状況改善に自信を見せるモゼリアックGM
2017.6.6 13:08 Tuesday
21世紀の常勝軍団・カージナルスが苦しんでいる。4月を12勝12敗の勝率.500で終え、5月2日からの11試合で6連勝を含む9勝2敗と一気に勢いに乗って地区首位へ浮上したところまでは良かったのだが、その後の19試合で5勝14敗と急失速。3つの借金を抱え、地区3位に低迷している。「赤い鳥」が再浮上するためには何が必要なのか。
好調マイク・リーク(5勝4敗、防御率2.64)を中心にメジャー屈指の安定感を発揮している先発投手陣に対し、カージナルスの救援投手陣は開幕から不安定な投球が続いている。開幕直後に安定感を欠いたオ・スンファン(23試合、13セーブ、防御率2.77)は徐々に本来の姿を取り戻し、昨季絶不調に陥ったトレバー・ローゼンタール(22試合、防御率2.53)も頼れるセットアッパーとして復活。しかし、左のセットアッパーであるケビン・シーグリスト(24試合、防御率4.79)や4年契約で加入したブレット・シーセル(28試合、防御率4.05)はなかなか調子が上がらず、開幕直後にチーム内で最も安定していたマット・ボーマン(28試合、防御率4.91)も打ち込まれる試合が増えつつある。
「出れば打たれる」状態が続いていたジョナサン・ブロクストン(20試合、防御率6.89)を5月31日にリリースし、敗戦処理の仕事すらままならなかったミゲル・ソコロビッチ(15試合、防御率8.68)もDFAを経てマイナー送りとするなど、ブルペン再建に着手してはいるものの、思うような成果は得られていない。サム・トゥイバイララ(10試合、防御率3.27)、ジョン・ブレビア(3試合、防御率0.00)といったフレッシュな戦力を上手く活用することが必要だろう。また、ここにきて調子を落としているマイケル・ワカ(2勝3敗、防御率4.67)をブルペンに回し、AAA級で安定したピッチング(5勝1敗、防御率2.08)を見せているルーク・ウィーバーを抜擢するオプションも今後、検討されるかもしれない。
打線は主力選手の復調待ちといった状況で、特に打線の核となるべきマット・カーペンター(打率.213、9本塁打、OPS.752)、デクスター・ファウラー(打率.225、8本塁打、OPS.747)あたりの調子が上がってこないことには話にならない。スティーブン・ピスコッティ(打率.243、3本塁打、OPS.754)、アレドミス・ディアス(打率.257、5本塁打、OPS.688)ら若手打者にも元気がなく、ジェッド・ジョーコ(打率.311、8本塁打、OPS.898)が孤軍奮闘している状況だ。
また、正二塁手のコルテン・ウォン(打率.278、1本塁打、OPS.792)が故障者リストから復帰間近ということもあり、ジョニー・ペラルタ(打率.189、0本塁打、OPS.434)の処遇にも注目が集まっている。複数ポジションを守れるうえに打撃でもまずまずの結果を残している新人ポール・デヨング(打率.290、1本塁打、OPS.742)をロースターに残す場合にはペラルタのDFAないしリリースが現実味を帯びてくる。さらに、Aアドバンス級での再調整を続けているランドール・グリチック(打率.222、4本塁打、OPS.653)を正左翼手としてメジャーに復帰させる場合、チームトップのOPSを記録しているトミー・ファム(打率.295、5本塁打、OPS.913)がスタメンから外れることになり、このあたりの選手起用に関してもマイク・マシーニー監督は頭を悩ませることになりそうだ。
余剰戦力となっていたマット・アダムス(打率.292、1本塁打、OPS.735:在籍時のみの成績)をブレーブスへ放出するなど、戦力の整備を進めているカージナルス。ジョン・モゼリアックGMは自身が整えたロースターに自信を持っており、現時点では外部からの補強に動くつもりはないようだ。外野手不足により緊急昇格したマグネウリス・シエラ(打率.375、0本塁打、OPS.804)が結果を残したように、マイナー組織もそれなりには充実しており、球団内部の戦力で十分に補えると判断しているのかもしれない。
伏兵ブリュワーズに先を行かれ、宿敵カブスも徐々に調子を上げる中、モゼリアックGMはいつまで主力選手の復調を待ち続けるのか。先発投手陣の頑張りをフイにし続けるブルペンを立て直すプランはあるのか。「現在と未来」を両立させ、常勝軍団を築いてきたモゼリアックGMの次なる一手に注目したい。