「防御率0.00の男」・オルソン 好投の秘訣を探る
2018.1.15 16:30 Monday
1シーズンで1000人以上の選手がプレイするメジャーリーグでは、ほとんど注目されずに好成績を残した選手も少なからず存在する。インディアンスのリリーフ左腕、マット・オルソンは昨季30試合に登板して20イニングを投げ、防御率0.00をマークした。オルソンの好投の秘訣を探ってみる。
まずはオルソンの紹介から始めよう。2013年のドラフトでマリナーズから7巡目(全体207位)指名を受けてプロ入りしたオルソンは、2015年にメジャーデビュー。11試合に登板して1勝1敗、防御率5.40をマークした。しかし、同年12月にマリナーズからDFAとなりドジャースへトレードされると、翌2016年1月にはヤンキースへ再トレード。同年6月にヤンキースからDFAとなり、ウエーバーでロイヤルズへ移籍するも、同年7月にロイヤルズから再びDFAとなってウエーバーでインディアンスに加入した。ところが、同年8月にはインディアンスからDFAとなり、40人枠を外れてAAA級へ降格。この年はヤンキースで1試合に登板しただけだった(防御率6.75)。インディアンス傘下のAAA級でプレイを続けていたオルソンは、昨年7月におよそ1年ぶりのメジャー昇格。そこから30試合に登板し、防御率0.00という快挙を成し遂げた。
過去にメジャーで防御率0.00をマークした投手のうち、オルソンの30試合は最多、20イニングは2番目の数字。投球回については1908年にフィリーズのアール・ムーアが26イニングで防御率0.00をマークしているが、登板試合数は1994年のエリック・ガンダーソン(メッツ)と2008年のマイク・ヒンクリー(ナショナルズ)の14試合が最多であり、オルソンの数字が群を抜いていることがわかる。
オルソンの好投には、テリー・フランコーナ監督による適切な起用が大きく寄与している。オルソンは30試合のうち18試合で1イニング未満。うち10試合は打者1人と対戦しただけだった。しかも、54.5%は左打者との対戦であり、これは左腕で5番目の数字。フランコーナによる徹底的なワンポイント起用がオルソンの好投を生んだと言っても過言ではないだろう。
また、カーブを効果的に使えていたことも大きい。オルソンのフォーシームは平均89マイル程度に過ぎず、全投球の40%以上をカーブが占めている。カーブの使用割合はメジャー6位の数字であり、被打率.167としっかり機能していた。また、「バレル」に該当する打球を一度も打たれないなど、強い打球をあまり打たれなかったこともデータからは読み取れる。自身の特徴をしっかり把握し、それを生かすピッチングを心掛けたことが防御率0.00に繋がったと言えそうだ。
今季のインディアンスは強力ブルペンからブライアン・ショウ(ロッキーズ)ら数名が抜けた。今季も防御率0.00をキープすることはおそらく不可能だが、オルソンが昨季以上に重要な役割を担うことは間違いなさそうだ。
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