【戦評】苦労人マルティネスが自身初の1試合2本塁打
2017.6.14 11:38 Wednesday

昨年、プロ生活11年目にして初のメジャー昇格を果たした苦労人が、キャリア最高の輝きを放った。
その男の名はホゼ・アルベルト・マルティネス。ホワイトソックス、インディアンスなどで一塁手兼三塁手として7年間にわたってプレイしたカルロス・マルティネスの息子である。2006年2月にホワイトソックスと契約したマルティネスは巧打を武器にマイナーの階段をゆっくりと登っていき、プロ10年目の2015年にようやくAAA級に到達した。ロイヤルズ傘下のAAA級でプレイしたこの年、マルティネスはパシフィックコースト・リーグ史上最高となる打率.384を記録する大活躍を見せたものの、それでもメジャーからは声が掛からなかった。
昨年5月に金銭トレードでカージナルスに加入。加入後のAAA級での成績は打率.269、OPS.742という冴えないものだったが、セプテンバー・コールアップで初のメジャー昇格。プロ11年目にしてついに夢が叶う瞬間が訪れた。メジャーでは12試合に出場し、打率.438をマーク。今年のスプリング・トレーニングでは打率.380、4本塁打、OPS1.248の猛打を見せ、自身初の開幕ロースター入りを勝ち取った。
準レギュラーという立場が続いている今季。ダブルヘッダー第1戦となったこの試合は「7番・ライト」で先発出場した。ランス・リン、ジョン・ブレビア、タイラー・ライオンズが完封リレーを披露する中、マルティネスは5回裏の第2打席で2号先制ソロ、6回裏の第3打席で犠牲フライ、8回裏の第4打席でダメ押しとなる3号ソロを放ち、2安打3打点の大活躍。この日は初めて母親がメジャーの試合を見に来てくれていたということもあって、「特別な日になったよ。初めて母が僕がメジャーの試合でプレイしているところを見に来てくれたんだ。活躍しているところを母に見せてあげられたのはとても大きなことなんだ。なぜかって?母はベネズエラに帰っちゃうんだ。でも、とても喜んでくれていると思うよ」と喜びを隠さなかった。
「ファムが素晴らしい仕事をしていて、ファウラーやピスコッティも徐々に調子を上げている。だから難しいんだ。でも彼は印象的で素晴らしい活躍をしてくれていると思うよ」とマイク・マシーニー監督も難しい立場で奮闘するマルティネスへの信頼を口にする。「彼は我々が求めたことを何でもしてくれる」とマシーニー監督が語る苦労人は、すでにカージナルスに不可欠な戦力となっているようだ。