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  • 【Catch the Moment 最終話】2022年シーズン最高の一枚

    2023.1.25 19:38 Wednesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     MLBシーズン最後に行われるワールドシリーズ。その優勝決定の瞬間は選手たちもその喜びを最大限に爆発させ、まさに長いシーズンのクライマックス。

     その瞬間をどう撮るか。特に今年のヒューストン・アストロズのように本拠地で優勝が決定する場合、選手たちだけではなく、ボールパーク全体の盛り上がりも写真に収めたくなるので、どう撮影しようかと頭を悩ませる。

    How to “Catch the Moment”

     最終的に優勝決定のシーンのカメラは2台体制。1台はベンチから飛び出し、マウンド上で抱き合う選手たちの表情がよくわかるよう選手たちを主体に。もう1台は本拠地で優勝が決まる今年のようなときだからこそ、球場全体の熱狂を感じてもらえるようにワイドアングルで。

     この写真はワイドアングルで狙ったほうの写真。球場全体が総立ちのファンでオレンジ色に染まるなか、抱き合いながらベンチから駆け出す選手。そこに、実はこの瞬間まで知らなかった球場上部から飛び出した紙テープがアクセントとなり、シーズンのクライマックス。

     ボールパーク全体が熱狂する雰囲気のよく出た写真になった。

  • 【Catch the Moment 19話】初夏のフェンウェイパーク

    2023.1.20 10:18 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     吉田正尚が2023年シーズンからプレーするレッドソックスの本拠地フェンウェイ・パーク。数々の改修を重ねながらも、MLB最古のボールパークの雰囲気をきちんと残し、その歴史を感じさせながらも意外と快適に試合を見ることができ、また球場係員もそこで働くことに誇りと愛情を感じさせてくれ、レッドソックス自ら「最も愛されているボールパーク」というに値する空間だ。

     シーズン開幕直後の4月初旬やポストシーズンに入る10月になると寒い日も多く、また雨に当たる確率も高くなるが、暖かくなってくる初夏の頃のデーゲームで、しかも天気が良いとなると、本当にこの空間は心地が良い。

    How to “Catch the Moment”

     この写真はボストンの気候も暖かくなってきた5月中旬、週末のデーゲームの試合前。試合前のグランド整備中に、逆に選手がいないからこそ、このボールパークの空間としての心地よさを写したくてシャッターを切った。

     フェンウェイパークの雰囲気を感じながら、2023年シーズンのMLBを、そしてこのバッターボックスに吉田正尚選手が立つ姿を想像しながら寒い冬を乗り切ってもらえたらと思う。

  • 【Catch the Moment 18話】チームを去るヒーローにエール

    2023.1.20 10:14 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     スタンディングオベーションで迎えられ、万感の思いの表情を浮かべてバッターボックスに立つのは、今オフFAでセントルイス・カージナルスに移籍したウィルソン・コントレラス。この写真はトレード期限前最後のホームゲームのパイレーツ戦。

     108年ぶりにワールドシリーズを制覇したメンバーの生き残りとしてカブスに在籍していたコントレラスも、いよいよトレードが成立して去っていってしまうだろう、という雰囲気の中での一コマ。

    How to “Catch the Moment”

     最終的にトレードは成立せずにシーズン終了までカブスのユニフォームを着続けたコントレラスだったが、来シーズンからは同地区のライバルチーム、カージナルスのユニフォームを着ることになる。

     このときは暖かい拍手で迎えられたが、来シーズン、ライバルチームの正捕手としてリグレー・フィールドを訪れた際にはどのように迎えられて、またどんな表情をコントレラスは浮かべるのか注目したい。

  • 【Catch the Moment 17話】試合の流れを決定づけた瞬間

    2023.1.20 10:10 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     流れが何度も変わった今年のワールドシリーズ。1勝1敗で本拠地に戻ったフィリーズ。そこからの3連戦で少なくとも勝ち越すためにはどうしても取りたい第3戦。

     1回表にニック・カステヤノスのスライディングキャッチという幕開けで、いきなり大興奮のシチズンズバンク・パーク。その裏、打席にはワールドシリーズ本拠地初打席の頼れる主砲ブライス・ハーパー。ファン総立ちでハーパーを打席に迎え入れると、その初球を捉えたハーパーの打球はライトスタンドへ。

     打った瞬間ホームランとわかる打球を見送るハーパーとその後ろには総立ちのファン。このシリーズ中、フィリーズが、そしてシチズンズバンク・パークが最も盛り上がった瞬間を表現できるよう一枚の写真に収めた。

    How to “Catch the Moment”

     スーパースターが打つと、やはりチームは盛り上がる。このホームランで一気に流れを引き寄せたフィリーズは7対0で勝利。このときはシリーズそのものの流れもフィリーズが掴んだと思ったのだが。それでも今年のポストシーズンにおけるハーパーの千両役者ぶりとフィリーズ・ファンの興奮を表す一枚になったと思う。

  • 【Catch the Moment 16話】ノーヒットノーラン達成の瞬間

    2023.1.20 10:05 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     今年のワールドシリーズ第4戦、アストロズの4投手によるノーヒッターが達成された。

     ここまでフィリーズが2勝1敗とシリーズをリード。ホームで連勝して一気に勢いに乗りたいフィリーズをノーヒッターでガッチリ勢いを止めたアストロズにとって会心の一戦。

     ノーヒッターの最後のアウトをどう撮るか。喜ぶ投手のガッツポーズも取りたいが、やはりヒットの欄に0と入っているスコアボード、投手、バッターを全て一枚に収めたいというのが僕のアイディア。

    How to “Catch the Moment”

     幸いなことに、フィリーズの本拠シチズンズバンク・パークではそうした絵柄が撮れる位置にカメラを置いておくことができる。試合前はまさかこんな歴史的な試合になるとは思わなかったものの、無事にカメラが作動してくれることを祈って、最後のアウトの瞬間をリモコンカメラに委ねた。

     結果、危うくマウンドが切れそうになっていたものの、投手のライアン・プレスリー、最後のバッターのJ・T・リアルミュート、スコアボード、そしてシチズンズバンク・パークというのがよくわかる、綺麗な一枚が撮れた。

  • 【Catch the Moment 15話】無常感を表す一枚

    2023.1.20 09:40 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     基本的に野球は雨の中では行わない。しかし、スケジュールに予備日を設けていない、そしてドーム球場が少ないMLBは、日本に比べて多少の雨の中では試合をする。特にポストシーズンなどの場合は、雨天中断をすると、投手のコンディショニングの問題や、試合の流れが途切れるということもあり、一度試合を始めるとちょっとやそっとの雨では試合を中断しない。

     この日、NLDS第4戦は7回を終えると雨が降り出した。中断してもよさそうな激しさだが、次ラウンドに進むかどうかが決定するかもしれない大事な試合。我々カメラマンもずぶ濡れになりながら撮影を続けた。

    How to “Catch the Moment”

     そうなると雨の雰囲気を活かして撮影しようというのがカメラマンの性。あまり工夫をしなくても写り込むほどの激しい雨だが、より雨の滴が映り込むように、背景が黒くなるポイントでシャッターを切った。

     試合は3点のリードを一挙に逆転され、打席には2019年MVPながら今シーズンは先発を外れることも多かったコディ・ベリンジャー。センターフライを打ち上げ、無念の面持ちで一塁に向かう表情に激しい雨粒の舞台効果が加わり、ドジャースの敗れていく無常感を表すような写真になった。

  • 【Catch the Moment 14話】優勝決定の瞬間

    2023.1.20 09:36 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     優勝決定の瞬間をどう撮るか。正解があるようで、実は毎回頭を悩ませる。与えられた撮影ポジション、それ以外で 撮影可能な場所、そしてその後のセレモニーへの流れ。各ボールパークで条件が異なるので、毎回同じというわけにはいかない。

     今年のワールドシリーズは、レギュラーシーズンを最高勝率で終え、ポストシーズンもその実力通りに勝ち進んできたアストロズと、最下位シードのワイルドカードから勝ち進んできたフィリーズの対戦で行われた。久しぶりのワールドシリーズに湧くフィリーズのシチズンズバンク・パークに比べ、過去6年で5回目のワールドシリーズを戦うアストロズ。最初の2戦に関しては、アストロズのミニッツメイド・パークは、フィラデルフィアよりはおとなしかったかもしれない。

     しかし、敵地で2勝1敗と勝ち越して3勝2敗、5年ぶりのワールドシリーズ制覇に王手をかけてヒューストンに戻ってくると、地元での初めてのワールドシリーズ制覇に向けて、ミニッツメイド・パークの興奮は最高潮に達していた。

    How to “Catch the Moment”

     優勝決定の瞬間、クローザーのライアン・プレスリーを中心に歓喜の輪ができる。そこにダグアウトからマウンドに向けて飛び出す選手たち。さらにその背景に最高に盛り上がるスタンドが写るよう、選手にクローズアップするより、少し広めの画角のレンズでその瞬間を狙った。

     優勝チームの本境地でワールドシリーズの決着がつくのは2013年レッドソックス以来9年ぶり。最高の盛り上がりを見せるスタンドとともに撮ったワールドシリーズ優勝の瞬間。今シーズンを締めくくるに相応しい歓喜の写真になったように思う。

  • 【Catch the Moment 13話】お祭りムードで盛り上がるファン

    2023.1.20 09:33 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     11月になってしまったが、「レッド・オクトーバー」というキャッチフレーズのもと、熱狂的な盛り上がりをしているのがフィリーズの本拠地シチズンズバンク・パーク。ポストシーズン進出チームが増えた恩恵に授かってリーグ最低勝率でポストシーズンに進出すると、カージナルス、パドレスを撃破。勢いに乗ってワールドシリーズに進出した。

     その勢いは敵地ヒューストンからシリーズが始まっても衰えず、初戦に5点差を逆転して勝利を収めると、第2戦は敗れ、さらに本拠地のシチズンズバンク・パークでの第3戦が雨天順延になっても、13年ぶりのシチズンズバンク・パークでのワールドシリーズにファンは熱狂。圧倒的な声援で第3戦の勝利を後押しした。

     5本のホームランが飛び出し、試合は5回を終わって7対0。こういった展開になると、試合のひとつひとつのアクションよりも、お祭りムードで盛り上がるボールパークの雰囲気を撮ろうと、より熱いファンがいる外野席に向かった。

    How to “Catch the Moment”

     外野エリアでは、熱狂的なファンが、ピッチャーが2ストライクを取るたびに赤いタオルを振り回して声援を送る。またはブライス・ハーパーが打席に立つと、「MVP」の掛け声のもと、赤いタオルを振り回す。そして無事に7対0で完勝すると、大盛り上がりでその勝利の喜びを分かち合う瞬間を、その場にいるような臨場感で撮影しようと魚眼レンズでファンの輪の中に入って撮影した。

     今回ほどファンの声援が大きなワールドシリーズは久しぶりな気がする。これでフィリーズは2勝1敗とリードし、本拠地でのワールドシリーズ制覇に向けて、ファンのボルテージも上がるだろう。その大歓声をバックにフィリーズはワールドチャンピオンに突き進むだろうか。今後の展開からも目が離せない。

  • 【Catch the Moment 12話】飛び散るシャンパンとビール

    2023.1.20 09:30 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     MLBだと優勝決定、もしくはポストシーズンの次のラウンドに勝ち抜けるとシャンパンファイトが行われる。普段はクラブハウスに入ることができないカメラマンも、限られた人数ながらそのシャンパンファイトの模様を撮影するために入室が許可される。

    How to “Catch the Moment”

     シャンパンファイトの雰囲気を綺麗に撮るにはシャンパンやビールの泡が飛び散る様子が大事。普段はその泡が写り込むよう、カメラの防水対策をして、自身も雨具を着るなどして歓喜の輪に突っ込んでいくのだが、この時は想定より早く優勝が決まったため、カメラも自身も丸裸。したがって、本来であれば、真正面に回り込んで撮るシーンを、今回は少し引き気味に、横からその様子を撮影した。

     しかし、シーズン中、完全に負け越していたドジャースを3勝1敗で倒して喜びを爆発させたパドレス。少し横からでも迫力ある泡の飛び散る様を撮影することができた。

     この後、髪の毛がベタベタになって、着ていた服もビールとシャンパンでびしょ濡れになりながらLAまで運転して戻った。このときは、まだ先を考えながらの撮影だったが、ワールドシリーズの優勝決定後は、しっかりと準備をして、心置きなくシャンパンを浴びまくりながら、より迫力あるシャンパンファイトを撮りたいと思う。

  • 【Catch the Moment 11話】オクトーバー・ベースボールの興奮

    2023.1.20 09:27 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     MLBも10月に入るとポストシーズン。短期決戦で負けたら終わりのトーナメント形式となると、選手たちのテンションも高く、プレーのひとつひとつに喜怒哀楽が出ることが多くなる。

     この写真はNLDSドジャース対パドレスの第4戦。この試合に勝ってシリーズを2対2のイーブンとし、ホームへ戻りたいドジャース。今年の対戦シリーズ全てで勝ち越している強さを見せつけ、7回まで3対0と順調にリード広げる。しかし、ホームのこの試合で一気にNLCS進出を決めたいパドレスの執念が7回裏に爆発した。

     7回裏、この回から登板したドジャースのトミー・ケインリーが先頭打者を歩かせると、続くトレント・グリシャムがヒットで繋いでオースティン・ノラのセカンドゴロの間に1点を返す。そこで投手は交代するが、パドレスの勢いを止めることはできない。金河成(キム・ハソン)、フアン・ソトのヒットで同点に追いつくとペトコ・パークは大興奮。

    How to “Catch the Moment”

     この球場内の雰囲気になれば、ジェイク・クロネンワースに逆転打が出るだろう。また、クロネンワースもベンチに向けてリアクションをするだろうと予測を立てた。最高潮に盛り上がるホームならでの雰囲気を活かそうと、表情のアップではなく、総立ちのスタンドが背景に写る画角のレンズに持ち替えて逆転打の瞬間を待った。

     見事に逆転打を放ってダグアウトに向かって指差すクロネンワース。背景にはホームに向けて走るキムと総立ちのスタンド。その間に失意のドジャース・ダグアウト。

    「オクトーバー・ベースボール」。レギュラーシーズン以上に勝ち負けに熱くなるMLBのポストシーズンを指してそう呼ぶこともあるが、その言葉を表すような写真になったと思う。

  • 【Catch the Moment 10話】カメラ席から観客席まで駆け上がる

    2023.1.20 09:24 Friday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     太陽が西に傾き、影が長く伸びる時間帯になると、スタンドの隙間からフィールドのある部分にスポットのように陽が当たることがある。この日はロードゲーム、ニューヨークのシティ・フィールドながらマウンド上にはクレイトン・カーショウ。ドジャースの、今のメジャーリーグを代表するピッチャーを見事に照らし出していた。

    How to “Catch the Moment”

     撮影ポジション、撮り方によってはカーショウ自身にスポットライトが当たっているような写真も撮れるが、今回は光の木漏れ具合と時間から、フィールドに照らし出される影を生かして撮ろうと思い、フィールドレベルのカメラマン席から観客席の頂上まで駆け上がった。

     カーショウの右腕と右足を投げ出すような特徴的フォームの影がフィールドに綺麗に描かれる。そんなポジションを探し出してシャッターを切った。

  • 【Catch the Moment ⑨】チームの喜びが爆発した瞬間も、ピントは主役に

    2023.1.18 13:48 Wednesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     サヨナラ勝ちの瞬間というのは、殊勲の選手に向けてダグアウトから選手たちが飛び出してきて、フィールド内でセレブレーションが起こる。チームとしての喜びが爆発した瞬間を撮れる絶好の機会だ。

     この時はミルウォーキー・ブリュワーズがサヨナラ勝ち。自身の撮影位置はそのブリュワーズのベンチ側だった。打ったウィリー・アダメスは熱いプレースタイルも含めて、チームリーダーの一人と目されるタイプ。ダグアウトから駆けつけるチームメイトたちに向かって最高の表情を見せてくれると予想して、打った直後からヒットになったかはわからないものの目を切らずにレンズで追った。

    How to “Catch the Moment”

     アダメスを追いながらも、そこに駆け寄っていく選手たちはファインダーの中で確認しながら、オートフォーカスをオン、オフしながら、ダグアウトから飛び出す選手たちの背中にピントを持っていかれず、主役のアダメスにピントが合い続けるように工夫する。

     巨漢ながら、いの一番にアダメスに駆けつけたラウディ・テレズに飛びつくアダメス。そこに駆け寄る選手たちの背中を写し込こむことによって、サヨナラ勝ちの喜びの勢いを表現できた。

  • 【Catch the Moment ⑧】20年以上撮り続けた選手

    2023.1.17 12:09 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     今シーズン限りでの引退を表明しているアルバート・プホルス。2001年にデビューし、イチローさんと共に新人王に輝くと、2006年、2011年とセントルイス・カージナルスでワールドシリーズを制覇。エンゼルスに大谷翔平選手が移籍した際には、そのエンゼルスに在籍しており、大谷選手がスタンスを参考にしたことでも有名な将来の殿堂入りが確実視されているスラッガー。

     20年以上撮り続けた選手がそのキャリアを終える。今シーズンの序盤にそのプレーする姿を撮影したものの、本拠地ブッシュ・スタジアムでの姿を撮っておきたくてセントルイスに撮影に向かったのは8月中旬。

    How to “Catch the Moment”

     ブッシュ・スタジアムを象徴するスコアボードのカージナルスのロゴとプホルスを一枚の写真に収まるようなポジションから撮影しようと思っていたら、空にうっすらと、いい感じで雲が出ていた。

     ダグアウトからフィールドへ出る階段に佇むプホルス。スコアボードよりも、夕焼けに赤く染まる雲が、彼から出ているオーラのように感じて、縦位置で、オーラが立ち上っているような雰囲気になるように撮影した。

     雲が赤く染まるのはほんの数分。そのタイミングとプホルスがそこに立ったタイミングに感謝した瞬間だった。

  • 【Catch the Moment ⑦】意外と難しいお約束シーン

    2023.1.17 12:03 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     「Walk off Win」― 日本でいうサヨナラ勝ちをした際、そのヒーローインビュー中にウォーターサーバーを後ろからぶちまけるのがお約束のMLB。上手く撮れたら水しぶきが飛び交う様子は喜びの表情と共に迫力満点だが意外と難しい。

     テレビカメラに向かって話しているため、その横で正面から撮っていれば撮れるようにも思うけれど、1枚でのその瞬間を見せる写真の場合、必ずしもそうではない。思いがけず水を掛けられた瞬間、人間というのは俯いたり、顔を覆ったり、または掛けられる直前に逃げだしたり、かけられる選手がどうリアクションするかわからないので、意外と正面が良いとは限らない。

    How to “Catch the Moment”

     この時はテレビカメラから90度近く。インタビューを受けている選手の横からその瞬間を狙った。その位置の方がスタンドの切れ目から背景が黒くなる部分が多いので、水しぶきが映える。というのと、水をかける選手がグランドの方に走り抜けていくだろうという予想から、その位置取りをした。

     水を掛けられたボビー・ウィットJr.がその瞬間に顔を両手で覆ったため、この位置だったからこそ表情を捉えることができた。その表情の周りには予想通りゲータレードの水しぶきが写り込んで、狙いに近い迫力ある歓喜の写真になった。

  • 【Catch the Moment ⑥】ダイビングスローの瞬間!

    2023.1.17 11:55 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     ダイナミックな守備もMLBの醍醐味のひとつ。ボテボテの当たりとなった打球をサードがダッシュして「ダイビングスロー!」というシーンは写真からでもその選手の身体能力が感じられる。

     この写真のホセ・ラミレスは毎年3割30本に近い成績。クリーブランド・ガーディアンズの主軸打者としての活躍と175センチという小柄でちょっとずんぐりとした風貌から、バッティングの選手という印象を与えがちだが、守備もとても器用にこなして上手い。

    How to “Catch the Moment”

     この時は三塁前にゆるいゴロが転がった瞬間、ラミレスのダイビングスローが撮れるかと思ってサードにレンズを向けた。ファインダーに姿を確認した走り出す打者。ラミレスの投げる瞬間に重なりそうと予測したため、ランナーにピントを引っ張られないようにピントの合わせ方に工夫をして、また、逆にそのランナーと送球を同時に写し込むことによって、ギリギリのスピード感を表現してみた。

  • 【Catch the Moment ⑤】ガムの膨らむ瞬間

    2023.1.17 11:51 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     MLB選手のイメージとして、ひまわりの種だったり、ガムを噛みながらだったりというのは古いステレオタイプなのか。しかし、いまだにガムを膨らませる選手の姿を見ると、なんだか楽しくなるようなホッとするような。

     このエウヘニオ・スアレス選手は前回の日米野球でも来日して、いつもプレーを楽しんでいる様子が印象的。今シーズンも足元に弾んだファウルボールをリフティングしてからボールボーイへキックでパスをするなど遊び心が随所に見られる選手だが、ガムを膨らませ率の高い選手でもある。

     この日はちょうど彼の守るサードの守備位置にだけ、スポットライトのように西日が差し込んでいた。その光を活かして、風船の膨らむ様子をドラマチックに狙ってみた。

    How to “Catch the Moment”

     その光が彼に当たるのはほんの数分。さらに打者によってはスポットライトの位置とは全く違うところで守ることもある。祈るような気持ちでガムの膨らむ瞬間を待った甲斐もあって、ちょうど顔の部分にのみ光が当たって、ガムが本当の風船のように艶やかに膨らむ様子が撮れた。

  • 【Catch the Moment ④】フィールドに足を踏み入れる瞬間を

    2023.1.17 11:47 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     シアトル・マリナーズの殿堂入りを果たしたイチローさん。その球団の象徴的存在として一時代を築いたと認められるのは、日本人としてはもちろん初めての快挙。その殿堂入りセレモニーが8月27日に行われた。

     イチローさんによる、感動とユーモアに溢れたスピーチの姿を撮影するのはもちろんのこと。そのためには正面から撮影するのが定石ではある。しかしカメラマンとしては、まず、そのフィールドに踏み出す姿も、そのときの球場の雰囲気とともに撮りたいところ。果たして入場してくるとき、どこに場所取りをするべきか。

    How to “Catch the Moment”

     引退試合しかり、今年4月に行われた始球式のときしかり。実はイチローさん、ダフアウトからフィールドに足を踏み入れると、まず、ダグアウト上のお客さんに振り返って手を振るケースが多い。熱心なファンはまず、ダグアウトの近くの席を取りたいであろうという配慮と思われるが、そんな最近の傾向を踏まえて、可能な限りダグアウトの近くのポジションを取った。

  • 【Catch the Moment ③】今季のスケジュール発表から狙っていた一枚

    2023.1.17 11:29 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     今年のオールスター明け、今シーズン10勝目、ベーブ・ルース以来104年ぶりとなる2ケタ勝利&2ケタ本塁打を目指してアトランタでマウンドに上がった大谷翔平選手。そんな歴史的勝利の試合を撮影するというミッションはもちろんだが、実は、このブレーブスの本拠地トゥルイスト・パークで密かに狙っていた写真がある。

     エンゼルスが本拠地としているカリフォルニアと違って、アトランタが位置するジョージア州は湿度が高い。晴天と入っても上空に雲があることが多く、夕暮れ時、その雲が赤く染まる。その雲を背景に大谷選手を撮影する。今シーズンのスケジュールが発表になった時から狙っていた。

    How to “Catch the Moment”

     そうは言っても自然現象はコントロールできない。雲が厚すぎてもダメだし、綺麗に赤く染まっているタイミングで大谷選手がフィールド上にいるかもわからない。

     10勝を無事達成したこの日は球場上空は雲が厚く、遠くの方にわずかに見える雲が赤紫色に。残念ながら「狙いどおりのカット!」とはいかなかったが、それでもアメリカの球場の空は様々な表情を見せて絵になる。そんな雰囲気を感じさせるには十分な一枚にはなっているように思う。

  • 【Catch the Moment ②】トウモロコシ畑と鈴木誠也

    2023.1.17 11:20 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     どこまでも続くトウモロコシ畑。アメリカの原風景とも言えるような場所にその球場はある。映画「フィールド・オブ・ドリームス」のロケ地となったアイオワ州ダイアーズビルにMLBが公式戦をするために夢の球場を作った。

     そこに今年は日本人として初めて鈴木誠也選手が登場する。どんな写真で、そのトウモロコシ畑と鈴木誠也選手を見せられたら雰囲気が伝わるか。幸いなことに試合前にその映画のロケで使われた球場に選手たちが見学に行くという。

     快くトウモロコシ畑で撮影に応じてくれた鈴木選手。そこから、映画に出てくる選手のようなレトロ感を出すためにセピア調少々加工させてもらった。

    How to “Catch the Moment”

     試合の動きを追いかけるのが普段の撮影だが、このように写真を加工して、伝えたい雰囲気をより際立たせるのもたまには良い。古き良き時代のイメージと現代の選手が融合した雰囲気のある写真になったと思います。

  • 【Catch the Moment ①】光を活かしたドラマティックな雰囲気の一枚

    2023.1.17 11:13 Tuesday

     大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

     昨季トレード・デッドラインで大型補強をしたパドレス。直後に組まれた同地区の首位を走るドジャースと直接対決最終戦は、全米中継の午後4時プレーボール。この時間に試合が始まると、高いスタンドの影が徐々にフィールドを覆ってくる。

     その試合でダルビッシュ投手が投げる。そんないつもと少し違った光を狙ってこの試合を撮影することに決めた。

    How to “Catch the Moment”

     試合が始まると、試合展開も気にしながら、少しずつ伸びてくる影とダルビッシュ投手がマウンドに上がるタイミングを見計らう。影がマウンドの手前まで伸びてきた4回のタイミングでスタンド上部まで駆け上がった。

     フィールド手前はスタンドの影。ダルビッシュ投手とリリースするボールに光が当たり、さらにダルビッシュ投手の影もフィールドに映る。この時間特有の光を活かしドラマティックな雰囲気の一枚に仕上がったと思う。