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レッドソックスがフロントのトップにレイズのブルームを招聘へ
2019.10.26 12:10 Saturday日本時間10月25日、関係者がMLB公式サイトのマーク・フェインサンドとジョン・ポール・モロシに伝えたところによると、9月にデーブ・ドンブロウスキー野球部門社長を解任したレッドソックスは、フロント・オフィスの新たなリーダーとして、レイズで野球部門の上級副社長を務めるチェイム・ブルームを招聘する方針を固めたようだ。MLBネットワークのジョエル・シャーマンが第一報を報じ、現時点では球団からの正式なコメントは発表されていないものの、ブルームはレッドソックスでチーフ・ベースボール・オフィサー(通称CBO)に就任する見込みとなっている。
ドンブロウスキーの解任後、レッドソックスはブライアン・オハローラン、エディ・ロメロ、ザック・スコットの3人のGM補佐がフロントの指揮を執っていたが、フェインサンドによると、ブルームの下でオハローランがGMに任命され、ロメロとスコットはGM補佐に留まる見込みとなっているようだ。
現在36歳のブルームは、フェインサンドによると、球団外部の人物としては、レッドソックスが面接を行った唯一の人物であるという。クリエイティブな発想で、メジャー最少クラスの年俸総額で優勝を狙えるチームを築いてきたレイズのノウハウを有するブルームは、年俸総額を削減する方針であるレッドソックスに最適の存在であると見られており、手腕発揮が期待される。
2005年にインターンとしてレイズ(当時デビルレイズ)に加わったブルームは、2016年に野球部門の上級副社長に昇格。ファーム組織の充実などに手腕を発揮し、昨オフにメッツのGM候補となっていたほか、ツインズやフィリーズからもGM候補として声を掛けられた実績がある。限られた予算のなかでヤンキースやレッドソックスと対等に張り合うだけのチームを作ってきたレイズで培ったノウハウを、2億ドル規模のペイロールを有するレッドソックスでどのように発揮するか注目したい。
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インディアンス・カラスコがロベルト・クレメンテ賞を受賞
2019.10.26 10:55 Saturday日本時間10月26日、「ロベルト・クレメンテ賞」の受賞者が発表され、カルロス・カラスコ(インディアンス)が選出された。「メジャーリーガーにとって最高の栄誉」と呼ばれるこの賞は、フィールドの内外で多大な社会貢献を行った選手に贈られる。今季、白血病と戦ったカラスコは、自身と同じ白血病の子供たちを支援したり、アフリカや中南米の貧しい地域に多額の寄付をしたりしてきたことを評価され、今回の受賞に至った。
カラスコは、ワールドシリーズ第3戦の試合開始前に行われた表彰式に登場し、ロブ・マンフレッド・コミッショナーからの表彰を受けた。これまで積極的に社会貢献活動を行ってきたカラスコは、今年7月に白血病の闘病中であることを告白。本拠地プログレッシブ・フィールドで行われたオールスター・ゲームの「Stand Up To Cancer」のコーナーでグラウンドに姿を見せたシーンは、今季のハイライトの1つとなった。
9月に戦列復帰を果たしたあとは、リリーフで11試合に登板して2勝1敗1セーブ、防御率6.60をマーク。シーズン通算の成績は、23試合(うち12先発)に登板して80イニングを投げ、6勝7敗1セーブ、防御率5.29、96奪三振と平凡なものだったが、病を克服してマウンドに立つ姿は、多くの人々に勇気を与えた。
カラスコと妻のケリーは、オフシーズンの毎週日曜日に昼食500人分をフロリダ州タンパの自宅からホームレスへ届け、シングルマザーの子供たちが学校に通うために、毎年1万ドルを寄付している。また、同じく5000ドルを退役軍人のために寄付している。ほかには、クリーブランドの学校で子供たちに読み聞かせを行ったり、アフリカの子供たちに靴やシャツを寄付したり、アフリカの貧しい村の人々のために7万ドル以上の寄付を行ったりしてきた。母国ベネズエラへの支援活動を行ったことも評価された。
2015年から4年連続で2ケタ勝利をマークするなど、実力派右腕として知られるカラスコ。来季は完全復活を遂げ、見事なピッチングで多くの人々を勇気づけてくれることだろう。
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ゴールドグラブ賞の最終候補者が発表 カージナルスから最多6人
2019.10.25 16:20 Friday日本時間10月25日、各ポジションで優れた守備を見せた選手に贈られるゴールドグラブ賞の最終候補者(各リーグ各ポジション3名)が発表された。ここではその最終候補者54名を一気に紹介する。受賞者は日本時間11月4日に発表予定。なお、各選手のチーム名の後ろの数字は該当ポジションでの守備防御点(Defensive Runs Saved)を表しており、データはFanGraphsによるものとなっている。
アメリカン・リーグ
◆投手
ホゼ・ベリオス(ツインズ:0)
マイク・リーク(マリナーズ:2)
ルーカス・ジオリト(ホワイトソックス:3)
※リークはシーズン途中でダイヤモンドバックスへ移籍◆捕手
ダニー・ジャンセン(ブルージェイズ:12)
クリスチャン・バスケス(レッドソックス:5)
ロベルト・ペレス(インディアンス:29)◆一塁手
ユリ・グリエル(アストロズ:0)
マット・オルソン(アスレチックス:13)
ジャスティン・スモーク(ブルージェイズ:-3)◆二塁手
ホゼ・アルトゥーベ(アストロズ:-2)
DJレメイヒュー(ヤンキース:5)
ヨルマー・サンチェス(ホワイトソックス:11)◆三塁手
アレックス・ブレグマン(アストロズ:7)
デービッド・フレッチャー(エンゼルス:5)
マット・チャップマン(アスレチックス:18)◆遊撃手
マーカス・セミエン(アスレチックス:5)
アンドレルトン・シモンズ(エンゼルス:14)
フランシスコ・リンドーア(インディアンス:9)◆左翼手
ロビー・グロスマン(アスレチックス:4)
アレックス・ゴードン(ロイヤルズ:1)
アンドリュー・ベニンテンディ(レッドソックス:-3)◆中堅手
ケビン・キアマイアー(レイズ:13)
マイク・トラウト(エンゼルス:-1)
ジャッキー・ブラッドリーJr.(レッドソックス:-1)◆右翼手
コール・カルフーン(エンゼルス:-1)
ムーキー・ベッツ(レッドソックス:15)
ジョシュ・レディック(アストロズ:9)ナショナル・リーグ
◆投手
ジャック・フラハティ(カージナルス:3)
ザック・グレインキー(ダイヤモンドバックス:4)
アーロン・ノラ(フィリーズ:5)
※グレインキーはシーズン途中でアストロズへ移籍◆捕手
オースティン・ヘッジス(パドレス:22)
ヤディアー・モリーナ(カージナルス:2)
J.T.リアルミュート(フィリーズ:11)◆一塁手
クリスチャン・ウォーカー(ダイヤモンドバックス:9)
ポール・ゴールドシュミット(カージナルス:4)
アンソニー・リゾー(カブス:3)◆二塁手
オジー・アルビーズ(ブレーブス:8)
コルテン・ウォン(カージナルス:14)
アダム・フレイジャー(パイレーツ:6)◆三塁手
ノーラン・アレナード(ロッキーズ:8)
アンソニー・レンドン(ナショナルズ:2)
ジョシュ・ドナルドソン(ブレーブス:15)◆遊撃手
ポール・デヨング(カージナルス:14)
トレバー・ストーリー(ロッキーズ:17)
ニック・アーメッド(ダイヤモンドバックス:18)◆左翼手
フアン・ソト(ナショナルズ:1)
デービッド・ペラルタ(ダイヤモンドバックス:10)
ハンター・レンフロー(パドレス:7)◆中堅手
ビクトル・ロブレス(ナショナルズ:22)
ロレンゾ・ケイン(ブリュワーズ:20)
ハリソン・ベイダー(カージナルス:13)◆右翼手
ブライス・ハーパー(フィリーズ:9)
ジェイソン・ヘイワード(カブス:7)
コディ・ベリンジャー(ドジャース:19) -
選手投票による各賞受賞者が決定 最優秀選手はトラウト
2019.10.25 14:25 Friday日本時間10月25日、選手投票による各賞の受賞者が発表され、両リーグから1名だけ選出される年間最優秀選手にはマイク・トラウト(エンゼルス)が選出された。選手投票では、最優秀選手、最優秀投手、最優秀新人、カムバック賞が各リーグから1名ずつ、年間最優秀選手とマービン・ミラー賞が両リーグから1名だけ選出される。今季はトラウト、クリスチャン・イェリッチ(ブリュワーズ)、アンソニー・レンドン(ナショナルズ)の3名が年間最優秀選手の最終候補者となっていた。
トラウトは、右足の手術により9月の大部分を欠場したものの、自己最多の45本塁打を放ち、打率.291、OPS1.083をマーク。年間最優秀選手とア・リーグの最優秀選手に選出された。ナ・リーグでは、両リーグ最多の126打点を叩き出し、打率.319、34本塁打と自己最高のシーズンを過ごしたレンドンが最優秀選手に選出されている。
最優秀投手は、ア・リーグがジャスティン・バーランダー(アストロズ)、ナ・リーグがジェイコブ・デグロム(メッツ)。最優秀新人は、ア・リーグがヨルダン・アルバレス(アストロズ)、ナ・リーグがピート・アロンゾ(メッツ)。カムバック賞には、ハンター・ペンス(レンジャーズ)とジョシュ・ドナルドソン(ブレーブス)が選出された。
また、フィールド上でのパフォーマンスのみならず、社会貢献も評価の対象となるマービン・ミラー賞は、カーティス・グランダーソン(マーリンズ)が前人未踏となる4度目の受賞(2009年、2016年、2018年、2019年)。グランダーソンは過去10年以上にわたって「グランド・キッズ基金」を通して100万人を超える子供たちに野球の普及活動を行い、貧しい家庭に食事を提供したり、地元シカゴにスポーツ施設を設立したりと積極的な社会貢献活動を行ってきた。その功績が認められ、昨年に続いて2年連続、史上最多の4度目の受賞となった。
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前ヤンキース監督のジラルディがフィリーズの新監督に就任
2019.10.25 13:45 Friday日本時間10月25日、フィリーズは自軍の新監督にジョー・ジラルディが就任することを発表した。ジラルディはフィリーズの55代目監督となり、契約は来季から2022年までの3年間。2023年の契約は球団に選択権のあるオプションとなっている。2013年8月にチャーリー・マニュエル監督が退任して以降、4人が監督を務めてきたフィリーズだが、ジラルディ政権でチームを安定させ、今季果たせなかったポストシーズン進出を目指していくことになる。
フィリーズのマット・クレンタックGMは、ジラルディの監督就任を発表した声明文のなかで「ジョーは強い個性を持ち、監督というポジションをしっかり務めてくれる人物である。また、彼が勝てる監督であることはすでに証明されている。彼とともに働くのがとても楽しみだし、我々のチームを次のレベルへ導くのに適した人物であると信じている」と語り、ジラルディの手腕に期待を寄せた。
現在55歳のジラルディは、マーリンズで1年(2006年)、ヤンキースで10年(2008~2017年)の監督経験があり、2009年にはフィリーズを4勝2敗で破ってワールドシリーズ制覇を成し遂げた。ジラルディ政権でのヤンキースは、平均91勝をマークし、ポストシーズンに6度進出。リーグ優勝決定シリーズにも4度進出した。
ゲーブ・キャプラー監督を解任したあと、ジラルディ、ダスティ・ベイカー、バック・ショウォルターの3人に新監督候補を絞っていたフィリーズだが、ブライス・ハーパー、J.T.リアルミュート、アーロン・ノラといった巨大戦力を抱えたチームをジラルディに任せることを決断。ジラルディは「私のキャリアの次のチャプターが楽しみだ。フィリーズは、オーナーやフロントオフィス、選手やファンから勝ちたいという強い気持ちが伝わってくるチームである。これは私の30年近い野球人生と似ているんだ。私は90年代前半にダレン・ドールトン、ジョン・クラック、デーブ・ホリンズといった素晴らしい選手を擁したフィリーズと戦ってきたし、監督として2008~2011年の強力なフィリーズを相手にしてきた。そのような素晴らしいチームに加わることができて、この上なく幸せだ」と新監督就任の喜びを語った。
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ハンク・アーロン賞の受賞者発表 アはトラウト、ナはイェリッチ
2019.10.24 11:45 Thursday日本時間10月24日、各リーグで優れた打撃成績を残した選手に贈られる「ハンク・アーロン賞」の受賞者が発表され、ア・リーグはマイク・トラウト(エンゼルス)、ナ・リーグはクリスチャン・イェリッチ(ブリュワーズ)が選出された。ミニッツメイド・パークで行われた表彰式には、ロブ・マンフレッド・コミッショナーのほか、ハンク・アーロン、フランク・トーマス、クレイグ・ビジオ、アレックス・ロドリゲス、デービッド・オルティスといった豪華な面々が集結し、両選手の受賞を祝福した。
トラウトは、ともにリーグトップとなる出塁率.438と長打率.645をマークし、メジャー全体で唯一となる3年連続のOPS1.000超えを達成。自己最多の45本塁打を放ったほか、自身3度目の100打点、自身7度目の100得点をマークし、9月の大半を欠場したにもかかわらず、2014年以来5年ぶり2度目の受賞となった。ヒューストンに来られず、表彰式に出席できなかったトラウトは「この賞を受賞できたことについて、ハンク・アーロン、殿堂入りの名選手の皆さん、そして(投票してくれた)ファンの皆さんに感謝しています。チームメイトやコーチ、家族、そして妻のジェシカのサポートなしでは、この賞を受賞することはできませんでした」とのコメントを発表した。
一方のイェリッチは、いずれもリーグトップとなる打率.329、出塁率.429、長打率.671をマークし、ナ・リーグでは1998~1999年のラリー・ウォーカー以来となる2年連続の首位打者に輝いたほか、自己最多の44本塁打。自打球での骨折により9月の半分以上を欠場したものの、MVPを受賞した昨季以上の大活躍を見せた。ハンク・アーロン賞は昨季に続いて2年連続2度目の受賞となり、「受賞することができてとても光栄ですし、投票してくださった皆さんに感謝しています」と喜びを口にした。
なお、ハンク・アーロン賞を複数回受賞するのは、ロドリゲス(4度)、バリー・ボンズ(3度)、オルティス、ホゼ・バティースタ、ミゲル・カブレラ、デレク・ジーター、アルバート・プーホルス、マニー・ラミレス、ジャンカルロ・スタントンに次いで史上10・11人目の快挙となった。
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マドン退任のカブス 新監督に2016年世界一戦士のロスが就任へ
2019.10.24 10:55 Thursday日本時間10月24日、関係者がMLB公式サイトのマーク・フェインサンドに伝えたところによると、カブスは球団OBのデービッド・ロスを新監督に任命する方針を固めたようだ。ESPNのデービッド・キャプランとジェシー・ロジャースが第一報を報じ、早ければワールドシリーズの移動日となる明日(日本時間25日)にも球団から正式に発表される見込みとなっている。現役最後の2年間をカブスで過ごし、チームリーダーとして大きなインパクトを与えた男が、今度は監督としてカブスに戻ってくることになりそうだ。
42歳のロスは現在もカブスに籍を置いており、セオ・エプスタイン野球部門社長の特別補佐を務めながらESPNのアナリストとしても活躍している。2015年からの2年間はカブスで控え捕手を務め、若手が多いチームにおいてチームリーダーとして存在感を発揮し、2016年のワールドシリーズ制覇に貢献。現在のカブスには当時のチームメイトも多く残っており、ロスはチームメイトと良好な関係を築いていたため、選手側からもロスの監督就任を期待する声が上がっていた。
ロスは昨オフ、ベンチコーチのブランドン・ハイドがオリオールズの監督に就任した際に、ベンチコーチ候補の1人となっていた。このときは家族と過ごす時間を優先してオファーを断り、ベンチコーチにはマーク・ロレッタが就任。今回はロレッタのほか、一塁ベースコーチのウィル・ベナブル、前ヤンキース監督のジョー・ジラルディ、前フィリーズ監督のゲーブ・キャプラー、アストロズでベンチコーチを務めるジョー・エスパーダらが新監督候補に挙がっていたが、監督経験者やコーチ経験者を差し置いてロスがチームの指揮を任されることになった。
ロスにとって、まだチームに多く残る「元チームメイト」との関係を、いかに「選手と監督」の関係に切り替えていくことができるかという点が課題となるだろう。ワールドシリーズ制覇時のチームリーダーが、名将ジョー・マドンが去ったあとのチームをどのようにまとめ上げるか注目したい。
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「ポスト・マドン時代」に突入するカブス 主力野手の放出を検討か
2019.10.23 16:30 Wednesdayカブスのセオ・エプスタイン野球部門社長は、今オフの補強の方針に関連して、クリス・ブライアントやハビアー・バイエズを含め、トレード交渉の際に「アンタッチャブル」となる選手はいないことを示唆している。2年後の2021年オフにフリーエージェントとなるブライアント、バイエズ、カイル・シュワーバーの3人を中心に、今オフのカブスは積極的にトレード交渉を行うことになりそうだ。
ジョー・マドンが監督に就任して2年目となる2016年にワールドシリーズ制覇を成し遂げたカブスは、翌2017年にリーグ優勝決定シリーズで敗退し、昨季はワイルドカード・ゲームで敗退。そして、今季はついにポストシーズン進出を逃し、マドンに別れを告げて新たな時代に突入することを選択した(マドンはエンゼルスの監督に就任することが決定)。
エプスタインは、「ポスト・マドン時代」を迎えるにあたって、現在のロースターを再編する方針を明らかにしており、それほどペイロールに余裕がないことを考えると、年俸の高騰が予想されるブライアント、バイエズ、シュワーバーの「2021年オフFAトリオ」の誰かをトレードで放出することが現実的な選択肢となる。カブスとしてはシュワーバーを放出したいところだが、他球団からの需要を考慮すると、ブライアントまたはバイエズの放出に踏み切る可能性もゼロではない。
エプスタインは「我々は変化を起こすつもりだよ。この冬は多くのトレード交渉を行うことになるだろう」と語っており、弱点となっているセンターとブルペン、そしてジョン・レスターが衰えを見せ始め、コール・ハメルズがフリーエージェントとなる先発投手陣の補強を進めることになるだろう。
また、エプスタインは守備に難を抱える正捕手のウィルソン・コントレラスの放出については、「彼にはまだ改善すべきところがあるけれど」と前置きしつつも「彼がいてくれたから我々は成功を収めてきたんだ」と否定的な姿勢をとっている。エプスタインはブライアントまたはバイエズを含む大型トレードを成立させるのか。今オフの注目ポイントの1つとなりそうだ。
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打倒・アストロズを目指すヤンキース リンドーア獲得の可能性
2019.10.22 14:00 Tuesday2010年から始まる「2010年代」の10年間で一度もワールドシリーズへ進めなかったヤンキース。特に直近5シーズンで3度もポストシーズンでアストロズに敗れており、2009年以来のワールドシリーズ制覇を実現するためにはアストロズを上回るチームを作り上げることが絶対条件となる。そのため今オフは大型補強を実施する可能性が取り沙汰されているが、ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンが補強ターゲットとして挙げているのがインディアンスが誇るスター遊撃手、フランシスコ・リンドーアである。
ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMが作り上げたチームは、激戦のアメリカン・リーグ東部地区において2年連続でレギュラーシーズン100勝を達成。162試合の長いレギュラーシーズンを勝ち抜くことができるだけの力を備えたチームであることはすでに証明済みである。その一方で、ワールドシリーズにあと一歩手が届かない状況が続いていることも事実。そうした状況を踏まえ、シャーマンはゲリット・コール(アストロズ)とともにリンドーアの名前を補強ターゲットとして挙げている。
リンドーアは2年後の2021年オフにフリーエージェントとなるが、現在の活躍を続けていけば、総額3億ドルを超えるような大型契約を手にするのは確実。インディアンスの会長兼CEOであるポール・ドーランは、インディアンスの球団規模ではリンドーアとの再契約が難しいことを認めている。よって、ヤンキースが差し出す交換要員次第では、トレードが成立する可能性もゼロではないというわけだ。シャーマンは「リンドーアはヤンキースが必要としているものを全て兼ね備えている。両打ちの遊撃手で、パワーとスピードを兼ね備え、三振は少なく、遊撃守備は素晴らしい。ポストシーズンでの度胸も証明済みだ」とリンドーアを絶賛。リンドーア獲得が実現すれば、この上ない戦力補強となるに違いない。
ヤンキースは、正遊撃手のディディ・グレゴリアスが今季限りでフリーエージェントとなるため、正遊撃手の座は空いている。現時点では、グレイバー・トーレスを二塁から遊撃へ回し、DJレメイヒューを二塁に固定するものと見られているが、今季と同様にトーレスが二塁、レメイヒューが一塁に入れば、リンドーア獲得への障壁とはならない。シャーマンの提言通りにヤンキースのリンドーア獲得は実現するのか。今後の動向に注目が集まりそうだ。
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MLB公式サイトの専門家によるWS予想 8割以上がアストロズ支持
2019.10.22 12:55 Tuesday日本時間10月23日、いよいよ2019年のワールドシリーズが開幕する。2年ぶり2度目のワールドシリーズ制覇を目指すアストロズと念願の初出場となったナショナルズの対戦となる今回のワールドシリーズは、両軍の強力先発投手陣が注目を集めているが、そのワールドシリーズの行方をMLB公式サイトの専門家46人が予想。全体の80.4%にあたる37人がアストロズのワールドシリーズ制覇を支持する結果となった。
ジャスティン・バーランダーとゲリット・コールの「300奪三振コンビ」に加え、「最強の先発3番手」のザック・グレインキーを擁するアストロズは、地区シリーズでレイズ、リーグ優勝決定シリーズでヤンキースとの激戦を制し、2年ぶりにワールドシリーズの舞台に戻ってきた。ナショナルズもマックス・シャーザー、スティーブン・ストラスバーグ、パトリック・コービン、アニバル・サンチェスと強力な先発陣を擁しているものの、ブルペンの質には大きな差がある。そのあたりが圧倒的アストロズ支持の理由となっているのだろう。専門家46人のワールドシリーズ予想は以下のようになっている。
アストロズが4勝2敗:24人
ナショナルズが4勝3敗:7人
アストロズが4勝1敗:7人
アストロズが4勝3敗:4人
ナショナルズが4勝2敗:2人
アストロズが4勝0敗:2人また、勝者予想に加えて、ワールドシリーズMVPの受賞者予想も実施。こちらでは、9試合連続2ケタ奪三振のままレギュラーシーズンを終え、ポストシーズンに入ってからも快投を続けているアストロズのコールが圧倒的な支持を集める結果となった。明日の初戦でシャーザーと投げ合うことがすでに決まっているコール。どんなピッチングを見せてくれるか注目したい。なお、専門家46人のMVP予想は以下の通り。
ゲリット・コール投手(アストロズ):20人
マックス・シャーザー投手(ナショナルズ):5人
アレックス・ブレグマン三塁手(アストロズ):5人
ジョージ・スプリンガー外野手(アストロズ):4人
ホゼ・アルトゥーベ二塁手(アストロズ):3人
カルロス・コレア遊撃手(アストロズ):3人
アンソニー・レンドン三塁手(ナショナルズ):3人
スティーブン・ストラスバーグ投手(ナショナルズ):2人
ヨルダン・アルバレス指名打者(アストロズ):1人 -
バーランダー、シャーザー、サンチェス 元同僚トリオがWSに臨む
2019.10.21 17:30 Mondayアストロズとナショナルズによるワールドシリーズは、強力先発陣を擁するチーム同士の対戦として注目を集めている。その先発陣のなかで、アストロズのジャスティン・バーランダー、ナショナルズのマックス・シャーザーとアニバル・サンチェスは、2012年にア・リーグ王者となったタイガースのチームメイトだった。先発ローテーションの順番次第では、2012年ア・リーグ優勝メンバーによる投げ合いが実現する可能性もありそうだ。
2012年のタイガースでは、バーランダーが17勝、シャーザーが16勝を挙げ、7月にマーリンズからトレードで加入したサンチェスも4勝どまりながら3点台の防御率をマーク。タイガースは、この3人にリック・ポーセロ、ダグ・フィスター、ドリュー・スマイリーを合わせた強力先発陣でア・リーグを制し、ワールドシリーズまで駒を進めた。ワールドシリーズではジャイアンツの前に4連敗で敗退したものの、バーランダーが第1戦、サンチェスが第3戦、シャーザーが第4戦でそれぞれ先発のマウンドに立った。
それから7年の時が過ぎ、バーランダー、シャーザー、サンチェスの3人は2つのチームに分かれてワールドシリーズで対戦することになった。もしバーランダーが先発する試合でシャーザーまたはサンチェスが先発することになれば、以前のワールドシリーズでチームメイトだった投手同士が別のワールドシリーズで投げ合うのは、2003年にヤンキースでチームメイトだったホゼ・コントレラスとロジャー・クレメンスが2005年のワールドシリーズでそれぞれホワイトソックス、アストロズの先発投手として投げ合って以来史上2度目のこととなる。
2012年にタイガースで投手コーチを務めていたジェフ・ジョーンズは「どちらのチームに勝ってほしいかを選ぶのは難しいね。彼ら3人全員が良いピッチングをしてくれることを願うよ」とかつての教え子たちにエールを送る。2012年ア・リーグ優勝メンバーである3人のピッチングは、ワールドシリーズの行方を大きく左右することになるだろう。
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2019-2020オフシーズン 球団別フリーエージェント選手一覧
2019.10.21 14:50 Monday日本時間10月23日にスタートするワールドシリーズが終了すると、メジャーリーグはオフシーズンに突入する。ここでは、今オフにフリーエージェントとなる選手を球団別に整理する。なお、来季の契約がオプションとなっている選手やオプトアウト(=契約破棄)の権利を有する選手も一覧に含まれており、詳細を選手名の後ろに明記している。
アメリカン・リーグ東部地区
◆オリオールズ
マーク・トランボ一塁手兼外野手◆レッドソックス
アンドリュー・キャッシュナー投手(球団オプション1000万ドル)
ヨーリス・チャシーン投手
ブロック・ホルト内野手
J.D.マルティネス外野手(オプトアウト可能:残り3年6250万ドル)
ミッチ・モアランド一塁手
クリス・オーウィングス内野手
スティーブ・ピアース一塁手
リック・ポーセロ投手◆ヤンキース
デリン・ベタンセス投手
アロルディス・チャップマン投手(オプトアウト可能:残り2年3000万ドル)
ブレット・ガードナー外野手
コリー・ギアリン投手
エドウィン・エンカーナシオン一塁手(球団オプション2000万ドル)
ディディ・グレゴリアス遊撃手
キャメロン・メイビン外野手
オースティン・ロマイン捕手◆レイズ
トラビス・ダーノウ捕手
アビサイル・ガルシア外野手
エリック・ソガード内野手◆ブルージェイズ
クレイ・バックホルツ投手
ジャスティン・スモーク一塁手アメリカン・リーグ中部地区
◆ホワイトソックス
ホゼ・アブレイユ一塁手
ウェリントン・カスティーヨ捕手(球団オプション800万ドル)
ロス・デトワイラー投手
ブランドン・ガイヤー外野手
ジョン・ジェイ外野手
イバン・ノバ投手
ヘクター・サンティアゴ投手◆インディアンス
タイラー・クリッパード投手
ライアン・フラハティ内野手
ジェイソン・キプニス二塁手(球団オプション1650万ドル)
ディオナー・ナバーロ捕手
ダン・オテロ投手
ヤシエル・プイーグ外野手
アダム・ロサレス内野手◆タイガース
ゴードン・ベッカム内野手
エドウィン・ジャクソン投手
マット・ムーア投手
ジョーディ・マーサー遊撃手
タイソン・ロス投手◆ロイヤルズ
アレックス・ゴードン外野手(相互オプション2300万ドル)◆ツインズ
ジェイソン・カストロ捕手
カイル・ギブソン投手
ジェイク・オドリッジ投手
マーティン・ペレス投手(球団オプション700万ドル)
マイケル・ピネイダ投手
セルジオ・ロモ投手
ジョナサン・スコープ内野手アメリカン・リーグ西部地区
◆アストロズ
ロビンソン・チリーノス捕手
ゲリット・コール投手
ウィル・ハリス投手
マーティン・マルドナード捕手
コリン・マクヒュー投手
ウェイド・マイリー投手
ヘクター・ロンドン投手
ジョー・スミス投手◆エンゼルス
トレバー・ケーヒル投手
コール・カルフーン外野手(球団オプション1400万ドル)◆アスレチックス
ブレット・アンダーソン投手
ホーマー・ベイリー投手
ジェイク・ディークマン投手(相互オプション575万ドル)
ユスメイロ・ペティート投手(球団オプション550万ドル)
タナー・ロアーク投手◆マリナーズ
フェリックス・ヘルナンデス投手
ウェイド・ルブラン投手(球団オプション500万ドル)
トミー・ミローン投手◆レンジャーズ
エルビス・アンドルース遊撃手(オプトアウト可能:残り3年4375万ドル)
ローガン・フォーサイス内野手
ネイト・ジョーンズ投手(球団オプション515万ドル)
ショーン・ケリー投手(球団オプション250万ドル)
ハンター・ペンス外野手
エディンソン・ボルケス投手ナショナル・リーグ東部地区
◆ブレーブス
ジェリー・ブレビンス投手
フランシスコ・セルベリ捕手
ジョシュ・ドナルドソン三塁手
タイラー・フラワーズ捕手(球団オプション600万ドル)
ビリー・ハミルトン外野手(相互オプション750万ドル)
アデイニー・エチャバリア遊撃手
マット・ジョイス外野手
ダラス・カイケル投手
ニック・マーケイキス外野手(球団オプション600万ドル)
ダレン・オデイ投手
アンソニー・スウォーザック投手
フリオ・テーラン投手(球団オプション1200万ドル)
ジョシュ・トムリン投手◆マーリンズ
スターリン・カストロ二塁手(球団オプション1600万ドル)
カーティス・グランダーソン外野手
マーティン・プラド三塁手
ニール・ウォーカー内野手◆メッツ
ルイス・アビラン投手
トッド・フレイジャー三塁手
フアン・ラガレス外野手
レネイ・リベラ捕手
アービン・サンタナ投手
ザック・ウィーラー投手◆フィリーズ
ジェイク・アリエタ投手(オプトアウト可能:残り1年2000万ドル)
コリー・ディッカーソン外野手
ジャレッド・ヒューズ投手(球団オプション300万ドル)
トミー・ハンター投手
ブラッド・ミラー内野手
ローガン・モリソン一塁手
パット・ニーシェック投手(球団オプション700万ドル)
フアン・ニカシオ投手
ショーン・ロドリゲス内野手
ドリュー・スマイリー投手
ジェイソン・バルガス投手(球団オプション800万ドル)
ニック・ビンセント投手◆ナショナルズ
マット・アダムス一塁手(相互オプション400万ドル)
アズドゥルバル・カブレラ内野手
ショーン・ドゥーリトル投手(球団オプション650万ドル)
ブライアン・ドージャー二塁手
アダム・イートン外野手(球団オプション950万ドル)
ヤン・ゴームス捕手(球団オプション900万ドル)
ジェレミー・ヘリクソン投手
グレッグ・ホランド投手
ダニエル・ハドソン投手
ハウィー・ケンドリック内野手
アンソニー・レンドン三塁手
ヘラルド・パーラ外野手
フェルナンド・ロドニー投手
スティーブン・ストラスバーグ投手(オプトアウト可能:残り4年1億ドル)
ジョニー・ベンタース投手
ライアン・ジマーマン一塁手(球団オプション1800万ドル)ナショナル・リーグ中部地区
◆カブス
トニー・バーネット(球団オプション300万ドル)
デレク・ホランド(球団オプション700万ドル)
ニコラス・カステヤーノス外野手
ゼイビアー・セデーニョ投手
スティーブ・シーシェック投手
ダルビッシュ有投手(オプトアウト可能:残り4年8100万ドル)
ケンドール・グレイブマン投手(球団オプション300万ドル)
コール・ハメルズ投手
ブランドン・キンツラー投手
ジョナサン・ルクロイ捕手
ブランドン・モロー投手(ベスティングオプション1200万ドル)
デービッド・フェルプス投手
ホゼ・キンターナ投手(球団オプション1150万ドル)
アンソニー・リゾー一塁手(球団オプション1450万ドル)
ペドロ・ストロップ投手
ベン・ゾブリスト内野手◆レッズ
フレディ・ギャルビス二塁手(球団オプション550万ドル)
ジャスティン・グリム投手
ホゼ・イグレシアス遊撃手
アレックス・ウッド投手◆ブリュワーズ
マット・アルバース投手
チェイス・アンダーソン投手
ジオ・ゴンザレス投手
ヤスマニ・グランダル捕手(相互オプション1600万ドル)
ジョーダン・ライルズ投手
マイク・ムスターカス三塁手(相互オプション1100万ドル)
マニー・ピーニャ捕手
ドリュー・ポメランツ投手
エリック・テームズ一塁手(球団オプション750万ドル)◆パイレーツ
クリス・アーチャー投手(球団オプション900万ドル)
メルキー・カブレラ外野手
ロニー・チゼンホール内野手
トム・コーラー投手
フランシスコ・リリアーノ投手
スターリング・マーテイ外野手(球団オプション1150万ドル)
ブランドン・マウアー投手◆カージナルス
トニー・シングラーニ投手
マーセル・オズーナ外野手
マイケル・ワカ投手
アダム・ウェインライト投手
マット・ウィータース捕手ナショナル・リーグ西部地区
◆ダイヤモンドバックス
アレックス・アビラ捕手
ジャロッド・ダイソン外野手
ウィルマー・フローレス内野手(球団オプション600万ドル)
平野佳寿投手
アダム・ジョーンズ外野手
T.J.マクファーランド投手(球団オプション185万ドル)◆ロッキーズ
ドリュー・ビュテラ捕手
ヨンダー・アロンゾ一塁手◆ドジャース
ジェッド・ジョーコ三塁手(球団オプション1300万ドル)
ケンリー・ジャンセン投手(オプトアウト可能:残り2年3800万ドル)
ラッセル・マーティン捕手
リッチ・ヒル投手
柳賢振(リュ・ヒョンジン)投手◆パドレス
アーロン・ループ投手(球団オプション200万ドル)
クレイグ・スタメン投手
アダム・ウォーレン投手(球団オプション250万ドル)◆ジャイアンツ
フェルナンド・アバッド投手
マディソン・バムガーナー投手
パブロ・サンドバル三塁手
ウィル・スミス投手
スティーブン・ボート捕手
トニー・ワトソン投手(選手オプション250万ドル) -
ALCS敗退のヤンキース 今オフは大物先発投手の獲得に動くのか?
2019.10.21 13:15 Monday日本時間10月20日に行われたアストロズとのリーグ優勝決定シリーズ第6戦に敗れ、今季の戦いを終えたヤンキース。「2000年代」「2010年代」といった10年区切りの「ディケード」で、ヤンキースがワールドシリーズ進出を果たせなかったのは、実に「1910年代」以来のこととなった。強力な先発三本柱を擁するアストロズの前に敗れ去ったヤンキースだが、今オフ、ヤンキースは絶対的なエースとなる大物先発投手の獲得へ動くことになるのだろうか。
ヤンキースは、第1ワイルドカードを獲得した昨季(100勝)、ア・リーグ東部地区を制した今季(103勝)と2年連続で100勝以上をマーク。これは162試合にも及ぶ長いレギュラーシーズンを戦うのに十分な戦力を有していることを意味する。しかし、ヤンキースが目指すワールドシリーズ制覇を成し遂げたのは2009年が最後。それ以降、ワールドシリーズ制覇どころかワールドシリーズ進出すら果たせていないのが現状である。
ヤンキースのワールドシリーズ制覇のために、絶対的なエースとなる大物先発投手の獲得の必要性が叫ばれてきたが、昨オフのヤンキースはパトリック・コービン(ナショナルズ)に4年以上の契約をオファーせず、今年7月のトレード市場でもザック・グレインキー(アストロズ)やマーカス・ストローマン(メッツ)、トレバー・バウアー(レッズ)の獲得には動かなかった。
今オフは、ゲリット・コール(アストロズ)がフリーエージェントとなり、スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)にもオプトアウト(=契約破棄)の可能性がある。ただし、コールは西海岸でのプレイを希望していることが報じられており、ストラスバーグはオプトアウトを選択せずにナショナルズに留まる可能性もある。となると、柳賢振(リュ・ヒョンジン:ドジャース)、マディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)、ザック・ウィーラー(メッツ)、ジェイク・オドリッジ(ツインズ)といった投手たちがフリーエージェント市場の注目株となるが、ヤンキースが求めている「絶対的なエース」と呼ぶのは難しい顔ぶれである。
そうしたことを踏まえると、昨オフにDJレメイヒューを2年契約で獲得し、ザック・ブリットンを3年契約、J.A.ハップを2年契約で引き留めたように、ピンポイントで的確な補強を施すようなオフシーズンになる可能性が高い。大きな契約は、オプトアウトの可能性があるクローザーのアロルディス・チャップマンとの再契約のみ、という可能性も十分にありそうだ。
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2019年ワールドシリーズは強力ローテーション対決に
2019.10.21 12:30 Mondayア・リーグ王者のアストロズとナ・リーグ王者のナショナルズが対戦する2019年のワールドシリーズは、日本時間10月23日にアストロズの本拠地ミニッツメイド・パークで開幕する。近年のワールドシリーズでは、2014年のマディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)、2017年のジャスティン・バーランダー(アストロズ)など、エース格の投手の活躍がチームを世界一に導いてきたが、今年は両チームにエース級の投手がズラリと顔を揃えている。強力な先発ローテーションを擁する両チームの対戦は、非常に興味深いものとなりそうだ。
アストロズは、今季ア・リーグ最多勝のバーランダー、最優秀防御率と最多奪三振の二冠に輝いたゲリット・コール、シーズン途中でダイヤモンドバックスから加入して合計18勝をマークしたザック・グレインキーという球界最強クラスの先発三本柱を擁している。一方、ナショナルズにも、サイ・ヤング賞3度の実績を誇るマックス・シャーザー、今季ナ・リーグ最多勝のスティーブン・ストラスバーグ、3年連続2ケタ勝利&2年連続200奪三振のパトリック・コービンという極めて優秀な先発三本柱がいる。この6人全員が今季のメジャー全体の防御率ランキングで20位以内にランクインしており、このようなワールドシリーズは1945年以来74年ぶりだという。また、ナショナルズにはリーグ優勝決定シリーズ第1戦で8回途中までノーヒット投球を継続したアニバル・サンチェスがいることも忘れてはならない。
さらに、前述の6人のうちグレインキーを除く5人は、今季のメジャー全体の奪三振ランキングで10位以内にランクインしている(コール1位、バーランダー2位、ストラスバーグ6位、シャーザー8位、コービン10位タイ)。奪三振トップ10以内の投手が5人も登場するシリーズは、ワールドシリーズのみならずポストシーズン全体でも初めてのことである。また、レギュラーシーズンでの両チーム合計2073奪三振は、ワールドシリーズで対戦する2チームの合計としては史上最多となっている。
これだけの好投手が揃うと、連打で得点を重ねるような攻撃は難しくなるに違いない。勝負どころで飛び出す一発や各先発投手のちょっとした不調や失投が、勝敗の行方を大きく左右するようなシリーズとなるかもしれない。
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第6戦サヨナラ弾のアルトゥーベがALCSのMVPに選出
2019.10.20 23:55 Sunday日本時間10月20日、アメリカン・リーグのリーグ優勝決定シリーズが終了し、アストロズが4勝2敗でヤンキースを破って2年ぶりのワールドシリーズ進出を決めた。MVPには第6戦の9回裏に劇的なサヨナラ2ランを放ったホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)が選出。アルトゥーベは6試合で打率.348、1二塁打、2本塁打、3打点、OPS1.097の大活躍を見せた。
MVPの表彰式でトロフィーを手にしたアルトゥーベは「ベースを回っている間のことで僕が唯一覚えているのは、もう一度ワールドシリーズへ進出する機会を手にすることができたことについて神に感謝したことだ」とコメント。「球場中の全ての人々に感謝したい。あなたたちの存在が、僕たちがここにいられる最大の理由なんだ。チームメイトもみんなMVPだよ。ワールドシリーズの戦いが待ち切れないね」とファンやチームメイトへの感謝を口にした。
アルトゥーベは、レイズとの地区シリーズ5試合でも打率.350、3本塁打、OPS1.281の好成績をマーク。現在ポストシーズンでは、2017年のワールドシリーズ第7戦から20試合連続出塁(球団記録)を継続中であり、ポストシーズンには無類の強さを誇っている。レギュラーシーズンとポストシーズンの両方でMVPを受賞した二塁手は、メジャーリーグの長い歴史のなかでアルトゥーベただ1人である。
A.J.ヒンチ監督は「ポストシーズン・バージョンの彼は本当に素晴らしいんだ」とアルトゥーベのポストシーズンでの活躍を絶賛。「彼はスター選手であるにもかかわらず、とても謙虚だし、ハングリー精神も旺盛だ。チームメイトにも良い影響を与える存在だし、ホゼ・アルトゥーベはアストロズの象徴なんだよ」とスター二塁手への全幅の信頼を語った。
2年ぶりのワールドシリーズ制覇に向けて、ナショナルズとワールドシリーズで激突するアストロズ。アルトゥーベはワールドシリーズの舞台でも最高の輝きを見せてくれることだろう。
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フィリーズの新監督候補はベイカー、ジラルディ、ショウォルター
2019.10.17 15:35 Thursdayフィリーズがゲーブ・キャプラーに代わる新監督に求めているものは明らかだ。監督初挑戦となったキャプラー政権下の2年間で161勝163敗に終わったフィリーズは、優勝を狙える戦力を擁するチームを率いる人物に監督経験を求めている。そして、新監督候補はすでにダスティ・ベイカー、ジョー・ジラルディ、バック・ショウォルターの3人に絞られているようだ。
フィリーズは、日本時間10月15日にショウォルターとジラルディ、同17日にはベイカーとの面談を実施。マット・クレンタックGMとネッド・ライスGM補佐が新監督の選考を進めている。
今のところ、この3人以外の候補者の名前は浮上しておらず、関係者によると、すでに候補者はこの3人に絞られており、早ければ来週中にも新監督が決定する可能性があるという。来季こそポストシーズン進出を果たしたいフィリーズは、監督経験があり、チームを優勝に導ける手腕を持っていることを新監督に求めていると見られている。
ベイカー、ジラルディ、ショウォルターの3人は、合計8000試合以上の監督経験があり、ベイカーとショウォルターは20年以上、ジラルディは10年以上の監督経験のなかで通算勝率は5割を上回っている。ベイカーはジャイアンツ監督時代の2002年、ジラルディはヤンキース監督時代の2009年にワールドシリーズを制しており、ショウォルターもオリオールズ監督時代の2014年にリーグ優勝決定シリーズへ進出した。
なお、ジラルディはカブスの新監督候補にも挙げられており、プレミア12の米国代表の監督を退任して新天地探しに専念している。ジョー・マドンの新監督就任が決まったエンゼルスの新監督候補にもなっていたショウォルターは、フィリーズの球団社長であるアンディ・マクフェイルがオリオールズ在籍時に監督を務めていたため、フィリーズ新監督の最有力候補に挙げる声もある。また、ベイカーはメッツの新監督候補にも挙げられていたが、メッツとの話は進んでいないようだ。
ブライス・ハーパーら有力選手を多数擁するフィリーズの新監督に誰が選ばれるのか。今後の動向に注目したい。
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ワシントンがパドレス新監督の最有力候補に浮上
2019.10.17 14:45 Thursday日本時間10月17日、サンディエゴ・ユニオン・トリビューンは、パドレスの新監督候補がロン・ワシントンとジェイス・ティングラーの2人に絞られたことを報じた。そして、関係者がMLB公式サイトに伝えたところによると、元レンジャーズ監督であるワシントンが最有力候補となっているようだ。
パドレスのA.J.プレラーGMは、2004年に国際スカウト部門とプロスカウト部門のディレクターとしてレンジャーズに採用され、ジョン・ダニエルズGMの右腕的存在として活躍。2014年8月にパドレスのGMに就任するまでの間、最終的にはGM補佐にまで上り詰めた。そのレンジャーズで2007年から2014年まで監督を務めていたのがワシントンであり、2010年と2011年には2年連続でリーグ優勝を経験。一方のティングラーは2007年から現在に至るまで、コーチング・スタッフやフロント・オフィスの一員としてレンジャーズで活躍してきた。
今季をナ・リーグ西部地区の最下位で終えたパドレスは、シーズン終盤に解任されたアンディ・グリーンに代わる新監督に豊富な監督経験を求めており、その点において、メジャーでの監督経験がないティングラーよりもレンジャーズで監督経験があるワシントンのほうが優位に立っていると見られている。直近3シーズンをブレーブスの三塁ベースコーチとして過ごしたワシントンは、内野手育成の手腕に定評があり、レンジャーズではエルビス・アンドルース、アスレチックスのコーチ時代にはマーカス・セミエン、ブレーブスではオジー・アルビーズやダンズビー・スワンソンといった選手たちを育て上げてきた。パドレスの新監督に就任した場合には、マニー・マチャドやフェルナンド・タティスJr.を含む内野陣をさらに成長させることが期待される。
なお、監督通算2000勝を達成し、今季限りでジャイアンツの監督を退任したブルース・ボウチーの名前も新監督候補として挙げられている。ボウチーがかつてパドレスで監督を務めていたこともあってパドレスの球団内にはボウチーの支持者がおり、ボウチーも来季以降にどこかのチームで指揮を執る可能性を否定していないため、新監督候補の1人と見られているようだ。
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ナショナルズ 球団創設51年目で初のWS進出は歴代最長記録
2019.10.17 13:25 Thursdayナショナルズはリーグ優勝決定シリーズでカージナルスに4連勝し、前身のエクスポズ時代を含めると球団創設51年目にして初のワールドシリーズ進出となった。実は、これはメジャー歴代最長記録である。MLB公式サイトでは、デービッド・アドラーが「ワールドシリーズ開始の1903年からワールドシリーズ初出場までの年数」「現在の本拠地に移転してからワールドシリーズ初出場までの年数」の2つのタイプを含む、ワールドシリーズ初出場までに要した年数のランキングを発表している。
歴代最長は前述のとおり、前身のエクスポズ時代を含むナショナルズであり、1969年の球団創設から51年目にして初のワールドシリーズ進出となった。それに続くのが、前日のセネタース時代を含むレンジャーズで、1961年の球団創設から50年目となる2010年に初出場。3位は1962年の球団創設から44年目となる2005年に初出場したアストロズだが、マリナーズは今季が1977年の球団創設から43年目となり、来季ワールドシリーズ初出場を果たしても3位のアストロズに並ぶことになる。
これに続くのが、1961年の球団創設から42年目となる2002年に初出場したエンゼルスと1903年から42年目となる1944年に初出場したオリオールズ(当時ブラウンズ)。テキサス移転後のレンジャーズ(1972年に移転して2010年に初出場)が39年目で7位、アトランタ移転後のブレーブス(1966年に移転して1991年に初出場)が26年目で8位、カージナルス(1926年に初出場)が24年目で9位にランクインし、10位は前身のセネタース時代を含むツインズ(1924年に初出場=当時セネタース)の22年目となっている。
ちなみに、ワールドシリーズ未出場はナショナルズを除くとマリナーズのみだが、レイズ、レンジャーズ、ブリュワーズ、ロッキーズ、パドレスもワールドシリーズ制覇の経験はない。近年では2001年のダイヤモンドバックスや2002年のエンゼルスが初出場初優勝を成し遂げているが、ナショナルズはそれに続くことができるだろうか。
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4連敗で敗退のカージナルス オフの補強プランは?
2019.10.17 12:15 Thursdayナショナルズとのリーグ優勝決定シリーズで4連敗を喫し、今季の戦いを終えたカージナルス。正三塁手のマット・カーペンターが想定外の大不振に陥って定位置を失い、4番打者のマーセル・オズーナがフリーエージェントを迎えるなか、どのような補強を展開するのだろうか。
昨オフ、カージナルスがトレードでポール・ゴールドシュミットを獲得し、カーペンターとの契約を延長した時点では、カージナルスの内野の両コーナーは今後数年間安泰かと思われた。しかし、カーペンターが急激にパフォーマンスを低下させて新人のトミー・エドマンに出場機会を奪われる状況となり、ESPNのデーブ・シェーンフィールドは補強ポイントに三塁を挙げている。
今オフのフリーエージェント市場には複数の有力三塁手がおり、主砲のオズーナがフリーエージェントとなるカージナルスは「三塁」と「4番」の穴を同時に埋めることも可能である。超大型契約が必要なトップ選手に手を出さないカージナルスの傾向を考えると、目玉の1人であるアンソニー・レンドン(ナショナルズ)は候補から外れ、ジョシュ・ドナルドソン(ブレーブス)が現実的な獲得候補となるだろう。ただし、ドナルドソンを獲得すれば、残り2年3700万ドルの契約を抱えるカーペンターをベンチに置くことになるため、カージナルスは難しい判断を強いられることになる。
また、オズーナはカージナルス残留を希望していることが報じられており、「カージナルスが僕を残留させようとしてくれるなら素晴らしいことだし、僕はそれを受け入れるよ。セントルイスで2年間プレイしたけど、素晴らしい経験だったし、ファンも最高だった。あとはカージナルスの判断次第だね」と語っている。エドマン、ホゼ・マルティネス、タイラー・オニール、有望株のディラン・カールソンなど、オズーナの後釜候補は球団内部に多数おり、ポストシーズンで主に守備面で精彩を欠いたオズーナについて、カージナルスの判断が注目される。
さらに、アダム・ウェインライトとマイケル・ワカがフリーエージェントとなるため、先発投手陣の補強も必須である。フランチャイズ・プレイヤーであるウェインライトと再契約を結んだとしても、カルロス・マルティネスを引き続きリリーバーとして起用するのであれば、最低1人は先発投手を補強しておきたいところ。こちらでも最大の目玉であるゲリット・コールは候補から外れ、マディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)、ザック・ウィーラー(メッツ)、柳賢振(リュ・ヒョンジン:ドジャース)といった投手たちが現実的な獲得候補となりそうだ。
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大谷所属のエンゼルス 新監督に名将・マドンが就任
2019.10.17 11:35 Thursday日本時間10月17日、エンゼルスは新監督としてジョー・マドンと3年契約を結んだことを発表した。マドンはエンゼルスに31年間の在籍経験があり、1996年と1999年に暫定監督を務めたほか、2002年にはマイク・ソーシア監督の下でベンチコーチとしてワールドシリーズ制覇を経験。レイズとカブスの監督を経て古巣に復帰し、低迷が続くチームの再建を託されることになった。
エンゼルスがブラッド・オースマス監督を解任したあと、カブスの監督を退任していたマドンは新監督の最有力候補に挙げられていた。バック・ショウォルター、ジョン・ファレル、ジョニー・ワシントンなど、他にも候補者はいたものの、エンゼルスは大方の予想通り、マドンを新監督に招聘することを決定した。
マドンは「地元に戻り、この素晴らしい組織の監督を務めることができるなんて、こんなに嬉しいことはない」と喜びのコメント。「私のエンゼルスでのキャリアに新たなページを加える機会を与えてくれたアート・モレノ(オーナー)、ビリー・エプラー(GM)、ジョン・カルピノ(球団社長)に感謝したい。私は幸運なことにも、球団史上初のワールドシリーズ制覇を成し遂げたチームの一員でいられた。今度は2度目の優勝をエンゼルスのファンにプレゼントしたいね」と意気込みを口にした。
現在65歳のマドンは、2006~2014年にレイズ、2015~2019年にカブスで監督を務め、レイズでは2度の地区優勝と2008年にリーグ優勝、カブスでは2度の地区優勝と2016年にワールドシリーズ制覇を経験。監督通算1252勝1068敗をマークし、カブスでは今季84勝78敗に終わるまで、4年連続で90勝以上&ポストシーズン進出を達成していた。
マイナーの捕手、スカウト、マイナーの打撃インストラクター、マイナーの監督、一塁ベースコーチ、ベンチコーチ、暫定監督などを歴任し、31年間をエンゼルスで過ごしてきたマドンが、15年ぶりの復帰となる古巣でどのような采配を見せるのか。来季から「二刀流」を再開する大谷翔平の起用法にも注目したい。