「史上最高のDH」は殿堂入りできるのか 9度目の挑戦へ
2017.12.25 18:30 Monday
現在、メジャーリーグでそのシーズンにベストのパフォーマンスを見せた指名打者に贈られる賞は「エドガー・マルティネス賞」と呼ばれている。これはマリナーズ一筋で18年間活躍したエドガー・マルティネスの功績を称えて2004年に「最優秀指名打者賞」から改称されたものだ。その「史上最高のDH」が9度目の殿堂入りチャレンジを迎えている。
まずは簡単にエドガーのキャリアを振り返ってみよう。1982年12月にマリナーズと契約し、1987年9月に三塁手としてメジャー昇格。メジャー4年目の1990年には正三塁手に定着し、打率.302、11本塁打、OPS.830をマークした。1992年には打率.343で首位打者に輝き、オールスター・ゲーム初選出、シルバースラッガー初受賞など充実のシーズンを過ごしたが、1993年と1994年は故障により長期離脱。これをきっかけに「史上最高のDH」へ向かうキャリアが始まった。1995年には打率.356で2度目の首位打者に輝き、ヤンキースとの地区シリーズでは球団史に残る「ザ・ダブル」を放つなど、打率.571の大暴れ。2000年には37歳ながら打率.324、37本塁打、145打点、OPS1.002の大活躍を見せ、最後の打撃タイトルとなる打点王を獲得した。
通算成績は2247安打、514二塁打、309本塁打、打率.312、出塁率.418、長打率.515、OPS.933。首位打者2回、打点王1回、シルバースラッガー賞5回、オールスター・ゲーム選出7回という輝かしい実績を誇り、現役ラストイヤーの2004年にロベルト・クレメンテ賞を受賞したほか、今年8月には現役時代に一貫して背負った「11」が球団史上2人目の永久欠番となった(全球団共通のジャッキー・ロビンソンは除く)。
通算8000打席以上の選手のうち、打率.310、出塁率.410、長打率.510を全てクリアしている選手はマルティネスを含めて11人しかいない。このうち、殿堂入りを果たしていないのは薬物問題により得票率が伸びないマニー・ラミレス(前回23.8%)と2019年から投票対象者となる予定のトッド・ヘルトンだけだ。全盛期をほぼDH専門で過ごし、守備での貢献がほとんどないエドガーの殿堂入りを否定する識者もいる。しかし、打撃の完成度が球史に残るレベルであったことは間違いなく、それが評価されていることは前回の得票率(58.6%)にも表れている。
エドガーにとっては今回の投票が9度目の殿堂入りチャレンジ。現時点で明らかになっている103票のうち、エドガーは83票を集め、暫定の得票率は80.6%となっている(殿堂入りラインは得票率75%)。この水準を最後まで維持できるかどうかは不透明だが、指名打者を一つのポジションへと押し上げたエドガーの功績を認める投票者が増えているのは紛れもない事実。今回でなくとも、ラストチャレンジとなる次回の投票で殿堂入りを果たす確率は極めて高いと判断していいのではないだろうか。
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