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歴代最多ペースで本塁打量産中

2017.6.1 16:30 Thursday

 昨季は歴代2位となる5610本塁打が飛び出し、歴代最多記録である5693本塁打(2000年)を超えるのではないかと騒がれたが、開幕から2ヶ月が経過した今季は歴代最多記録の更新どころか、6000本塁打に迫ろうかというペースで本塁打が量産されている。

 4月は延べ738試合で863本塁打が飛び出し、2000年4月の931本塁打に次ぐ歴代2番目となる本塁打数を記録。復活を遂げたライアン・ジマーマン(ナショナルズ)、韓国球界から逆輸入されたエリック・テームズ(ブリュワーズ)、2015年の後半戦から本塁打量産を続けているクリス・デービス(アスレチックス)、若き大砲アーロン・ジャッジ(ヤンキース)の4選手が早くも2桁本塁打に到達した。

 5月に入ると本塁打量産のペースはさらに上がり、延べ842試合で1060本塁打が飛び出した。キャリア最多が9本塁打(2012年)だったヨンダー・アロンゾ(アスレチックス)は今季すでに14本塁打を放ち、マイク・トラウト(エンゼルス)、ブライス・ハーパー(ナショナルズ)といった実力者のみならず、ジャッジ、ジョーイ・ギャロ(レンジャーズ)、コディー・ベリンジャー(ドジャース)ら新鋭やスコット・シェブラー(レッズ)、マーウィン・ゴンザレス(アストロズ)ら伏兵たちも本塁打を量産。歴代月間最多本塁打記録は2000年5月の1069本塁打だが、もう少しで2017年5月は「メジャーリーグ史上で最も本塁打が多かった月」になるところだったのである。

5月の特大本塁打集

今年5月は歴代2番目に多い1060本塁打が飛び出した

 再び「打高投低」の時代に突入したのかというと決してそのようなことはなく、むしろ平均球速の上昇などによって打率は低下し、三振は増加している。本塁打増の傾向は昨季から始まっているが、その中で目を引くのがHR/FB(フライの打球に占める本塁打の割合)とHard%(強い打球の割合)の上昇である。160km/hを超える速球を投げる投手が珍しくなくなり、150km/h台の変化球を投げる投手も登場する中、ヒットを打つのが難しくなり、三振も増加した。投手のレベルアップが「つなぐ攻撃」を困難なものとし、その結果、打者たちは「三振を恐れず、強い打球を打つことを心掛けるようになった」ということがこれらのデータから推測できる。アロンゾやジェッド・ジョーコ(カージナルス)のように適切な角度で強い打球を打つことを意識していることを明言している打者もおり、投手のレベルアップに対応するために各打者が打撃のアプローチに何らかの変更・修正を加えていることは間違いなさそうだ。そして、それがメジャー全体の本塁打増につながっているのである。

 2000年は5月末までに2000本を超える本塁打が飛び出したものの、空気の乾燥やセプテンバー・コールアップの影響によって本塁打が増えるはずの夏場以降に失速。最終的には5693本塁打にとどまった。一方、昨季は夏場にペースが上がり、8月以降に2000本以上の本塁打が飛び出して2000年の歴代最多記録に迫った。今季は現時点でシーズン5900本塁打を超えるペースとなっており、もし昨季同様に夏場に本塁打量産のペースが上がるようなことがあれば、シーズン6000本塁打という大台すら見えてくる。優勝争い、タイトル争いの行方はもちろんのこと、今季のメジャーリーグは歴代最多本塁打記録更新の可能性からも目が離せなくなりそうだ。

《歴代月間最多本塁打記録》
1位 2000年5月 1069本塁打
2位 2017年5月 1060本塁打
3位 2016年8月 1053本塁打
4位 2015年9/10月 1034本塁打
5位 2004年8月 1033本塁打

《5月の月間最多本塁打記録》
1位 2000年 1069本塁打
2位 2017年 1060本塁打
3位 1999年 980本塁打
4位 2016年 965本塁打
5位 2006年 911本塁打

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