開幕から2ヶ月 地区優勝争いの行方は?
2017.6.2 16:53 Friday
開幕から2ヶ月が経過した2017年のメジャーリーグ。混戦が続いている地区があれば、首位が独走している地区もある。地区ごとの現状を簡単におさらいしておこう。
ア・リーグ東部地区:例年通りハイレベルな混戦状態
ア・リーグ東部地区順位表:6月2日時点
「メジャーリーグで最もレベルが高い地区」との声もあるア・リーグ東部地区。今季はクリス・セールの獲得に成功したレッドソックスの独走を予想する声もあったが、アーロン・ジャッジら若手選手の活躍もあり、ヤンキースが予想外の快進撃。現時点で2位レッドソックスに3ゲーム差をつけて首位を走っている。オリオールズはやや失速気味だが、2位と0.5ゲーム差の3位。昨季地区最下位のレイズは貯金2で4位。開幕ダッシュに失敗したブルージェイズは地区最下位に沈んでいるものの、最近10試合で8勝2敗と盛り返し、借金を2まで減らして上位勢を猛追している。首位から最下位まで6.5ゲーム差。今季もこの地区では最後まで激しい地区優勝争いが続きそうだ。
ア・リーグ中部地区:現時点では混戦も最終的には独走か
ア・リーグ中部地区順位表:6月2日時点
首位ツインズから最下位ロイヤルズまでが6ゲーム差の中にひしめき、ア・リーグで最も混戦となっている中部地区。アービン・サンタナ、ミゲル・サノーらの活躍でツインズが首位を走っているものの、ゲーム差なしで本命インディアンスが後を追っている。インディアンスはここにきて大黒柱コリー・クルーバーの戦列復帰など明るい材料もあり、今後は地力に勝るインディアンスが一気に首位を独走し始める展開も十分に考えられる。対抗馬の一番手と見られていたタイガースは借金3で3.5ゲーム差の3位。再建期真っ只中の4位ホワイトソックスはともかく、主力選手の多くが今季終了後にFAとなることもあって「最後の勝負イヤー」となるはずだった一昨年の王者ロイヤルズは借金8で地区最下位に沈んでおり、7月末のトレード・デッドラインまでに主力選手を放出してしまう可能性が高まっている。
ア・リーグ西部地区:ほぼ終戦。116勝に迫るアストロズ
ア・リーグ西部地区順位表:6月2日時点
現在7連勝中のアストロズが2位エンゼルスに11.5ゲーム差をつけて首位を独走しているア・リーグ西部地区。アストロズは2001年マリナーズ以来となる快進撃を続けており、現時点での勝率は驚異の.704(シーズン114勝ペース)。1906年カブスと2001年マリナーズが打ち立てたシーズン116勝の歴代最多記録に迫るペースで勝利を重ねており、2位以下とのゲーム差を考えると、この地区はほぼ「終戦」と言っても過言ではないだろう。2位から最下位までの4チームは4ゲーム差の中にひしめく混戦。アストロズの背中を追い続けるのか、それとも来季以降に向けたチーム作りを始めるのか、各球団のGMは難しい選択・舵取りを迫られることになりそうだ。
ナ・リーグ東部地区:メッツの自滅でナショナルズが独走状態
ナ・リーグ東部地区順位表:6月2日時点
昨季地区優勝のナショナルズに強力先発投手陣を擁するメッツが対抗する展開が予想されていたナ・リーグ東部地区。しかし、マット・ハービーが出場停止処分を受け、ノア・シンダーガードが故障で長期離脱するなどトラブル続きのメッツが半ば自滅する形となり、地区2位とはいえ借金6と期待外れ。リーグトップ、メジャー2位の勝率.635を記録しているナショナルズに独走を許してしまっている。ブルペン陣を補強し「台風の目になるのでは?」と期待されたマーリンズは借金10で地区4位に沈み、ブレーブスにすら先を行かれる苦しい展開。なお、地区最下位のフィリーズは借金17を抱え、勝率.333は両リーグワースト。2018年ドラフト全体1位指名権争いの先頭を走っている。
ナ・リーグ中部地区:伏兵が首位を走るも最終的には予想通りの展開か
ナ・リーグ中部地区順位表:6月2日時点
王者カブスにライバル・カージナルスが対抗する展開が予想されていたナ・リーグ中部地区。しかし、現在首位を走っているのは再建期真っ只中だったはずのブリュワーズである。デービッド・スターンズGMは「再建のペースが速まっているのは良いことだが、そのことが我々の計画を変えるわけではない」と着実に再建を進める方針を明確にしており、欲を出して補強に走る可能性は低そうだ。ブリュワーズから1.5ゲーム差の2位カージナルス、さらにそこから1.5ゲーム差の3位カブスが最終的には地区優勝を争うことになるのではないだろうか。とはいえ、首位から最下位までメジャー最小の5ゲーム差という混戦地区なだけに、再建中の4位レッズはともかく、5位パイレーツにもまだまだ上位浮上のチャンスはあるだろう。
ナ・リーグ西部地区:上位3チームが勝率6割台の最強地区
ナ・リーグ西部地区順位表:6月2日時点
ここ数年、ドジャースとジャイアンツの一騎打ちが続いていたナ・リーグ西部地区。ところが、ジャイアンツが大黒柱マディソン・バムガーナーの長期離脱もあってパドレスと同率で地区最下位に沈んでおり、地区優勝争いはここ数年とは異なった様相を呈している。本命ドジャースは首位と0.5ゲーム差の3位。勝率.600を記録しており、決して出遅れているわけではない。そのドジャースに0.5ゲーム差をつけて首位を走っているのがダイヤモンドバックスとロッキーズだ。両チームとも強力打線を擁し、前者はザック・グレインキーの復活やロビー・レイの成長、後者はアントニオ・センザテラ、カイル・フリーランド、ヘルマン・マルケスの新人トリオの頑張りによって投手陣が予想以上に健闘中。この両チームがどこまで本命ドジャースに食らいついていけるか、今後の展開に注目したい。