【戦評】新鋭ベリンジャーがメジャー新記録を樹立
2017.6.14 14:54 Wednesday

4月25日のメジャーデビュー以来、ハイペースで本塁打を量産している若きスラッガーが難攻不落・球界最高のリリーフ左腕を攻略した。
2-2の同点で迎えた8回表、インディアンスのマウンドには6回表二死から登板したアンドリュー・ミラーが立っていた。イニングだけで言えば6回、7回ときて8回が3イニング目。ポストシーズンならともかく、レギュラーシーズンでは珍しい起用法である。8回表は左打者のコディ・ベリンジャーから攻撃が始まるため、そこまでをミラーに抑えてほしいというのがテリー・フランコーナ監督の思惑だったのだろう。しかし、そんな敵将の思惑をベリンジャーは一振りで打ち砕く。
カウント2-1からの4球目。真ん中付近のスライダーだった。「いろんなことをやりすぎないようにした。彼はスライダーを投げてきたから、僕はただそれをしっかりバットに乗せようと心掛けたんだ。ラッキーなことに、フェンスを越えてくれたね」とベリンジャーは謙虚に振り返ったが、持ち前の豪快なスイングで打ち返した打球は大きな放物線を描き、そのままライトスタンドへと吸い込まれた。今季16号となる勝ち越しソロは、ミラーが今季打たれた初めての本塁打。今季防御率0.29、被打率.131とまさに「難攻不落」だったミラーを一振りで攻略した。
ベリンジャーは9回表にも試合を決める17号スリーランを放ち、これで1試合2本塁打は早くも今季4度目。4度目の1試合複数本塁打まで45試合というのはメジャー史上最速の記録となった(従来の記録はボブ・ホーナーの63試合)。また、キャリア最初の45試合で17本塁打はゲーリー・サンチェス(ヤンキース)の19本塁打に次ぐ史上2位の数字となっている。
ドジャースの新人で1試合複数本塁打を1シーズンで4度以上記録した選手は1993年マイク・ピアッツァ(5度)と2016年コリー・シーガー(4度)の2人だけ。しかも、この2人はともに満票で新人王を受賞している。「彼が素晴らしい選手だということは僕たちみんなが知ってるよ」とクレイトン・カーショウが語る若きスラッガーが、今後も本塁打を量産し、ドジャースの新人王の歴史に新たな1ページを刻むかもしれない。