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レッドソックスの苦労人 ロビー・スコット

2017.6.6 11:43 Tuesday

 ロビー・スコット。この男の名前を聞いたことはあるだろうか。熱心なレッドソックスファンなら今季何度もこの男の名前を耳にしていることだろう。しかし、他球団のファン、ましてやナ・リーグの球団を応援しているファンの中にはこの男の名前を一度も聞いたことがないという人も多いかもしれない。

 ロバート・ジョン・スコット。フロリダ州マイアミ生まれの27歳。2011年にフロリダ州立大学で16試合にリリーフ登板し、9.1回を投げて防御率4.82という冴えない成績に終わったサウスポーはドラフト指名を得ることができず、独立リーグでプレイすることを決めた。独立リーグで7試合に登板し、11回を投げて無失点、19個の三振を奪ったパフォーマンスが評価され、2011年8月10日にレッドソックスと契約。ここからスコットのマイナー生活が始まった。

 AA級以下のレベルではスコットのピッチングは十分に通用し、2014年にはAA級で1先発を含む35試合に登板して8勝2敗3セーブ、防御率1.96の好成績をマーク。ところが、翌年AAA級に初昇格したスコットは13試合で防御率7.67、被打率.341と滅多打ちを喰らい、プロ入り後初めて大きな壁にぶち当たる。

 しかし、この時スコットは新たなチャレンジの真っ最中だった。好成績を残した2014年シーズン終了後、アリゾナ秋季リーグに参加していたスコットは、マリナーズ傘下で投手コーチを務めていたアンドリュー・ローレイン(2017年WBCイスラエル代表の投手コーチ)と出会う。「腕を下げることを考えたことはあるか?」と尋ねられたスコットは「一度もないです」と答えた。「よし、君のチームの投手コーディネーターに明日連絡するよ」とローレインは言った。

 長年レッドソックスで投手コーディネーターを務めているラルフ・トレウエルは、数日後にスコットら若手有望株を視察するためにアリゾナ秋季リーグを訪問する予定だった。そして、トレウエルとの議論の末、スコットの挑戦が始まる。

 2015年から2016年にかけてAAA級ポータケットの投手コーチ、ボブ・キッパーのもとで腕を下げた投球をマスターしたスコットは2016年、AAA級で32試合に登板して防御率2.54、被打率.202の好成績をマーク。9月2日には27歳にして初のメジャー昇格を勝ち取った。「簡単なプロセスではなかったよ。一夜のうちに解決するようなことではなかったからね」とスコットは振り返る。

 今季、スコットはここまで23試合に登板して防御率1.42、WHIP0.63、被打率.122の好成績をマーク。開幕ロースターの最後の1枠を勝ち取り、ロビー・ロスJr.、フェルナンド・アバッドに次ぐ「リリーフ左腕3番手」からスタートしたスコットは、ジョン・ファレル監督の信頼を勝ち取り、すでに「リリーフ左腕1番手」の座を手中に収めている。試合終盤、ロビンソン・カノー(マリナーズ)やクリス・デービス(オリオールズ)といった左の強打者に打順が回ってくる際には真っ先にスコットの名前が呼ばれるのだ。

 Statcastのデータによると、今季左打者に対して10度以上の打球がある全投手の中で左打者による初速72.7マイルは最も低い数字。速球の優れたコマンドが成功の要因であることは間違いないが、カーブは左打者に対して被打率.083(12打数1安打)、29度のスイングで12度の空振りと非常に効果的に機能している。投手コーチ補佐のブライアン・バニスターも「打者にとってはかなりやりにくい相手だろうね」と語る。

 ドラフト指名漏れの「落ちこぼれ」からブルペンに欠かせない「リリーフ左腕1番手」へと登り詰めたスコットのサクセス・ストーリー。その物語はまだ始まったばかりだ。

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