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【戦評】サマージャ復活!10奪三振無四球で今季2勝目

2017.6.6 18:03 Tuesday

 ナ・リーグ西部地区の「本命」ドジャースの対抗一番手と目されながら、開幕から不甲斐ない戦いが続くジャイアンツ。大黒柱のマディソン・バムガーナーがバイク事故で長期離脱し、昨季18勝のジョニー・クエイトもなかなか調子が上がらない中、左のエース・バムガーナー、右のエース・クエイトに続く「3番目の男」がいよいよその類稀なる才能を本格開花させようとしている。

 その男の名はジェフ・サマージャ。エース級のポテンシャルを持つと評価されながら、2012年の先発転向後、5年連続2桁敗戦で白星先行は僅か1度(2016年:12勝11敗)とポテンシャルをフルに開花させることができずにいる本格派右腕だ。今季は初登板となった4月6日のダイヤモンドバックス戦で3本塁打を浴び、5.1回6失点でKOされると、そこから開幕4連敗。4月は5先発で0勝4敗、防御率6.32という惨憺たる成績に終わってしまった。

 しかし、5月3日のドジャース戦で8回3安打11奪三振1失点(自責点0)という見事なピッチングを見せると、徐々に風向きが変わり始める。この試合を含め、とにかく四球を与えないのだ。5月は結局6先発で1勝どまりだったものの、40.2回を投げて49個の三振を奪った一方、与えた四球は僅か1つだけ。月間K/BB49.00という驚異的な数字をマークした(K/BBは四球1つに対する奪三振の数を表し、今季の現時点でのメジャー平均は2.54)。

 そして迎えた今日のブリュワーズ戦。サマージャは立ち上がりに連打を浴び、犠牲フライにエラーが絡んで2点を失ったものの、2回から6回まで1人の走者も許さない完璧なピッチングを披露。試合終盤にはやや疲れが見え始めたが、追加点は許さず、7.2回6安打10奪三振2失点(自責点1)という見事なピッチングで今季2勝目(7敗)をマークした。

 約1ヶ月ぶりとなる2桁奪三振を記録した一方、もちろん今日も与えた四球はゼロ。これで5月以降は59奪三振に対して僅か1四球、その間K/BB59.00という奇跡的な数字をマークしている(シーズン通算のK/BBは8.55でリーグ1位)。「彼は素晴らしいピッチングを見せてくれたね」とジャイアンツのブルース・ボウチー監督。「彼のコマンドは優秀で、球速も素晴らしい。優れたチェンジアップとカットボールも持っている。あまり得意としていなかった球場で上手くやってくれたよ」

 サマージャは「俺はとても興奮しやすい男で、とにかく強いボールを投げたいんだ。でも、強いボールを投げたいところへ投げるためには身体を正しく使わなきゃいけないということを学ぶのに時間が掛かってしまった」と語る一方、デーブ・リゲッティ投手コーチとともに取り組んだメカニクスの調整についても語り、「今はそれをしっかり実行できているんだ」と自身のピッチングに手応えを感じている様子。

 タイ・ブラックが必死でバムガーナーの穴を埋めており、あとはクエイト、マット・ムーア、マット・ケインといった「実績組」が本来のピッチングを取り戻すだけ。大黒柱不在で苦しい先発投手陣を引っ張っていくことが、覚醒しつつあるサマージャに与えられた使命である。

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