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  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第8話 桜咲く、アメリカ首都の野球場

    2023.1.27 18:53 Friday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、MLB全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    桜咲く野球場

     ナショナルズ・パークは、お花見をしながら野球観戦ができる、MLBで唯一のボールパークです。ワシントンD.C.では、春に見られる満開の「チェリーブロッサム」が名物のひとつです。きっかけは今から100年以上前、日本から桜の木が贈られたことだったそうです。

     ワシントン・ナショナルズは、2019年にチーム創設後初めてワールドチャンピオンに輝きました。サクラサク常勝軍団になるためのスタートダッシュと、野球と桜のコラボレーションを観に行きましょう!

    ユニフォームに満開の桜!

    ナショナルズ・パークへ

     アメリカ東海岸のMLBスタジアムを巡る旅。最後はアメリカの首都、ワシントンD.C.に向かいます。ボルティモアから「ワシントン・ユニオン駅」まで、おなじみの鉄道「アムトラック」で南へ1時間弱です。駅を降りた瞬間から、白を基調とした大きな美しい建築物を目にすることができます。「議会議事堂」や「ホワイト・ハウス」など、まさに政治の中心地です。

    アメリカ合衆国議会議事堂!

     そこから一転、先進的なマンションや飲食店街、再開発を続けるクレーン群が見えてきたら… Nationals Park! Nice to meet you!

     ちなみに、空の玄関口「ワシントン・ダレス国際空港」は、アメリカ大手の「ユナイテッド航空」の拠点空港なので、全米どこからでもアプローチしやすいのも魅力です。

    Ballparkの楽しみ方

     球場レフト側にある正面玄関をくぐると、両脇に植えられた桜の木が私たちを出迎えてくれます。見頃は3月下旬から4月上旬なので、まさしく球春到来のタイミングが一番のおすすめです! 2022年、MLB各球団が街の魅力を反映させたユニフォームを着た「シティ・コネクト」でも、ナショナルズは桜をモチーフにしました。

     その桜の木を望めるレフトスタンドは、レストランのオープンテラス席になっていて、予約をすれば誰でも食事を楽しめます。球団職員のおすすめスタジアムフードは「ベンズ・ハーフスモーク」のホットドッグ。チリソースと玉ねぎをたっぷり乗せていただくのがワシントンスタイルだそうですよ。

    歩みを続けるアメリカとMLB

     ワシントンD.C.がアメリカの首都でもあることから、地元・政府と連携したボールパーク作りが行われています。事実、周辺の再開発では、球団がスタジアム周辺の土地を買い上げ、レジデンスやビルを建設。エンターテインメントの拠点を広げていくことで治安も改善され、新しいカルチャーが生まれています。

     球場内には「ライブラリー・コングレス」という、アメリカ政治の歩みと、野球の歴史とを対比させながら学べるエリアがあります。ちょっと読んでみると、ナショナルズの前身は、かつてカナダにあった「モントリオール・エクスポズ」だそうです。1969年、両リーグが12球団制へ移行するための球団数拡張をきっかけに誕生し、アメリカ以外の国にできた史上初のMLB球団でした。

     2005年、ワシントンD.C.に拠点を移したことで、今の形になりました。マスコットはプレジデント(大統領)たち。試合中に彼らが全力疾走する「プレジデント・レース」も人気です

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【Catch the Moment 最終話】2022年シーズン最高の一枚

    2023.1.25 19:38 Wednesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     MLBシーズン最後に行われるワールドシリーズ。その優勝決定の瞬間は選手たちもその喜びを最大限に爆発させ、まさに長いシーズンのクライマックス。

     その瞬間をどう撮るか。特に今年のヒューストン・アストロズのように本拠地で優勝が決定する場合、選手たちだけではなく、ボールパーク全体の盛り上がりも写真に収めたくなるので、どう撮影しようかと頭を悩ませる。

    How to “Catch the Moment”

     最終的に優勝決定のシーンのカメラは2台体制。1台はベンチから飛び出し、マウンド上で抱き合う選手たちの表情がよくわかるよう選手たちを主体に。もう1台は本拠地で優勝が決まる今年のようなときだからこそ、球場全体の熱狂を感じてもらえるようにワイドアングルで。

     この写真はワイドアングルで狙ったほうの写真。球場全体が総立ちのファンでオレンジ色に染まるなか、抱き合いながらベンチから駆け出す選手。そこに、実はこの瞬間まで知らなかった球場上部から飛び出した紙テープがアクセントとなり、シーズンのクライマックス。

     ボールパーク全体が熱狂する雰囲気のよく出た写真になった。

  • 【強豪国だらけの世界大会③】2大会連続準優勝のプエルトリコの逆襲が始まる

    2023.1.25 14:59 Wednesday

     日本代表の2連覇で始まり、その後の2大会は新たな王者が生まれているワールド・ベースボール・クラシック。そのなか、2大会連続して決勝戦で涙を飲んだのがプエルトリコだ。最強戦士をそろえた無冠の強豪の逆襲がついに始まる。

     2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシックで侍ジャパンの連覇は途切れ、ドミニカ共和国が初優勝。そして第4回大会はアメリカが初の世界一に輝いた。ドミニカ共和国は第4回大会では第2ラウンドで敗退し、アメリカも第3回大会では第2ラウンドで敗退するなか、2大会連続で準優勝と安定した強さを見せたのがプエルトリコだ。

     そのプエルトリコで、今回いち早く大会参加を表明したのが、ジャイアンツとの契約合意から一転し、メッツと合意したものの、結局それも破談となり、ツインズと再契約を結んだカルロス・コレアだった。

     続いて参加表明したのが、カブスのマーカス・ストローマン。ニューヨーク州生まれのストローマンは、2017年は優勝したアメリカ代表で出場。決勝戦ではプエルトリコを相手に6回まで無安打に抑え勝利投手に。そして大会MVPにも選ばれた。母親がプエルトリコ出身のストローマンが、今回はプエルトリコ代表で出場する。

     さらに昨季トレバー・ホフマン賞(ナ・リーグ最優秀救援投手)を受賞したメッツの守護神エドウィン・ディアスも初参戦。ディアスは開幕直後、祖母が亡くなり一時プエルトリコに帰郷している。

     野手では、三塁のコレアをはじめ、タイガースのハビアー・バイエズ二塁手、メッツのフランシスコ・リンドーア遊撃手も出場を表明しているが、この3選手は前回大会に初出場し、それぞれのポジションでベストナインに選ばれている。

     そして監督は、ワールド・ベースボール・クラシックの第1回大会からすべて出場し、第3・4回大会ではベストナイン捕手に選出され、昨季限りで現役を引退したヤディアー・モリーナが務める。

     

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     2大会連続で世界一を目前に決勝戦で敗れたプエルトリコ。前回大会では5勝2敗のアメリカに対し、7戦無敗で迎えた決勝戦で唯一の黒星を喫して敗れた。そんな雪辱を晴らすべく、プエルトリコが今大会、逆襲を狙う。

  • 【強豪国だらけの世界大会②】最強チームで前回大会の屈辱を晴らすドミニカ共和国!

    2023.1.25 14:42 Wednesday

     2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック、大会史上初となる8戦全勝の完全優勝で初の世界一となったドミニカ共和国。しかし、前回の第4回大会では第2ラウンドで敗退と屈辱を味わった。今大会では、その屈辱を晴らすべく、最強チームで世界一奪還に挑む。

     第3回ワールド・ベースボール・クラシックでは、準決勝でオランダを下し、日本を破ったプエルトリコとの決勝戦を3対0で制し、大会史上初の8戦全勝の完全優勝を飾ったドミニカ共和国。

     その大会でMVPに選ばれた大ベテラン、ネルソン・クルーズは今回、チームのGMも兼務。ドミニカ共和国野球連盟が発表した50人の予備リストのメンバー選考にも参加したが、そのメンバーがスゴすぎる。

     そのなかでも、すでに参加を表明しているのが、ナ・リーグのサイ・ヤング賞を満票で受賞したマーリンズのサンディ・アルカンタラをはじめ、内野には2021年に大谷翔平との熾烈な本塁打争いの末、タイトルを獲得したブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)、昨季MVP投票2位のマニー・マチャド(パドレス)、外野には2020年の首位打者で昨年のホームラン・ダービーで優勝し、シーズン途中からパドレスでプレーしたフアン・ソトなどオールスター級の選手の名前がズラリと並んでいる。

     さらに注目なのが、メジャー1年目で史上初の25本塁打&25盗塁を記録し、ア・リーグ新人王に輝いたマリナーズのフリオ・ロドリゲスもリストに名を連ねていることだ。

     前回大会の屈辱を晴らすべく、選手の団結力もあるドミニカ共和国が最強チームで挑む第5回大会。侍ジャパンとの対戦となれば、ダルビッシュ有とのパドレス同僚対決、マチャドやソトとの対戦が見られるかもしれない。

  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第7話 東海岸の旅 歴史と今が交差する巨大倉庫と野球場

    2023.1.25 14:30 Wednesday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、MLB全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    野球場に310メートルの巨大倉庫

     開業30周年を迎えた「オリオール・パーク・アット・カムデンヤーズ」は、球場内の至るところに愛らしく楽しげな鳥たちが描かれています。「Baltimore Oriole(=ボルティモア・ムクドリモドキ)」文字通りチーム名の由来にもなった、地元メリーランドで愛される州の鳥です。

    鳥さんの可愛い絵がたくさん!

     スタジアムに素晴らしい景観をもたらしてくれるのが、ライトからセンターにかけて続く巨大なレンガ造りの建物です。築117年、全長約310メートルの圧倒的な存在感。かつては鉄道の倉庫として使われていた「ボルティモア&オハイオ・ウェアハウス」の外観をそのままに、内観をリノベーション。球団事務所のほか、チームストア、カフェテリア、スポーツバーが並び、歴史と今が交差する場所になりました。

    オリオール・パーク・アット・カムデンヤーズへ

     アメリカ東海岸のMLBスタジアムを巡る旅。その続きに出発しましょう。フィラデルフィアからボルティモアまでは鉄道アムトラックで1時間ほど。車窓には、アメリカ屈指の港町へと繋がる、雄大な川の流れを臨みます。駅から車に乗り換えて15分で街の中心部に。高層ビルを抜けて、レンガ造りの大きな建物が見えてきたら… Oriole Park at Camden Yards! Nice to meet you!

    夕暮れ時が特に美しい!

    Ballparkの楽しみ方

     港町ならではのアメリカン・シーフードを堪能しましょう。「クラブケーキ・エッグロール」は、カニの身がぎっしり詰まった揚げ春巻きのようなもの。ポン酢ソースの酸味との相性も抜群です。「モ・ガバズ・フライドシュリンプ」は、プリップリのエビフライ。売上につき1ドルが難病と闘う子供たちのために寄付されます。MLBスタジアムの中でも指折りの美味しい料理でお腹を満たしたら、球場散策に出かけましょう!

    MLB屈指の美食スタジアム!

     外野スタンドにある「ユートウ・ストリート」が人気のスポットです。通りを歩けば、名物の倉庫1階のチームストアやレストランを楽しめます。

     また足元には、無数のメダル(丸い金属板)があって、ホームランを打ち込んだ選手の名前や飛距離が、ボールの落下地点に埋め込まれています。オリオールズに限らず、全チームのホームランバッターがいるので、お気に入りの選手を探してみてください!

     センター側の入り口付近まで歩けば、ボルティモアで生まれた野球の神様、ベーブ・ルースさんの銅像が立っています。過去にタイムスリップしたような、どこかノスタルジックな雰囲気を、ぜひ楽しんでください!

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第6話 東地区の旅 ナ・リーグ王者編

    2023.1.23 13:43 Monday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、MLB全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパークに」お連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    2022年 ナショナル・リーグ チャンピオン

     フィラデルフィアは、熱狂的なファンが多いことで知られています。ただでさえ、普段から盛り上がっているスタジアムが、地鳴りのような大歓声に包まれました。レギュラーシーズン・東部地区3位ながらも、ポストシーズンのワイルドカードと、ディビジョン・シリーズを勝ち抜き、ナ・リーグ王者に輝いたのです。土壇場での勝負強い一打で、フィリーズをワールドシリーズに導いたブライス・ハーパー選手のバッティングにも注目です!

    シチズンズ・バンク・パークへ

     アメリカ東海岸に連なる、MLBスタジアムを巡る旅に出ましょう。ニューヨークのマンハッタンから、アムトラックという鉄道に乗って、南へ向かいます。景色の移ろいを楽しみながら、「フィラデルフィア30thストリート駅」までは、特急列車で1時間半くらいです。ここから先にも、ボルチモア、ワシントンD.C.と、楽しみが待っているので、ぜひまたご一緒しましょう。

     スタジアムまでは、車で10分ちょっと。赤れんが造りの壁が見えてきました! 「自由の鐘」のオブジェに出迎えられたら…Citizens Bank Park! Nice to meet you!

    球場外の鐘は、前の本拠地「ベテランズ・スタジアム」にあったものを復元

    Ballparkの楽しみ方

     フィラデルフィアは、アメリカ合衆国・建国の地。その象徴で、チームロゴにもなっているのが「自由の鐘(リバティ・ベル)」です。フィリーズ選手がホームランを打つと、スタジアム内にある電飾が揺れ、「ゴ〜ン!」と、鐘の音が鳴り響きます。

     そのちょうど真下、外野通路の「アシュバーン・アレイ」を歩いてみましょう。殿堂入り選手の銅像やチャンピオンズトロフィーなどが並び、19世紀から続くチームの長い歴史を感じられます。

     美味しそうなフード販売店が軒を連ねているので、だんだんお腹が空いてくるかも。人気なのが「ブルズBBQ」という、球場内でバーベキューができるお店。フィラデルフィア発祥、名物の「チーズステーキ(チーズと牛肉のサンドイッチ)」は絶品です!

    とっても濃厚ジューシー!

    みんなで楽しめるボールパーク!

     充実のキッズエリア「ザ・ヤード」は、小さな野球場をはじめ、ピッチングやクライミングといった体を動かせるコーナーが盛り沢山。家族連れにも嬉しい空間です。日本ではなかなかお目にかかれない、ホットドックの弾を発射させ、的に当てるゲームがとってもユニーク。愉快なマスコット「フィリー・ファナティック」が遊びにきてくれるかもしれません。

    ホットドッグ、当てられるかな?

     チームが誕生したのは、1883年。地元民に愛される「フィリーズ」という名前は、プロスポーツ史上、ひとつの都市で最も長く続いているものだそうです。

     2026年には、アメリカ建国250周年を祝ってオールスター・ゲームの会場になることがすでに決まっています。祖国とチームの伝統を守り、ますます強くなるフィリーズ。老若男女、幅広い年代のファンが作り上げる「シチズンズ・バンク・パーク」の熱気に、ぜひ包まれてみてください!

    建国の地での国歌斉唱(ナショナル・アンセム)は圧巻!

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第5話 MLB史上最強球団で野球の伝統・進化を感じよう!

    2023.1.22 12:15 Sunday

     澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。今年アメリカ中を飛び回り、メジャーリーグ全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

    MLB史上最強球団

     ワールドシリーズ制覇27回。ニューヨーク・ヤンキースは、MLBの長い歴史の中で最も多く、その頂点に立ち続けてきました。「野球の神様」ベーブ・ルースさん、「打撃王」ルー・ゲーリッグさん、「ザ・キャプテン」デレック・ジーターさんなど、野球殿堂に名を連ねる方の数もMLB最多です。

     日本からも松井秀喜さん、イチローさん、田中将大さんなど、世界に誇る選手が伝統あるピンストライプのユニフォームに袖を通しました。球団は日本人選手のスカウティングを続け、獲得の好機を狙っています。次にチャンスを掴むのは誰でしょう? 精鋭たちのハイレベルなプレー、ジェントルマンな姿に触れると、心の底からワクワクできるはずです。

    ヤンキー・スタジアムへ

     ニューヨークシティの中心部マンハッタンからメトロ(地下鉄)でアップタウン・ブロンクス方面へと向かいます。球場の最寄り「161st ストリート駅」は、20〜30分ほどで着けちゃいます。地下は圏外なので、改札へ入る前にきっちり確認しておいてくださいね! 僕は乗る電車をよく間違えて何度も遠回りをしたものです(笑) 余談ですが、同じニューヨーク球団のメッツと対戦する『サブウェイ・シリーズ』は一年で最も盛り上がるカードのひとつです。

     地下鉄だけど、駅は地上にあります。陽の光が差し込んできたら、球場はもうすぐそこ! Yankee Stadium! Nice to meet you!

    圧倒的迫力!開放感!これがヤンキー・スタジアム!

    「スーパースター」アーロン・ジャッジ

     スタジアム周辺は試合を心待ちにするファンでいつも賑わっていて、開場を待ち遠しく感じます。お!? 背番号「55」と「99」のユニフォーム姿の親子が手を繋いで歩いています。話しかけてみましょう!

    お父さん「マツイが僕たちをワールドチャンピオンにしてくれた! 彼は僕にとって生涯のヤンキーさ!」
    お子さん「僕はジャッジが好き!」

     ファンにはそれぞれの『ヤンキー(=大好きな選手)』がいます。「世代ごとの選手を応援することで、ヤンキースの伝統は受け継がれていくんだ!」と、お父さんが教えてくれました。2022年シーズンにア・リーグ新記録の62本塁打を放ち、大谷翔平選手を抑えてMVPに輝いたジャッジ選手。9年の超大型契約を結んだだけでなく、ジーターさん以来となるヤンキース第16代キャプテンに選ばれました。真のヤンキーが豪快なアーチを描き、歴史を作る姿を、ぜひその目に焼き付けてください!

    ジャッジ選手vs大谷選手の記念Tシャツ!ホームランを打つのはどっち?

    Ballparkの楽しみ方

     センターのバックスクリーンには、試合前だけ開かれる『モニュメント・パーク』があります。レジェンドたちのレリーフ、その功績を記したパネルが並び、語り継がれる歴史と伝統を感じられる場所です。グラウンド整備の時に『YMCA』が流れ始めたら、一緒に踊りましょう。

     バラエティに富んだ食べ物も充実しています。とってもクレイジーなフードを、2つご紹介しますね。「ポテト&チキンテンダー+ドリンク」のセットは、食事と飲み物をワンハンドで持てて、野球観戦に集中できる優れもの! 「カラフルなケーキ+パフェ」は、迫力とボリューム満点! チョコレートとベリーのケーキは、甘さと酸味のバランスが絶妙です。ちなみに、七色レインボーケーキの日もあるそうですよ。

     チームストアは、全30球団トップクラスの品揃え。オリジナルのグッズも多く、季節によってラインナップがリニューアルされるので、訪れるたびに楽しめます。

     ヤンキースは、ベースボールの伝統を守りながら、新しいエンターテインメントにも挑戦し続けています。これぞ、MLB! 圧倒的なスケールを、全身で感じてみてはいかがでしょうか?

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    福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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  • 【Catch the Moment 19話】初夏のフェンウェイパーク

    2023.1.20 10:18 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     吉田正尚が2023年シーズンからプレーするレッドソックスの本拠地フェンウェイ・パーク。数々の改修を重ねながらも、MLB最古のボールパークの雰囲気をきちんと残し、その歴史を感じさせながらも意外と快適に試合を見ることができ、また球場係員もそこで働くことに誇りと愛情を感じさせてくれ、レッドソックス自ら「最も愛されているボールパーク」というに値する空間だ。

     シーズン開幕直後の4月初旬やポストシーズンに入る10月になると寒い日も多く、また雨に当たる確率も高くなるが、暖かくなってくる初夏の頃のデーゲームで、しかも天気が良いとなると、本当にこの空間は心地が良い。

    How to “Catch the Moment”

     この写真はボストンの気候も暖かくなってきた5月中旬、週末のデーゲームの試合前。試合前のグランド整備中に、逆に選手がいないからこそ、このボールパークの空間としての心地よさを写したくてシャッターを切った。

     フェンウェイパークの雰囲気を感じながら、2023年シーズンのMLBを、そしてこのバッターボックスに吉田正尚選手が立つ姿を想像しながら寒い冬を乗り切ってもらえたらと思う。

  • 【Catch the Moment 18話】チームを去るヒーローにエール

    2023.1.20 10:14 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     スタンディングオベーションで迎えられ、万感の思いの表情を浮かべてバッターボックスに立つのは、今オフFAでセントルイス・カージナルスに移籍したウィルソン・コントレラス。この写真はトレード期限前最後のホームゲームのパイレーツ戦。

     108年ぶりにワールドシリーズを制覇したメンバーの生き残りとしてカブスに在籍していたコントレラスも、いよいよトレードが成立して去っていってしまうだろう、という雰囲気の中での一コマ。

    How to “Catch the Moment”

     最終的にトレードは成立せずにシーズン終了までカブスのユニフォームを着続けたコントレラスだったが、来シーズンからは同地区のライバルチーム、カージナルスのユニフォームを着ることになる。

     このときは暖かい拍手で迎えられたが、来シーズン、ライバルチームの正捕手としてリグレー・フィールドを訪れた際にはどのように迎えられて、またどんな表情をコントレラスは浮かべるのか注目したい。

  • 【Catch the Moment 17話】試合の流れを決定づけた瞬間

    2023.1.20 10:10 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     流れが何度も変わった今年のワールドシリーズ。1勝1敗で本拠地に戻ったフィリーズ。そこからの3連戦で少なくとも勝ち越すためにはどうしても取りたい第3戦。

     1回表にニック・カステヤノスのスライディングキャッチという幕開けで、いきなり大興奮のシチズンズバンク・パーク。その裏、打席にはワールドシリーズ本拠地初打席の頼れる主砲ブライス・ハーパー。ファン総立ちでハーパーを打席に迎え入れると、その初球を捉えたハーパーの打球はライトスタンドへ。

     打った瞬間ホームランとわかる打球を見送るハーパーとその後ろには総立ちのファン。このシリーズ中、フィリーズが、そしてシチズンズバンク・パークが最も盛り上がった瞬間を表現できるよう一枚の写真に収めた。

    How to “Catch the Moment”

     スーパースターが打つと、やはりチームは盛り上がる。このホームランで一気に流れを引き寄せたフィリーズは7対0で勝利。このときはシリーズそのものの流れもフィリーズが掴んだと思ったのだが。それでも今年のポストシーズンにおけるハーパーの千両役者ぶりとフィリーズ・ファンの興奮を表す一枚になったと思う。

  • 【Catch the Moment 16話】ノーヒットノーラン達成の瞬間

    2023.1.20 10:05 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     今年のワールドシリーズ第4戦、アストロズの4投手によるノーヒッターが達成された。

     ここまでフィリーズが2勝1敗とシリーズをリード。ホームで連勝して一気に勢いに乗りたいフィリーズをノーヒッターでガッチリ勢いを止めたアストロズにとって会心の一戦。

     ノーヒッターの最後のアウトをどう撮るか。喜ぶ投手のガッツポーズも取りたいが、やはりヒットの欄に0と入っているスコアボード、投手、バッターを全て一枚に収めたいというのが僕のアイディア。

    How to “Catch the Moment”

     幸いなことに、フィリーズの本拠シチズンズバンク・パークではそうした絵柄が撮れる位置にカメラを置いておくことができる。試合前はまさかこんな歴史的な試合になるとは思わなかったものの、無事にカメラが作動してくれることを祈って、最後のアウトの瞬間をリモコンカメラに委ねた。

     結果、危うくマウンドが切れそうになっていたものの、投手のライアン・プレスリー、最後のバッターのJ・T・リアルミュート、スコアボード、そしてシチズンズバンク・パークというのがよくわかる、綺麗な一枚が撮れた。

  • 【Catch the Moment 15話】無常感を表す一枚

    2023.1.20 09:40 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     基本的に野球は雨の中では行わない。しかし、スケジュールに予備日を設けていない、そしてドーム球場が少ないMLBは、日本に比べて多少の雨の中では試合をする。特にポストシーズンなどの場合は、雨天中断をすると、投手のコンディショニングの問題や、試合の流れが途切れるということもあり、一度試合を始めるとちょっとやそっとの雨では試合を中断しない。

     この日、NLDS第4戦は7回を終えると雨が降り出した。中断してもよさそうな激しさだが、次ラウンドに進むかどうかが決定するかもしれない大事な試合。我々カメラマンもずぶ濡れになりながら撮影を続けた。

    How to “Catch the Moment”

     そうなると雨の雰囲気を活かして撮影しようというのがカメラマンの性。あまり工夫をしなくても写り込むほどの激しい雨だが、より雨の滴が映り込むように、背景が黒くなるポイントでシャッターを切った。

     試合は3点のリードを一挙に逆転され、打席には2019年MVPながら今シーズンは先発を外れることも多かったコディ・ベリンジャー。センターフライを打ち上げ、無念の面持ちで一塁に向かう表情に激しい雨粒の舞台効果が加わり、ドジャースの敗れていく無常感を表すような写真になった。

  • 【Catch the Moment 14話】優勝決定の瞬間

    2023.1.20 09:36 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     優勝決定の瞬間をどう撮るか。正解があるようで、実は毎回頭を悩ませる。与えられた撮影ポジション、それ以外で 撮影可能な場所、そしてその後のセレモニーへの流れ。各ボールパークで条件が異なるので、毎回同じというわけにはいかない。

     今年のワールドシリーズは、レギュラーシーズンを最高勝率で終え、ポストシーズンもその実力通りに勝ち進んできたアストロズと、最下位シードのワイルドカードから勝ち進んできたフィリーズの対戦で行われた。久しぶりのワールドシリーズに湧くフィリーズのシチズンズバンク・パークに比べ、過去6年で5回目のワールドシリーズを戦うアストロズ。最初の2戦に関しては、アストロズのミニッツメイド・パークは、フィラデルフィアよりはおとなしかったかもしれない。

     しかし、敵地で2勝1敗と勝ち越して3勝2敗、5年ぶりのワールドシリーズ制覇に王手をかけてヒューストンに戻ってくると、地元での初めてのワールドシリーズ制覇に向けて、ミニッツメイド・パークの興奮は最高潮に達していた。

    How to “Catch the Moment”

     優勝決定の瞬間、クローザーのライアン・プレスリーを中心に歓喜の輪ができる。そこにダグアウトからマウンドに向けて飛び出す選手たち。さらにその背景に最高に盛り上がるスタンドが写るよう、選手にクローズアップするより、少し広めの画角のレンズでその瞬間を狙った。

     優勝チームの本境地でワールドシリーズの決着がつくのは2013年レッドソックス以来9年ぶり。最高の盛り上がりを見せるスタンドとともに撮ったワールドシリーズ優勝の瞬間。今シーズンを締めくくるに相応しい歓喜の写真になったように思う。

  • 【Catch the Moment 13話】お祭りムードで盛り上がるファン

    2023.1.20 09:33 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     11月になってしまったが、「レッド・オクトーバー」というキャッチフレーズのもと、熱狂的な盛り上がりをしているのがフィリーズの本拠地シチズンズバンク・パーク。ポストシーズン進出チームが増えた恩恵に授かってリーグ最低勝率でポストシーズンに進出すると、カージナルス、パドレスを撃破。勢いに乗ってワールドシリーズに進出した。

     その勢いは敵地ヒューストンからシリーズが始まっても衰えず、初戦に5点差を逆転して勝利を収めると、第2戦は敗れ、さらに本拠地のシチズンズバンク・パークでの第3戦が雨天順延になっても、13年ぶりのシチズンズバンク・パークでのワールドシリーズにファンは熱狂。圧倒的な声援で第3戦の勝利を後押しした。

     5本のホームランが飛び出し、試合は5回を終わって7対0。こういった展開になると、試合のひとつひとつのアクションよりも、お祭りムードで盛り上がるボールパークの雰囲気を撮ろうと、より熱いファンがいる外野席に向かった。

    How to “Catch the Moment”

     外野エリアでは、熱狂的なファンが、ピッチャーが2ストライクを取るたびに赤いタオルを振り回して声援を送る。またはブライス・ハーパーが打席に立つと、「MVP」の掛け声のもと、赤いタオルを振り回す。そして無事に7対0で完勝すると、大盛り上がりでその勝利の喜びを分かち合う瞬間を、その場にいるような臨場感で撮影しようと魚眼レンズでファンの輪の中に入って撮影した。

     今回ほどファンの声援が大きなワールドシリーズは久しぶりな気がする。これでフィリーズは2勝1敗とリードし、本拠地でのワールドシリーズ制覇に向けて、ファンのボルテージも上がるだろう。その大歓声をバックにフィリーズはワールドチャンピオンに突き進むだろうか。今後の展開からも目が離せない。

  • 【Catch the Moment 12話】飛び散るシャンパンとビール

    2023.1.20 09:30 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     MLBだと優勝決定、もしくはポストシーズンの次のラウンドに勝ち抜けるとシャンパンファイトが行われる。普段はクラブハウスに入ることができないカメラマンも、限られた人数ながらそのシャンパンファイトの模様を撮影するために入室が許可される。

    How to “Catch the Moment”

     シャンパンファイトの雰囲気を綺麗に撮るにはシャンパンやビールの泡が飛び散る様子が大事。普段はその泡が写り込むよう、カメラの防水対策をして、自身も雨具を着るなどして歓喜の輪に突っ込んでいくのだが、この時は想定より早く優勝が決まったため、カメラも自身も丸裸。したがって、本来であれば、真正面に回り込んで撮るシーンを、今回は少し引き気味に、横からその様子を撮影した。

     しかし、シーズン中、完全に負け越していたドジャースを3勝1敗で倒して喜びを爆発させたパドレス。少し横からでも迫力ある泡の飛び散る様を撮影することができた。

     この後、髪の毛がベタベタになって、着ていた服もビールとシャンパンでびしょ濡れになりながらLAまで運転して戻った。このときは、まだ先を考えながらの撮影だったが、ワールドシリーズの優勝決定後は、しっかりと準備をして、心置きなくシャンパンを浴びまくりながら、より迫力あるシャンパンファイトを撮りたいと思う。

  • 【Catch the Moment 11話】オクトーバー・ベースボールの興奮

    2023.1.20 09:27 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     MLBも10月に入るとポストシーズン。短期決戦で負けたら終わりのトーナメント形式となると、選手たちのテンションも高く、プレーのひとつひとつに喜怒哀楽が出ることが多くなる。

     この写真はNLDSドジャース対パドレスの第4戦。この試合に勝ってシリーズを2対2のイーブンとし、ホームへ戻りたいドジャース。今年の対戦シリーズ全てで勝ち越している強さを見せつけ、7回まで3対0と順調にリード広げる。しかし、ホームのこの試合で一気にNLCS進出を決めたいパドレスの執念が7回裏に爆発した。

     7回裏、この回から登板したドジャースのトミー・ケインリーが先頭打者を歩かせると、続くトレント・グリシャムがヒットで繋いでオースティン・ノラのセカンドゴロの間に1点を返す。そこで投手は交代するが、パドレスの勢いを止めることはできない。金河成(キム・ハソン)、フアン・ソトのヒットで同点に追いつくとペトコ・パークは大興奮。

    How to “Catch the Moment”

     この球場内の雰囲気になれば、ジェイク・クロネンワースに逆転打が出るだろう。また、クロネンワースもベンチに向けてリアクションをするだろうと予測を立てた。最高潮に盛り上がるホームならでの雰囲気を活かそうと、表情のアップではなく、総立ちのスタンドが背景に写る画角のレンズに持ち替えて逆転打の瞬間を待った。

     見事に逆転打を放ってダグアウトに向かって指差すクロネンワース。背景にはホームに向けて走るキムと総立ちのスタンド。その間に失意のドジャース・ダグアウト。

    「オクトーバー・ベースボール」。レギュラーシーズン以上に勝ち負けに熱くなるMLBのポストシーズンを指してそう呼ぶこともあるが、その言葉を表すような写真になったと思う。

  • 【Catch the Moment 10話】カメラ席から観客席まで駆け上がる

    2023.1.20 09:24 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     太陽が西に傾き、影が長く伸びる時間帯になると、スタンドの隙間からフィールドのある部分にスポットのように陽が当たることがある。この日はロードゲーム、ニューヨークのシティ・フィールドながらマウンド上にはクレイトン・カーショウ。ドジャースの、今のメジャーリーグを代表するピッチャーを見事に照らし出していた。

    How to “Catch the Moment”

     撮影ポジション、撮り方によってはカーショウ自身にスポットライトが当たっているような写真も撮れるが、今回は光の木漏れ具合と時間から、フィールドに照らし出される影を生かして撮ろうと思い、フィールドレベルのカメラマン席から観客席の頂上まで駆け上がった。

     カーショウの右腕と右足を投げ出すような特徴的フォームの影がフィールドに綺麗に描かれる。そんなポジションを探し出してシャッターを切った。

  • 【Catch the Moment ⑨】チームの喜びが爆発した瞬間も、ピントは主役に

    2023.1.18 13:48 Wednesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     サヨナラ勝ちの瞬間というのは、殊勲の選手に向けてダグアウトから選手たちが飛び出してきて、フィールド内でセレブレーションが起こる。チームとしての喜びが爆発した瞬間を撮れる絶好の機会だ。

     この時はミルウォーキー・ブリュワーズがサヨナラ勝ち。自身の撮影位置はそのブリュワーズのベンチ側だった。打ったウィリー・アダメスは熱いプレースタイルも含めて、チームリーダーの一人と目されるタイプ。ダグアウトから駆けつけるチームメイトたちに向かって最高の表情を見せてくれると予想して、打った直後からヒットになったかはわからないものの目を切らずにレンズで追った。

    How to “Catch the Moment”

     アダメスを追いながらも、そこに駆け寄っていく選手たちはファインダーの中で確認しながら、オートフォーカスをオン、オフしながら、ダグアウトから飛び出す選手たちの背中にピントを持っていかれず、主役のアダメスにピントが合い続けるように工夫する。

     巨漢ながら、いの一番にアダメスに駆けつけたラウディ・テレズに飛びつくアダメス。そこに駆け寄る選手たちの背中を写し込こむことによって、サヨナラ勝ちの喜びの勢いを表現できた。

  • 【Catch the Moment ⑧】20年以上撮り続けた選手

    2023.1.17 12:09 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     今シーズン限りでの引退を表明しているアルバート・プホルス。2001年にデビューし、イチローさんと共に新人王に輝くと、2006年、2011年とセントルイス・カージナルスでワールドシリーズを制覇。エンゼルスに大谷翔平選手が移籍した際には、そのエンゼルスに在籍しており、大谷選手がスタンスを参考にしたことでも有名な将来の殿堂入りが確実視されているスラッガー。

     20年以上撮り続けた選手がそのキャリアを終える。今シーズンの序盤にそのプレーする姿を撮影したものの、本拠地ブッシュ・スタジアムでの姿を撮っておきたくてセントルイスに撮影に向かったのは8月中旬。

    How to “Catch the Moment”

     ブッシュ・スタジアムを象徴するスコアボードのカージナルスのロゴとプホルスを一枚の写真に収まるようなポジションから撮影しようと思っていたら、空にうっすらと、いい感じで雲が出ていた。

     ダグアウトからフィールドへ出る階段に佇むプホルス。スコアボードよりも、夕焼けに赤く染まる雲が、彼から出ているオーラのように感じて、縦位置で、オーラが立ち上っているような雰囲気になるように撮影した。

     雲が赤く染まるのはほんの数分。そのタイミングとプホルスがそこに立ったタイミングに感謝した瞬間だった。

  • 【Catch the Moment ⑦】意外と難しいお約束シーン

    2023.1.17 12:03 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     「Walk off Win」― 日本でいうサヨナラ勝ちをした際、そのヒーローインビュー中にウォーターサーバーを後ろからぶちまけるのがお約束のMLB。上手く撮れたら水しぶきが飛び交う様子は喜びの表情と共に迫力満点だが意外と難しい。

     テレビカメラに向かって話しているため、その横で正面から撮っていれば撮れるようにも思うけれど、1枚でのその瞬間を見せる写真の場合、必ずしもそうではない。思いがけず水を掛けられた瞬間、人間というのは俯いたり、顔を覆ったり、または掛けられる直前に逃げだしたり、かけられる選手がどうリアクションするかわからないので、意外と正面が良いとは限らない。

    How to “Catch the Moment”

     この時はテレビカメラから90度近く。インタビューを受けている選手の横からその瞬間を狙った。その位置の方がスタンドの切れ目から背景が黒くなる部分が多いので、水しぶきが映える。というのと、水をかける選手がグランドの方に走り抜けていくだろうという予想から、その位置取りをした。

     水を掛けられたボビー・ウィットJr.がその瞬間に顔を両手で覆ったため、この位置だったからこそ表情を捉えることができた。その表情の周りには予想通りゲータレードの水しぶきが写り込んで、狙いに近い迫力ある歓喜の写真になった。

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