再建進めるホワイトソックスは「第2のアストロズ」となるか
2017.11.7 18:37 Tuesday
2011年オフに就任したジェフ・ルーノウGMのもとでチーム再建を進め、111敗を喫した2013年からわずか4年後に球団史上初のワールドシリーズ制覇を成し遂げたアストロズ。この見事な再建プロセスは再建中のチームに勇気と希望を与えたに違いない。現在のメジャーリーグにおいて大規模な再建を進めているチームといえばホワイトソックスだが、ホワイトソックスは「第2のアストロズ」となれるのだろうか。
ホワイトソックスがポストシーズンに進出したのは89勝74敗でア・リーグ中部地区を制した2008年が最後。それ以降の9シーズンで勝ち越しは2度だけであり、2013年以降は5年連続で負け越し&地区4位以下に沈んでいる。クリス・セール、ホゼ・キンターナ、ホゼ・アブレイユ、デービッド・ロバートソンといった好選手を抱えていたため、3年連続で100敗以上を喫したアストロズのような惨状には陥らなかったものの、近年はこれらの有力選手を次々に放出。本格的にチーム再建に乗り出している。
昨年12月にエース左腕のセールをレッドソックスへ放出し、ヨアン・モンカダ、ルイス・アレクサンダー・バサベ、マイケル・コペック、ビクトル・ディアスの4選手を獲得。モンカダは当時球界最高級の若手有望株と評されており、今季は54試合に出場して8本塁打、OPS.750と徐々に才能を発揮し始めている。時速100マイルを超える速球を武器とするコペックはMLB公式サイトのプロスペクト・ランキングで全体9位&球団2位の好評価を得ており、来季中にもメジャーデビューが実現するはずだ。
今年7月13日にはまだ複数年保有可能だった実力派左腕のキンターナをカブスへ放出。対価としてディラン・シーズ、イロイ・ヒメネス、ブライアント・フリート、マット・ローズの4選手を手に入れた。ヒメネスは前述のプロスペクト・ランキングで全体4位&球団1位の好評価を得ている球界有数の有望株。長打力をジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)と比較する声もあり、今季はマイナー2階級合計で打率.312、19本塁打、OPS.947の好成績をマークした。時速90マイル台後半の速球とカーブを武器とするシーズも高い評価を受けており、先発ローテーションの軸となり得るポテンシャルを秘めている。
球団4位のブレイク・ラザフォードと球団8位のデーン・ダニングもトレードで獲得した若手有望株であり、低迷期に得たドラフトの上位指名権を使って獲得した選手を中心に再建を進めたアストロズとは多少色合いが異なっている。しかし、球団6位のアレック・ハンセン(2016年2巡目)、球団7位のザック・コリンズ(2016年1巡目)、球団9位のカーソン・フルマー(2015年1巡目)、球団10位のジェイク・バーガー(2017年1巡目)などホワイトソックスがドラフトで指名した選手の中にも将来有望な選手は多く、生え抜き組と移籍組が合わさることで有望株の層の厚さは球界有数のものとなっている。さらに今年5月にはモンカダ以降最高のキューバ産有望株と言われていたルイス・ロベルトの獲得にも成功。彼らがメジャーの舞台に揃うであろう2019年~2020年ごろには極めて魅力的なチームが完成しているはずだ。
モンカダのほか、ティム・アンダーソン、カルロス・ロドン、レイナルド・ロペス、ルーカス・ジオリトなどすでにメジャーに到達している若手有望株も多く、彼らがさらに成長してチームの軸となった状態でヒメネスらのメジャー昇格を迎えられるのが理想のシナリオ。モンカダ、ヒメネス、コリンズらが打線を牽引し、ジオリト、コペック、ハンセンらが魅力的な先発ローテーションを形成する。そんな明るい未来がホワイトソックスには待っているはずだ。
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