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殿堂入りの名二塁手が薬物使用者への投票回避を呼びかけ

2017.11.22 18:37 Wednesday

 日本時間11月22日、殿堂入りの名二塁手であり、現在はアメリカ野球殿堂の副理事長を務めているジョー・モーガンが殿堂入りの投票権を持つ記者全員に対して薬物使用者または薬物使用疑惑のある者に投票しないように呼びかけるメールを送ったことが明らかになった。

 モーガンは「ビッグ・レッド・マシン」として恐れられた黄金期のレッズを支えた名二塁手であり、22年間にわたるキャリアで通算2649試合に出場して2517安打、打率.271、268本塁打、1133打点、689盗塁、OPS.819をマーク。1975年から2年連続でMVPに輝いたほか、5度のゴールドグラブ受賞、10度のオールスター・ゲーム選出という輝かしい実績を誇り、1990年に有資格初年度で殿堂入りを果たした(得票率81.8%)。そのモーガンが記者に送ったメールの中で「我々は薬物使用者が殿堂入りする日が決してやってこないことを望んでいる。彼らは不正を働いたんだ。薬物使用者は殿堂に入るべきではない」と主張したのだ。

 これは主にロジャー・クレメンスとバリー・ボンズの2人に対して向けられたメッセージであるとの見方が強い。両者とも抜群の実績を残しているものの、薬物を使用していたことが確実視されており、これまでの5度の投票では殿堂入りを果たすことができていない。しかし、前回の投票ではクレメンスが得票率54.1%、ボンズが同53.8%と初めて50%のラインを突破。50%超えは「殿堂入りに相応しい選手」として認められたことのサインであると言われており、両者は残り5度のチャンスのうちに殿堂入りを果たすことが有力視されている。今回のタイミングでモーガンが彼らへの投票回避を呼びかけたのは、クレメンスとボンズの殿堂入りが現実味を帯びつつあることに対する危機感の表れだろう。

 すでに殿堂入りしている選手全員が薬物を使用していなかったという保証はどこにもなく、今回のモーガンの呼びかけに対しては疑問を投げかける声も多い。クレメンス、ボンズ以外にも薬物使用者が多数いたなかで抜群の成績を残していたのだから殿堂入りに値する、という考え方も間違っていないはずだ。アメリカ野球殿堂の副理事長という立場にいるモーガンによる呼びかけだけに、かなりの影響力を持つものと見られるが、あくまでも最終的に判断するのは投票権を持つ記者自身。彼らがどのような判断を下し、どのような投票結果が出るのか。投票結果は日本時間1月25日に発表される予定となっている。


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