるんだろうなあ、とほっこりします。

     ちなみに、アトランタには、コカ・コーラの本社(世界中のフレーバーが試飲できる!)やオリンピック記念公園、NFLファルコンズ(世界最先端のハイテクスタジアム)もあるので、「ザ・バッテリー・アトランタ」を拠点にしながら、ダウンタウンで楽しむのもおすすめです。

    MLB最古の球団の1つ

     ナショナル・リーグが創設された1871年に「ボストン・レッドストッキングス」として誕生。1912年から「ブレーブス」の名で愛されてきた、MLBで最も古い球団の1つです。バックネットの裏にある「モニュメント・ガーデン」では、野球殿堂入りした選手たちの功績を讃えています。

     歴代2位の通算本塁打数を誇るハンク・アーロンさんが放った本塁打数に合わせ、755本のバットで作ったモニュメントは圧巻です。ほかにも、チャンピオンズ・トロフィーやチャンピオンズ・リングなど、歴史ある強豪チームならではの展示物も目を引きます。試合のターニングポイントでは球場が暗転。伝統の「トマホーク・チョップ」で思い切り斧を振りかざしましょう!

     伝説のナックルボーラーを讃えたスタジアムフード「ビッグ・ナックシー」は、食べ応え抜群。コーンブレッドの上に、南アメリカ名物のプルドポークが、これでもか! というほど載っています。

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第8話 桜咲く、アメリカ首都の野球場

    2023.1.27 18:53 Friday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、MLB全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    桜咲く野球場

     ナショナルズ・パークは、お花見をしながら野球観戦ができる、MLBで唯一のボールパークです。ワシントンD.C.では、春に見られる満開の「チェリーブロッサム」が名物のひとつです。きっかけは今から100年以上前、日本から桜の木が贈られたことだったそうです。

     ワシントン・ナショナルズは、2019年にチーム創設後初めてワールドチャンピオンに輝きました。サクラサク常勝軍団になるためのスタートダッシュと、野球と桜のコラボレーションを観に行きましょう!

    ユニフォームに満開の桜!

    ナショナルズ・パークへ

     アメリカ東海岸のMLBスタジアムを巡る旅。最後はアメリカの首都、ワシントンD.C.に向かいます。ボルティモアから「ワシントン・ユニオン駅」まで、おなじみの鉄道「アムトラック」で南へ1時間弱です。駅を降りた瞬間から、白を基調とした大きな美しい建築物を目にすることができます。「議会議事堂」や「ホワイト・ハウス」など、まさに政治の中心地です。

    アメリカ合衆国議会議事堂!

     そこから一転、先進的なマンションや飲食店街、再開発を続けるクレーン群が見えてきたら… Nationals Park! Nice to meet you!

     ちなみに、空の玄関口「ワシントン・ダレス国際空港」は、アメリカ大手の「ユナイテッド航空」の拠点空港なので、全米どこからでもアプローチしやすいのも魅力です。

    Ballparkの楽しみ方

     球場レフト側にある正面玄関をくぐると、両脇に植えられた桜の木が私たちを出迎えてくれます。見頃は3月下旬から4月上旬なので、まさしく球春到来のタイミングが一番のおすすめです! 2022年、MLB各球団が街の魅力を反映させたユニフォームを着た「シティ・コネクト」でも、ナショナルズは桜をモチーフにしました。

     その桜の木を望めるレフトスタンドは、レストランのオープンテラス席になっていて、予約をすれば誰でも食事を楽しめます。球団職員のおすすめスタジアムフードは「ベンズ・ハーフスモーク」のホットドッグ。チリソースと玉ねぎをたっぷり乗せていただくのがワシントンスタイルだそうですよ。

    歩みを続けるアメリカとMLB

     ワシントンD.C.がアメリカの首都でもあることから、地元・政府と連携したボールパーク作りが行われています。事実、周辺の再開発では、球団がスタジアム周辺の土地を買い上げ、レジデンスやビルを建設。エンターテインメントの拠点を広げていくことで治安も改善され、新しいカルチャーが生まれています。

     球場内には「ライブラリー・コングレス」という、アメリカ政治の歩みと、野球の歴史とを対比させながら学べるエリアがあります。ちょっと読んでみると、ナショナルズの前身は、かつてカナダにあった「モントリオール・エクスポズ」だそうです。1969年、両リーグが12球団制へ移行するための球団数拡張をきっかけに誕生し、アメリカ以外の国にできた史上初のMLB球団でした。

     2005年、ワシントンD.C.に拠点を移したことで、今の形になりました。マスコットはプレジデント(大統領)たち。試合中に彼らが全力疾走する「プレジデント・レース」も人気です

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【Catch the Moment 最終話】2022年シーズン最高の一枚

    2023.1.25 19:38 Wednesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     MLBシーズン最後に行われるワールドシリーズ。その優勝決定の瞬間は選手たちもその喜びを最大限に爆発させ、まさに長いシーズンのクライマックス。

     その瞬間をどう撮るか。特に今年のヒューストン・アストロズのように本拠地で優勝が決定する場合、選手たちだけではなく、ボールパーク全体の盛り上がりも写真に収めたくなるので、どう撮影しようかと頭を悩ませる。

    How to “Catch the Moment”

     最終的に優勝決定のシーンのカメラは2台体制。1台はベンチから飛び出し、マウンド上で抱き合う選手たちの表情がよくわかるよう選手たちを主体に。もう1台は本拠地で優勝が決まる今年のようなときだからこそ、球場全体の熱狂を感じてもらえるようにワイドアングルで。

     この写真はワイドアングルで狙ったほうの写真。球場全体が総立ちのファンでオレンジ色に染まるなか、抱き合いながらベンチから駆け出す選手。そこに、実はこの瞬間まで知らなかった球場上部から飛び出した紙テープがアクセントとなり、シーズンのクライマックス。

     ボールパーク全体が熱狂する雰囲気のよく出た写真になった。

  • 【強豪国だらけの世界大会③】2大会連続準優勝のプエルトリコの逆襲が始まる

    2023.1.25 14:59 Wednesday

     日本代表の2連覇で始まり、その後の2大会は新たな王者が生まれているワールド・ベースボール・クラシック。そのなか、2大会連続して決勝戦で涙を飲んだのがプエルトリコだ。最強戦士をそろえた無冠の強豪の逆襲がついに始まる。

     2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシックで侍ジャパンの連覇は途切れ、ドミニカ共和国が初優勝。そして第4回大会はアメリカが初の世界一に輝いた。ドミニカ共和国は第4回大会では第2ラウンドで敗退し、アメリカも第3回大会では第2ラウンドで敗退するなか、2大会連続で準優勝と安定した強さを見せたのがプエルトリコだ。

     そのプエルトリコで、今回いち早く大会参加を表明したのが、ジャイアンツとの契約合意から一転し、メッツと合意したものの、結局それも破談となり、ツインズと再契約を結んだカルロス・コレアだった。

     続いて参加表明したのが、カブスのマーカス・ストローマン。ニューヨーク州生まれのストローマンは、2017年は優勝したアメリカ代表で出場。決勝戦ではプエルトリコを相手に6回まで無安打に抑え勝利投手に。そして大会MVPにも選ばれた。母親がプエルトリコ出身のストローマンが、今回はプエルトリコ代表で出場する。

     さらに昨季トレバー・ホフマン賞(ナ・リーグ最優秀救援投手)を受賞したメッツの守護神エドウィン・ディアスも初参戦。ディアスは開幕直後、祖母が亡くなり一時プエルトリコに帰郷している。

     野手では、三塁のコレアをはじめ、タイガースのハビアー・バイエズ二塁手、メッツのフランシスコ・リンドーア遊撃手も出場を表明しているが、この3選手は前回大会に初出場し、それぞれのポジションでベストナインに選ばれている。

     そして監督は、ワールド・ベースボール・クラシックの第1回大会からすべて出場し、第3・4回大会ではベストナイン捕手に選出され、昨季限りで現役を引退したヤディアー・モリーナが務める。

     

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     2大会連続で世界一を目前に決勝戦で敗れたプエルトリコ。前回大会では5勝2敗のアメリカに対し、7戦無敗で迎えた決勝戦で唯一の黒星を喫して敗れた。そんな雪辱を晴らすべく、プエルトリコが今大会、逆襲を狙う。

  • 【強豪国だらけの世界大会②】最強チームで前回大会の屈辱を晴らすドミニカ共和国!

    2023.1.25 14:42 Wednesday

     2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック、大会史上初となる8戦全勝の完全優勝で初の世界一となったドミニカ共和国。しかし、前回の第4回大会では第2ラウンドで敗退と屈辱を味わった。今大会では、その屈辱を晴らすべく、最強チームで世界一奪還に挑む。

     第3回ワールド・ベースボール・クラシックでは、準決勝でオランダを下し、日本を破ったプエルトリコとの決勝戦を3対0で制し、大会史上初の8戦全勝の完全優勝を飾ったドミニカ共和国。

     その大会でMVPに選ばれた大ベテラン、ネルソン・クルーズは今回、チームのGMも兼務。ドミニカ共和国野球連盟が発表した50人の予備リストのメンバー選考にも参加したが、そのメンバーがスゴすぎる。

     そのなかでも、すでに参加を表明しているのが、ナ・リーグのサイ・ヤング賞を満票で受賞したマーリンズのサンディ・アルカンタラをはじめ、内野には2021年に大谷翔平との熾烈な本塁打争いの末、タイトルを獲得したブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)、昨季MVP投票2位のマニー・マチャド(パドレス)、外野には2020年の首位打者で昨年のホームラン・ダービーで優勝し、シーズン途中からパドレスでプレーしたフアン・ソトなどオールスター級の選手の名前がズラリと並んでいる。

     さらに注目なのが、メジャー1年目で史上初の25本塁打&25盗塁を記録し、ア・リーグ新人王に輝いたマリナーズのフリオ・ロドリゲスもリストに名を連ねていることだ。

     前回大会の屈辱を晴らすべく、選手の団結力もあるドミニカ共和国が最強チームで挑む第5回大会。侍ジャパンとの対戦となれば、ダルビッシュ有とのパドレス同僚対決、マチャドやソトとの対戦が見られるかもしれない。

  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第7話 東海岸の旅 歴史と今が交差する巨大倉庫と野球場

    2023.1.25 14:30 Wednesday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、MLB全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    野球場に310メートルの巨大倉庫

     開業30周年を迎えた「オリオール・パーク・アット・カムデンヤーズ」は、球場内の至るところに愛らしく楽しげな鳥たちが描かれています。「Baltimore Oriole(=ボルティモア・ムクドリモドキ)」文字通りチーム名の由来にもなった、地元メリーランドで愛される州の鳥です。

    鳥さんの可愛い絵がたくさん!

     スタジアムに素晴らしい景観をもたらしてくれるのが、ライトからセンターにかけて続く巨大なレンガ造りの建物です。築117年、全長約310メートルの圧倒的な存在感。かつては鉄道の倉庫として使われていた「ボルティモア&オハイオ・ウェアハウス」の外観をそのままに、内観をリノベーション。球団事務所のほか、チームストア、カフェテリア、スポーツバーが並び、歴史と今が交差する場所になりました。

    オリオール・パーク・アット・カムデンヤーズへ

     アメリカ東海岸のMLBスタジアムを巡る旅。その続きに出発しましょう。フィラデルフィアからボルティモアまでは鉄道アムトラックで1時間ほど。車窓には、アメリカ屈指の港町へと繋がる、雄大な川の流れを臨みます。駅から車に乗り換えて15分で街の中心部に。高層ビルを抜けて、レンガ造りの大きな建物が見えてきたら… Oriole Park at Camden Yards! Nice to meet you!

    夕暮れ時が特に美しい!

    Ballparkの楽しみ方

     港町ならではのアメリカン・シーフードを堪能しましょう。「クラブケーキ・エッグロール」は、カニの身がぎっしり詰まった揚げ春巻きのようなもの。ポン酢ソースの酸味との相性も抜群です。「モ・ガバズ・フライドシュリンプ」は、プリップリのエビフライ。売上につき1ドルが難病と闘う子供たちのために寄付されます。MLBスタジアムの中でも指折りの美味しい料理でお腹を満たしたら、球場散策に出かけましょう!

    MLB屈指の美食スタジアム!

     外野スタンドにある「ユートウ・ストリート」が人気のスポットです。通りを歩けば、名物の倉庫1階のチームストアやレストランを楽しめます。

     また足元には、無数のメダル(丸い金属板)があって、ホームランを打ち込んだ選手の名前や飛距離が、ボールの落下地点に埋め込まれています。オリオールズに限らず、全チームのホームランバッターがいるので、お気に入りの選手を探してみてください!

     センター側の入り口付近まで歩けば、ボルティモアで生まれた野球の神様、ベーブ・ルースさんの銅像が立っています。過去にタイムスリップしたような、どこかノスタルジックな雰囲気を、ぜひ楽しんでください!

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第6話 東地区の旅 ナ・リーグ王者編

    2023.1.23 13:43 Monday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、MLB全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパークに」お連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    2022年 ナショナル・リーグ チャンピオン

     フィラデルフィアは、熱狂的なファンが多いことで知られています。ただでさえ、普段から盛り上がっているスタジアムが、地鳴りのような大歓声に包まれました。レギュラーシーズン・東部地区3位ながらも、ポストシーズンのワイルドカードと、ディビジョン・シリーズを勝ち抜き、ナ・リーグ王者に輝いたのです。土壇場での勝負強い一打で、フィリーズをワールドシリーズに導いたブライス・ハーパー選手のバッティングにも注目です!

    シチズンズ・バンク・パークへ

     アメリカ東海岸に連なる、MLBスタジアムを巡る旅に出ましょう。ニューヨークのマンハッタンから、アムトラックという鉄道に乗って、南へ向かいます。景色の移ろいを楽しみながら、「フィラデルフィア30thストリート駅」までは、特急列車で1時間半くらいです。ここから先にも、ボルチモア、ワシントンD.C.と、楽しみが待っているので、ぜひまたご一緒しましょう。

     スタジアムまでは、車で10分ちょっと。赤れんが造りの壁が見えてきました! 「自由の鐘」のオブジェに出迎えられたら…Citizens Bank Park! Nice to meet you!

    球場外の鐘は、前の本拠地「ベテランズ・スタジアム」にあったものを復元

    Ballparkの楽しみ方

     フィラデルフィアは、アメリカ合衆国・建国の地。その象徴で、チームロゴにもなっているのが「自由の鐘(リバティ・ベル)」です。フィリーズ選手がホームランを打つと、スタジアム内にある電飾が揺れ、「ゴ〜ン!」と、鐘の音が鳴り響きます。

     そのちょうど真下、外野通路の「アシュバーン・アレイ」を歩いてみましょう。殿堂入り選手の銅像やチャンピオンズトロフィーなどが並び、19世紀から続くチームの長い歴史を感じられます。

     美味しそうなフード販売店が軒を連ねているので、だんだんお腹が空いてくるかも。人気なのが「ブルズBBQ」という、球場内でバーベキューができるお店。フィラデルフィア発祥、名物の「チーズステーキ(チーズと牛肉のサンドイッチ)」は絶品です!

    とっても濃厚ジューシー!

    みんなで楽しめるボールパーク!

     充実のキッズエリア「ザ・ヤード」は、小さな野球場をはじめ、ピッチングやクライミングといった体を動かせるコーナーが盛り沢山。家族連れにも嬉しい空間です。日本ではなかなかお目にかかれない、ホットドックの弾を発射させ、的に当てるゲームがとってもユニーク。愉快なマスコット「フィリー・ファナティック」が遊びにきてくれるかもしれません。

    ホットドッグ、当てられるかな?

     チームが誕生したのは、1883年。地元民に愛される「フィリーズ」という名前は、プロスポーツ史上、ひとつの都市で最も長く続いているものだそうです。

     2026年には、アメリカ建国250周年を祝ってオールスター・ゲームの会場になることがすでに決まっています。祖国とチームの伝統を守り、ますます強くなるフィリーズ。老若男女、幅広い年代のファンが作り上げる「シチズンズ・バンク・パーク」の熱気に、ぜひ包まれてみてください!

    建国の地での国歌斉唱(ナショナル・アンセム)は圧巻!

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第5話 MLB史上最強球団で野球の伝統・進化を感じよう!

    2023.1.22 12:15 Sunday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、メジャーリーグ全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    MLB史上最強球団

     ワールドシリーズ制覇27回。ニューヨーク・ヤンキースは、MLBの長い歴史の中で最も多く、その頂点に立ち続けてきました。「野球の神様」ベーブ・ルースさん、「打撃王」ルー・ゲーリッグさん、「ザ・キャプテン」デレック・ジーターさんなど、野球殿堂に名を連ねる方の数もMLB最多です。

     日本からも松井秀喜さん、イチローさん、田中将大さんなど、世界に誇る選手が伝統あるピンストライプのユニフォームに袖を通しました。球団は日本人選手のスカウティングを続け、獲得の好機を狙っています。次にチャンスを掴むのは誰でしょう? 精鋭たちのハイレベルなプレー、ジェントルマンな姿に触れると、心の底からワクワクできるはずです。

    ヤンキー・スタジアムへ

     ニューヨークシティの中心部マンハッタンからメトロ(地下鉄)でアップタウン・ブロンクス方面へと向かいます。球場の最寄り「161st ストリート駅」は、20〜30分ほどで着けちゃいます。地下は圏外なので、改札へ入る前にきっちり確認しておいてくださいね! 僕は乗る電車をよく間違えて何度も遠回りをしたものです(笑) 余談ですが、同じニューヨーク球団のメッツと対戦する『サブウェイ・シリーズ』は一年で最も盛り上がるカードのひとつです。

     地下鉄だけど、駅は地上にあります。陽の光が差し込んできたら、球場はもうすぐそこ! Yankee Stadium! Nice to meet you!

    圧倒的迫力!開放感!これがヤンキー・スタジアム!

    「スーパースター」アーロン・ジャッジ

     スタジアム周辺は試合を心待ちにするファンでいつも賑わっていて、開場を待ち遠しく感じます。お!? 背番号「55」と「99」のユニフォーム姿の親子が手を繋いで歩いています。話しかけてみましょう!

    お父さん「マツイが僕たちをワールドチャンピオンにしてくれた! 彼は僕にとって生涯のヤンキーさ!」
    お子さん「僕はジャッジが好き!」

     ファンにはそれぞれの『ヤンキー(=大好きな選手)』がいます。「世代ごとの選手を応援することで、ヤンキースの伝統は受け継がれていくんだ!」と、お父さんが教えてくれました。2022年シーズンにア・リーグ新記録の62本塁打を放ち、大谷翔平選手を抑えてMVPに輝いたジャッジ選手。9年の超大型契約を結んだだけでなく、ジーターさん以来となるヤンキース第16代キャプテンに選ばれました。真のヤンキーが豪快なアーチを描き、歴史を作る姿を、ぜひその目に焼き付けてください!

    ジャッジ選手vs大谷選手の記念Tシャツ!ホームランを打つのはどっち?

    Ballparkの楽しみ方

     センターのバックスクリーンには、試合前だけ開かれる『モニュメント・パーク』があります。レジェンドたちのレリーフ、その功績を記したパネルが並び、語り継がれる歴史と伝統を感じられる場所です。グラウンド整備の時に『YMCA』が流れ始めたら、一緒に踊りましょう。

     バラエティに富んだ食べ物も充実しています。とってもクレイジーなフードを、2つご紹介しますね。「ポテト&チキンテンダー+ドリンク」のセットは、食事と飲み物をワンハンドで持てて、野球観戦に集中できる優れもの! 「カラフルなケーキ+パフェ」は、迫力とボリューム満点! チョコレートとベリーのケーキは、甘さと酸味のバランスが絶妙です。ちなみに、七色レインボーケーキの日もあるそうですよ。

     チームストアは、全30球団トップクラスの品揃え。オリジナルのグッズも多く、季節によってラインナップがリニューアルされるので、訪れるたびに楽しめます。

     ヤンキースは、ベースボールの伝統を守りながら、新しいエンターテインメントにも挑戦し続けています。これぞ、MLB! 圧倒的なスケールを、全身で感じてみてはいかがでしょうか?

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【Catch the Moment 19話】初夏のフェンウェイパーク

    2023.1.20 10:18 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     吉田正尚が2023年シーズンからプレーするレッドソックスの本拠地フェンウェイ・パーク。数々の改修を重ねながらも、MLB最古のボールパークの雰囲気をきちんと残し、その歴史を感じさせながらも意外と快適に試合を見ることができ、また球場係員もそこで働くことに誇りと愛情を感じさせてくれ、レッドソックス自ら「最も愛されているボールパーク」というに値する空間だ。

     シーズン開幕直後の4月初旬やポストシーズンに入る10月になると寒い日も多く、また雨に当たる確率も高くなるが、暖かくなってくる初夏の頃のデーゲームで、しかも天気が良いとなると、本当にこの空間は心地が良い。

    How to “Catch the Moment”

     この写真はボストンの気候も暖かくなってきた5月中旬、週末のデーゲームの試合前。試合前のグランド整備中に、逆に選手がいないからこそ、このボールパークの空間としての心地よさを写したくてシャッターを切った。

     フェンウェイパークの雰囲気を感じながら、2023年シーズンのMLBを、そしてこのバッターボックスに吉田正尚選手が立つ姿を想像しながら寒い冬を乗り切ってもらえたらと思う。

  • 【Catch the Moment 18話】チームを去るヒーローにエール

    2023.1.20 10:14 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     スタンディングオベーションで迎えられ、万感の思いの表情を浮かべてバッターボックスに立つのは、今オフFAでセントルイス・カージナルスに移籍したウィルソン・コントレラス。この写真はトレード期限前最後のホームゲームのパイレーツ戦。

     108年ぶりにワールドシリーズを制覇したメンバーの生き残りとしてカブスに在籍していたコントレラスも、いよいよトレードが成立して去っていってしまうだろう、という雰囲気の中での一コマ。

    How to “Catch the Moment”

     最終的にトレードは成立せずにシーズン終了までカブスのユニフォームを着続けたコントレラスだったが、来シーズンからは同地区のライバルチーム、カージナルスのユニフォームを着ることになる。

     このときは暖かい拍手で迎えられたが、来シーズン、ライバルチームの正捕手としてリグレー・フィールドを訪れた際にはどのように迎えられて、またどんな表情をコントレラスは浮かべるのか注目したい。

  • 【Catch the Moment 17話】試合の流れを決定づけた瞬間

    2023.1.20 10:10 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     流れが何度も変わった今年のワールドシリーズ。1勝1敗で本拠地に戻ったフィリーズ。そこからの3連戦で少なくとも勝ち越すためにはどうしても取りたい第3戦。

     1回表にニック・カステヤノスのスライディングキャッチという幕開けで、いきなり大興奮のシチズンズバンク・パーク。その裏、打席にはワールドシリーズ本拠地初打席の頼れる主砲ブライス・ハーパー。ファン総立ちでハーパーを打席に迎え入れると、その初球を捉えたハーパーの打球はライトスタンドへ。

     打った瞬間ホームランとわかる打球を見送るハーパーとその後ろには総立ちのファン。このシリーズ中、フィリーズが、そしてシチズンズバンク・パークが最も盛り上がった瞬間を表現できるよう一枚の写真に収めた。

    How to “Catch the Moment”

     スーパースターが打つと、やはりチームは盛り上がる。このホームランで一気に流れを引き寄せたフィリーズは7対0で勝利。このときはシリーズそのものの流れもフィリーズが掴んだと思ったのだが。それでも今年のポストシーズンにおけるハーパーの千両役者ぶりとフィリーズ・ファンの興奮を表す一枚になったと思う。

  • 【Catch the Moment 16話】ノーヒットノーラン達成の瞬間

    2023.1.20 10:05 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     今年のワールドシリーズ第4戦、アストロズの4投手によるノーヒッターが達成された。

     ここまでフィリーズが2勝1敗とシリーズをリード。ホームで連勝して一気に勢いに乗りたいフィリーズをノーヒッターでガッチリ勢いを止めたアストロズにとって会心の一戦。

     ノーヒッターの最後のアウトをどう撮るか。喜ぶ投手のガッツポーズも取りたいが、やはりヒットの欄に0と入っているスコアボード、投手、バッターを全て一枚に収めたいというのが僕のアイディア。

    How to “Catch the Moment”

     幸いなことに、フィリーズの本拠シチズンズバンク・パークではそうした絵柄が撮れる位置にカメラを置いておくことができる。試合前はまさかこんな歴史的な試合になるとは思わなかったものの、無事にカメラが作動してくれることを祈って、最後のアウトの瞬間をリモコンカメラに委ねた。

     結果、危うくマウンドが切れそうになっていたものの、投手のライアン・プレスリー、最後のバッターのJ・T・リアルミュート、スコアボード、そしてシチズンズバンク・パークというのがよくわかる、綺麗な一枚が撮れた。

  • 【Catch the Moment 15話】無常感を表す一枚

    2023.1.20 09:40 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     基本的に野球は雨の中では行わない。しかし、スケジュールに予備日を設けていない、そしてドーム球場が少ないMLBは、日本に比べて多少の雨の中では試合をする。特にポストシーズンなどの場合は、雨天中断をすると、投手のコンディショニングの問題や、試合の流れが途切れるということもあり、一度試合を始めるとちょっとやそっとの雨では試合を中断しない。

     この日、NLDS第4戦は7回を終えると雨が降り出した。中断してもよさそうな激しさだが、次ラウンドに進むかどうかが決定するかもしれない大事な試合。我々カメラマンもずぶ濡れになりながら撮影を続けた。

    How to “Catch the Moment”

     そうなると雨の雰囲気を活かして撮影しようというのがカメラマンの性。あまり工夫をしなくても写り込むほどの激しい雨だが、より雨の滴が映り込むように、背景が黒くなるポイントでシャッターを切った。

     試合は3点のリードを一挙に逆転され、打席には2019年MVPながら今シーズンは先発を外れることも多かったコディ・ベリンジャー。センターフライを打ち上げ、無念の面持ちで一塁に向かう表情に激しい雨粒の舞台効果が加わり、ドジャースの敗れていく無常感を表すような写真になった。

  • 【Catch the Moment 14話】優勝決定の瞬間

    2023.1.20 09:36 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     優勝決定の瞬間をどう撮るか。正解があるようで、実は毎回頭を悩ませる。与えられた撮影ポジション、それ以外で 撮影可能な場所、そしてその後のセレモニーへの流れ。各ボールパークで条件が異なるので、毎回同じというわけにはいかない。

     今年のワールドシリーズは、レギュラーシーズンを最高勝率で終え、ポストシーズンもその実力通りに勝ち進んできたアストロズと、最下位シードのワイルドカードから勝ち進んできたフィリーズの対戦で行われた。久しぶりのワールドシリーズに湧くフィリーズのシチズンズバンク・パークに比べ、過去6年で5回目のワールドシリーズを戦うアストロズ。最初の2戦に関しては、アストロズのミニッツメイド・パークは、フィラデルフィアよりはおとなしかったかもしれない。

     しかし、敵地で2勝1敗と勝ち越して3勝2敗、5年ぶりのワールドシリーズ制覇に王手をかけてヒューストンに戻ってくると、地元での初めてのワールドシリーズ制覇に向けて、ミニッツメイド・パークの興奮は最高潮に達していた。

    How to “Catch the Moment”

     優勝決定の瞬間、クローザーのライアン・プレスリーを中心に歓喜の輪ができる。そこにダグアウトからマウンドに向けて飛び出す選手たち。さらにその背景に最高に盛り上がるスタンドが写るよう、選手にクローズアップするより、少し広めの画角のレンズでその瞬間を狙った。

     優勝チームの本境地でワールドシリーズの決着がつくのは2013年レッドソックス以来9年ぶり。最高の盛り上がりを見せるスタンドとともに撮ったワールドシリーズ優勝の瞬間。今シーズンを締めくくるに相応しい歓喜の写真になったように思う。

  • 【Catch the Moment 13話】お祭りムードで盛り上がるファン

    2023.1.20 09:33 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     11月になってしまったが、「レッド・オクトーバー」というキャッチフレーズのもと、熱狂的な盛り上がりをしているのがフィリーズの本拠地シチズンズバンク・パーク。ポストシーズン進出チームが増えた恩恵に授かってリーグ最低勝率でポストシーズンに進出すると、カージナルス、パドレスを撃破。勢いに乗ってワールドシリーズに進出した。

     その勢いは敵地ヒューストンからシリーズが始まっても衰えず、初戦に5点差を逆転して勝利を収めると、第2戦は敗れ、さらに本拠地のシチズンズバンク・パークでの第3戦が雨天順延になっても、13年ぶりのシチズンズバンク・パークでのワールドシリーズにファンは熱狂。圧倒的な声援で第3戦の勝利を後押しした。

     5本のホームランが飛び出し、試合は5回を終わって7対0。こういった展開になると、試合のひとつひとつのアクションよりも、お祭りムードで盛り上がるボールパークの雰囲気を撮ろうと、より熱いファンがいる外野席に向かった。

    How to “Catch the Moment”

     外野エリアでは、熱狂的なファンが、ピッチャーが2ストライクを取るたびに赤いタオルを振り回して声援を送る。またはブライス・ハーパーが打席に立つと、「MVP」の掛け声のもと、赤いタオルを振り回す。そして無事に7対0で完勝すると、大盛り上がりでその勝利の喜びを分かち合う瞬間を、その場にいるような臨場感で撮影しようと魚眼レンズでファンの輪の中に入って撮影した。

     今回ほどファンの声援が大きなワールドシリーズは久しぶりな気がする。これでフィリーズは2勝1敗とリードし、本拠地でのワールドシリーズ制覇に向けて、ファンのボルテージも上がるだろう。その大歓声をバックにフィリーズはワールドチャンピオンに突き進むだろうか。今後の展開からも目が離せない。

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