【戦評】ナショナルズ打線爆発も不安の残るリリーフ陣
2017.6.5 11:31 Monday

ナ・リーグ東部地区の首位を快走するナショナルズは、6回表にトレイ・ターナーの2点タイムリースリーベースで逆転し、8回表にはライアン・ジマーマンが今季16号となる勝ち越しスリーラン。さらに、9回表にはマット・ウィータースとマイケル・テイラーの2者連続本塁打などで5点を追加し、9回表終了時点で11-4と大量7点をリード。ところが、試合は簡単には終わらなかった。
昨日の時点でチーム打率.278、303得点、83本塁打、OPS.825はいずれもリーグトップ。先発投手陣も10先発以上の4投手がいずれも防御率3点台以下で3つ以上の貯金を作り、特にマックス・シャーザー(6勝3敗、防御率2.56)とスティーブン・ストラスバーグ(7勝1敗、防御率2.91)の二枚看板はその実力を遺憾なく発揮している。今季のナショナルズの弱点はただ1つ。防御率4.84と不安定なパフォーマンスが続いているリリーフ陣だ。
この試合では2点差に迫られた8回二死の場面でクローザーの新人コーダ・グローバーがマウンドへ。3番ジェッド・ラウリーを一塁ゴロに打ち取ると、9回表に味方打線が5点を追加したこともあり、ベンチには楽勝ムードが漂っていた。9回表の攻撃が長引いたものの、ナショナルズのダスティ・ベイカー監督はグローバーの続投を決断。しかし、9回裏の先頭から3連打を浴び、あっという間に無死満塁の大ピンチ。ここで7番スティーブン・ボートが三塁前へボテボテの打球を転がし、チャレンジの末、タイムリー内野安打となってアスレチックスが1点を返す。さらに、代打マット・オルソンにはカウント0-2と追い込みながらも押し出しの四球を与え、ベイカー監督はここでグローバーを諦める。
マウンドに上がったのは開幕時に新クローザーとして期待されながらも、不振によりその座を剥奪されていたショーン・ケリー。9番ラジェイ・デービスを浅いセンターフライに打ち取って1アウトを取ったものの、1番マット・ジョイスにカウント1-1からの3球目、真ん中高めに甘く入ったスライダーをライトスタンドに叩き込まれ、試合はついに1点差。アスレチックスの本拠地オークランド・コロシアムの盛り上がりは最高潮に達したが、その後はケリーが2番チャド・ピンダーと3番ラウリーを打ち取り、なんとか1点差を守り抜いた。
試合後、ベイカー監督は「どの得点が試合を決めるかなんて誰にもわからない。だから私たちは選手たちに懸命にプレイし続けるように言っているんだよ。今日の試合でも彼らはやってくれた」と語り、9回表に大量5得点を挙げた打線を称賛した。しかし、相変わらずリリーフ陣の不安は解消されていない。球団史上初のワールドシリーズ出場へ向けて、今後ナショナルズがどのようにリリーフ陣を整備していくのか。マイク・リゾーGMの手腕が問われるシーズンとなりそうだ。