FA市場の動きに影響を与えるトレード市場の状況
2017.12.22 11:05 Friday
大谷翔平(エンゼルス)とジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)の動向が注目された今オフ。両者の争奪戦が決着し、フリーエージェント市場にも少しずつ動きが出始めてきた。しかし、大物FA選手の大半がまだ市場に残っている。これにはトレード市場の状況が大きく関係しているようだ。
カルロス・サンタナ(フィリーズ)やザック・コザート(レッズ)のように、有力FA選手のなかにも契約先を決めた選手が現れつつあるものの、ダルビッシュ有、ジェイク・アリエタ、エリック・ホズマー、J.D.マルティネスら大物FA選手はまだ市場に残ったまま。昨日、レイズの看板選手であるエバン・ロンゴリアがジャイアンツへトレードされたばかりだが、トレード市場に有力選手が多いことがフリーエージェント市場の動きを遅らせる要因となっている。
たとえば、ロンゴリアを放出したばかりのレイズはアレックス・コロメイ、ジェイク・オドリッジ、クリス・アーチャーらにもトレードの噂が絶えない。エリック・ネアンダーGMは「これ(=ロンゴリア放出)は間違いなく今オフの我々の最も大きなトランザクションだが、冬はまだまだ長い」と今後も大きな動きがあることを示唆している。
フリーエージェント市場では選手が希望する契約条件を用意できれば、高確率でその選手を獲得することができる。一方、トレード市場では有望株の放出という痛みは伴うものの、フリーエージェント市場の有力選手よりもお買い得な選手を獲得可能だ。各球団はフリーエージェント市場に残っている選手とトレード市場で獲得可能な選手を天秤にかけながら戦力補強を進めているため、トレード市場に人材が豊富な今オフはどうしてもフリーエージェント市場の動きが遅くなってしまう。
レイズがコロメイを放出する可能性があるため、ウェイド・デービスやグレッグ・ホランドの契約が決まらない。マニー・マチャド(オリオールズ)やジョシュ・ドナルドソン(ブルージェイズ)が放出される可能性があるため、マイク・ムスターカスの契約は後回しになる。ゲリット・コール(パイレーツ)やパトリック・コービン(ダイヤモンドバックス)がトレード市場にいるため、ダルビッシュやアリエタの契約もなかなか決まらないし、各球団がクリスチャン・イェリッチ(マーリンズ)の動向を見守っているおかげでロレンゾ・ケインやジェイ・ブルースにも大きな動きがない。
しかし、選手側も球団側も、いつまでも様子を見ているというわけにはいかない。近いうちに両市場が大きく動き出すタイミングが必ず訪れるはずだ。来季の戦力図が見え始めるのは、両市場が動き出し、その動きが落ち着いてからということになりそうだ。
