2017年シーズン 静かにブレイクを果たした選手たち
2017.11.8 11:23 Wednesday
ポストシーズンが終了し、アウォード受賞者が発表される季節となった。ポストシーズンで活躍した選手やアウォードを受賞した選手には自然と注目が集まるが、それ以外にも注目されるべきパフォーマンスを見せた選手は大勢いる。ここではそのような「静かにブレイクを果たした選手」を紹介する。
MLB.comのフィル・ロジャースが「ポストシーズンに進出できなかったチームに所属している選手」という条件付きで選出したのが以下の10名だ。トミー・ファム(カージナルス)、タッカー・バーンハート(レッズ)、ウィット・メリーフィールド(ロイヤルズ)、スティーブン・スーザJr.(レイズ)、ヨルマー・サンチェス(ホワイトソックス)、ブレイク・パーカー(エンゼルス)、ディラン・バンディ(オリオールズ)、アンソニー・スウォーザック(ブリュワーズ)、ミッチ・ハニガー(マリナーズ)、フェリペ・リベロ(パイレーツ)。
今回はロジャースが真っ先に名前を挙げたファムに注目してみたい。ファムは今季、ナ・リーグ新人王のファイナリスト3名に残ったポール・デヨングと同様にAAA級メンフィスで開幕を迎え、シーズン途中にメジャーへ昇格してチームに不可欠な戦力となった。ファムは若手有望株と呼ばれるような存在ではなく、来年3月には30歳の誕生日を迎える。メジャー3年目となった昨季は自己最多の78試合に出場して9本塁打を放ったが、ホゼ・マルティネスとのロースター争いに敗れ、開幕をマイナーで迎えることになったのだ。
しかし、5月上旬にメジャー昇格を果たすと、5月は打率.320、5本塁打、OPS.978の大活躍。マイク・マシーニー監督のハートをガッチリ掴み、そのままレギュラーに定着した。最終的には128試合に出場して初めて規定打席をクリアし、打率.306、23本塁打、25盗塁、OPS.931と期待以上の好成績をマーク。22二塁打と合わせ、「打率3割・20二塁打・20本塁打・20盗塁」をクリアしたのは球団史上初、今季メジャー全体でもわずか3人だけという快挙だった(他の2人はアストロズのホゼ・アルトゥーベとエンゼルスのマイク・トラウト)。
リーグ平均からの傑出度を測る「OPS+」では惜しくもメジャーTOP10入りこそ逃したものの、メジャー全体で12番目となる数字をマーク。昨季から三振率は大幅に低下させた一方で四球率を上昇させ、出塁率は4割を超えた(.411)。また、外野の守備ではレフトでDRS(=守備防御点)+10、センターでDRS+3を記録するなど好守を発揮。まさに走攻守の三拍子が揃った素晴らしい活躍で、FanGraphs版のWARはリーグ7位の5.9という高水準に達した。
ファムのようにほとんど期待されていなかった選手がリーグトップクラスの選手へと急成長を遂げることは決して珍しいことではなく、メジャーリーグでは毎年のように新たなスター選手が誕生している。来季もニュースターの誕生に期待したい。
