ア・リーグ　シルバースラッガー賞受賞者（括弧内は所属球団と打率/本塁打/OPS）
捕手：ゲーリー・サンチェス（ヤンキース：.278/33本/.876）
一塁：エリック・ホズマー（ロイヤルズ：.318/25本/.882）
二塁：ホゼ・アルトゥーベ（アストロズ：.346/24本/.957）
三塁：ホゼ・ラミレス（インディアンス：.318/29本/.957）
遊撃：フランシスコ・リンドーア（インディアンス：.273/33本/.842）
外野：アーロン・ジャッジ（ヤンキース：.284/52本/1.049）
外野：ジャスティン・アップトン（エンゼルス：.273/35本/.901）
外野：ジョージ・スプリンガー（アストロズ：.283/34本/.889）
指名：ネルソン・クルーズ（マリナーズ：.288/39本/.924）

　1998年9月にメジャーデビューを果たしたハラデイは、デビュー2戦目のタイガース戦でノーヒッターまであと1人という快投を披露（9回二死からボビー・ヒギンソンに本塁打を浴び、1失点完投勝利）。2003年にはリーグ最多の22勝を挙げ、サイ・ヤング賞に輝いた。フィリーズへ移籍した2010年にはレギュラーシーズンで完全試合、ポストシーズンでは史上2人目となるノーヒッターを達成。この年はリーグ最多の21勝をマークして自身2度目のサイ・ヤング賞を受賞した。通算300勝がアンタッチャブルな数字となりつつある中、「ハラデイが殿堂入りできなければ21世紀の投手は殿堂入りがほぼ不可能だ」との声も上がっており、通算203勝のハラデイが殿堂入り投票においてどのように評価されるか注目が集まっている（投票対象となるのは2019年）。

ナ・リーグ　ゴールドグラブ賞受賞者（括弧内は所属球団と守備防御点）
投手：ザック・グレインキー（ダイヤモンドバックス：+4）
捕手：タッカー・バーンハート（レッズ：+21）
一塁：ポール・ゴールドシュミット（ダイヤモンドバックス：+10）
二塁：DJレメイヒュー（ロッキーズ：+8）
三塁：ノーラン・アレナード（ロッキーズ：+20）
遊撃：ブランドン・クロフォード（ジャイアンツ：+9）
左翼：マーセル・オズーナ（マーリンズ：+11）
中堅：エンダー・インシアーテ（ブレーブス：+5）
右翼：ジェイソン・ヘイワード（カブス：+18）

ア・リーグ　ゴールドグラブ賞受賞者（括弧内は所属球団と守備防御点）
投手：マーカス・ストローマン（ブルージェイズ：+5）
捕手：マーティン・マルドナード（エンゼルス：+10）
一塁：エリック・ホズマー（ロイヤルズ：-7）
二塁：ブライアン・ドージャー（ツインズ：-4）
三塁：エバン・ロンゴリア（レイズ：+11）
遊撃：アンドレルトン・シモンズ（エンゼルス：+32）
左翼：アレックス・ゴードン（ロイヤルズ：+9）
中堅：バイロン・バクストン（ツインズ：+24）
右翼：ムーキー・ベッツ（レッドソックス：+31）

　ファイナリストの3名はいずれも西部地区所属の球団を率いる指揮官。監督就任1年目のロブロ率いるダイヤモンドバックスは昨季の不振を脱し、リーグ3位の勝率をマークしてワイルドカードを獲得した。ブラック率いるロッキーズは投手陣の立て直しに成功し、ワイルドカードの2枠目を死守してポストシーズンに進出。ロバーツ率いるドジャースはシーズン中盤ごろから驚異的な快進撃を続け、終盤に急失速したものの、両リーグ最多の104勝を挙げた。ロブロの受賞を推す声が多いが、いずれも見事な手腕を発揮してチームをポストシーズンへ導いており、受賞者の発表が楽しみだ。

　8月から9月にかけてア・リーグ新記録となる22勝をマークするなど、リーグ最多の102勝を挙げたインディアンスを率いたフランコーナ、史上初となる前年100敗以上からのポストシーズン進出を成し遂げたツインズの指揮を執ったモリター、シーズン序盤から快進撃を続け、101勝をマークして西部地区を独走で制したアストロズの監督であるヒンチと、いずれもポストシーズン進出を果たしたチームからの選出。誰が受賞してもおかしくないだけに、最終的な投票結果にも注目が集まりそうだ（BBWAA各賞の投票結果はすべて公開される）。

　ベルは正一塁手としてチーム最多の90打点を叩き出し、26本塁打は新人スイッチヒッターによるリーグ新記録となった。デヨングは5月下旬にメジャーデビューを果たし、最初の70試合で20本塁打を放つなど、チーム最多の25本塁打と期待以上の活躍。4月下旬にメジャーデビューを果たしたベリンジャーはリーグ新人記録を塗り替える39本塁打を放ち、本塁打数はリーグ2位、97打点はチーム最多と両リーグ最多の104勝をマークしたドジャースの主砲として素晴らしい活躍を見せた。ベルやデヨングの活躍も見事だったが、ベリンジャーの満票選出はほぼ確実だろう。

　マンシーニは打率.293、24本塁打、78打点、OPS.826の好成績をマーク。ベニンテンディも開幕前の「新人王最有力候補」との呼び声に相応しい活躍を見せ、新人では史上11人目となる「20-20」を達成した。両者とも通常のシーズンであれば新人王を受賞してもおかしくない成績だったが、残念ながら今季のア・リーグにはジャッジがいる。新人史上最多となる52本塁打を放ち、MVPのファイナリストにも名を連ねているジャッジが満票で新人王に選出されるのはほぼ確実だろう。

　シャーザーは史上4人目となる4年連続250奪三振をクリアするなど例年通りの安定したパフォーマンスを披露。同僚のストラスバーグは後半戦に防御率0点台という驚異的なピッチングを続け、サイ・ヤング賞のファイナリストに名乗りを上げた。カーショウは腰痛による戦線離脱があり、27先発＆175イニングにとどまったものの、最多勝と最優秀防御率の二冠を獲得。「質」の面ではシャーザーとカーショウがほぼ同格と言えるが、「量」の面ではシャーザーがカーショウを上回っており、シャーザーの受賞を推す声が多いのも頷ける。

　レッドソックス移籍1年目のセールはリーグ18年ぶりとなる300奪三振の大台を突破するなど、その実力を遺憾なく発揮したが、シーズン終盤に失速したのがどう影響するか。セベリーノは不調の田中将大に代わるエースとして急成長を遂げ、14勝6敗、防御率2.98、230奪三振の好成績をマーク。クルーバーは1ヶ月離脱したにもかかわらず200イニングを突破し、最多勝と最優秀防御率の二冠に輝いた。一時はセールで間違いなしと思われたサイ・ヤング賞レースだが、6月以降の驚異的なパフォーマンスにより現在ではクルーバーの受賞が有力視されている。

　スタントンはクローズド・スタンスを導入したことをきっかけに才能を本格開花させ、59本塁打＆132打点で二冠王。ボットーはリーグトップの134四球を選び、36本塁打は7年ぶりの30本台と例年以上にハイレベルな打撃成績を残した。ゴールドシュミットは惜しくも打率3割を逃したものの、オールラウンドな一塁手として実力を発揮。ファイナリスト3名のうちポストシーズンに出場したのはゴールドシュミットだけであり、地区優勝チームからのファイナリストはゼロという珍しい展開となったが、スタントンとボットーの争いになるのではないかと見る向きが多い。

　ジャッジはマーク・マグワイアの新人記録を更新する52本塁打を放ち、本塁打王のタイトルを獲得。ラミレスはリーグ最多の56二塁打を放つなど打撃面でさらなる成長を遂げ、チーム事情に合わせて二塁と三塁を守るなど、守備面での貢献度も高かった。アルトゥーベは4年連続となる200安打をクリアし、2年連続3度目の首位打者。いずれも所属チームがポストシーズンに進出しており、誰が受賞してもおかしくないが、おそらくアルトゥーベとジャッジの一騎打ちとなるだろう。

　東軍はジャスタス・シェフィールド（ヤンキース）、西軍はミッチ・ケラー（パイレーツ）が先発。1回裏に東軍がライアン・マウントキャッスル（オリオールズ）の内野ゴロの間に1点を先制したが、西軍は2回表にユスニエル・ディアス（ドジャース）のタイムリーで同点に追い付き、5回表にはルイス・ウリアス（パドレス）のソロで勝ち越しに成功した。西軍の投手陣が好投を続けていたが、東軍は8回裏に一死二塁のチャンスを作り、ロブレスのタイムリーで同点。さらに一、二塁とし、シェルドン・ニューズ（アスレチックス）のタイムリーとビクトル・レイエス（ダイヤモンドバックス）の犠飛で2点を勝ち越した。8回裏に3点を奪った東軍が鮮やかな逆転勝利。ロブレスは「ベストを尽くそうと思っていたんだ」とMVP受賞を喜んだ。

（登場順に）
4月5日　開幕第3戦、ジョージ・スプリンガーの逆転サヨナラ弾
5月29日　8回表に一挙11得点で逆転勝利
6月28日　ジョージ・スプリンガーが今季9本目の先頭打者弾
9月17日　ア・リーグ移転後初の地区優勝決定
9月27日　ホゼ・アルトゥーベが4年連続200安打達成
10月5日　ALDS第1戦、ホゼ・アルトゥーベが1試合3本塁打の大活躍
10月14日　ALCS第2戦、カルロス・コレアのサヨナラ打
10月25日　WS第2戦、ジョージ・スプリンガーの決勝弾
10月29日　WS第5戦、13対12（延長10回）の死闘を制す
11月1日　WS第7戦、球団史上初のワールドシリーズ制覇

（登場順に）
6月19日　コディ・ベリンジャーがデビュー51試合で21本塁打の新記録
6月20日　コリー・シーガーが1試合3本塁打の大活躍
7月15日　コディ・ベリンジャーがサイクルヒット達成
7月30日　カイル・ファーマーがメジャー初打席で逆転サヨナラ打
8月5日　後半4イニングで5本塁打の猛攻で逆転勝利
9月22日　コディ・ベリンジャーがリーグ新人本塁打記録更新＆5年連続地区優勝決定
10月6日　NLDS第1戦でジャスティン・ターナーが5打点の活躍
10月15日　NLCS第2戦でジャスティン・ターナーがサヨナラ弾
10月19日　NLCS第5戦でキケ・ヘルナンデスが3本塁打7打点の大暴れ

　今オフにFAとなった投手達の中で特に注目されるのはジェイク・アリエタをはじめ、アレックス・コブやダルビッシュ有、ランス・リン、そしてジェイソン・バルガスなどが挙げられている。彼らは先発投手として実績を残してきた選手達なだけに果たして残留するのか、他球団に移籍するのかその動向に注目が集まっている。彼らの中で1番早く去就が決まるのは誰だろうか。

　ナ・リーグ時代に果たすことができなかったワールドシリーズ制覇は12年のときを経て実現された。その間はシーズン100敗を喫する苦しい時期もあったが、若手とベテランの力がかみ合い見事に世界一の栄冠を手に入れた。球団創設56年目での栄光にチームもファンもその喜びをかみしめていた。

　田中は2014年のヤンキース入団時に4年目のシーズン終了後に3年6700万ドルを破棄できる権利が契約に盛り込まれていた。今年も開幕投手を務めるもまさかの7失点スタート。その後もなかなか調子が上がらなかったが、レギュラーシーズン最終登板でメジャー自己最多の1試合15奪三振、ポストシーズンでは3試合に登板して2勝1敗 防御率0.90と抜群の安定感をみせてチームを鼓舞した。これで今後もピンストライプのユニフォームを着ることになった田中は来年こそ念願のワールドシリーズ優勝を目指す。

　今季はカブスのベンチコーチとしてジョー・マドン監督を支え、地区優勝に貢献したマルティネス氏。来季からは今季の地区シリーズ(NLDS)で対戦したナショナルズの監督としてチームを率いることになった。ナショナルズとしては歴代7人目の指揮官となる。マルティネス新監督は「夢が叶った。私は勝つためにここにいる」と意気込みを語った。

　ALCS第7戦で先発して5回無失点の好投で勝利投手となり、アストロズを球団史上2度目のワールドシリーズへと導いたモートン。ワールドシリーズ第4戦では7回途中1失点と安定した投球を見せていた。この日は5番手として6回からマウンドへ。150km/h台後半の速球に威力があり、ドジャース打線のバットをへし折る場面が何度も見られるなど、力強いピッチングを続けた。ブルペンではカイケルやバーランダーが準備する場面も見られたが、最後までマウンドを譲らず、コリー・シーガーを二塁ゴロに打ち取って試合終了。モートンを中心に、グラウンドには歓喜の輪が広がった。