強打者により多くの打席を MLBの最新トレンド
2018.2.2 17:30 Friday
球界では伝統的に足の速い選手や小技の上手い選手をラインナップの1番や2番に起用することが多かった。しかし、近年のメジャーリーグではその傾向に変化が見られる。「強打者を上位で起用し、より多くの打席を与えること」が最新のトレンドとなっているようだ。
300打席以上に出場した野手のうち、最も「wRC+」の値が大きい選手を「チーム内で最高の打者」と定義したとき、1977年は「最高の打者」の打順は1~4番が72%、5~8番が28%という内訳になっていた。しかし、1~4番の割合は年々上昇し、昨季は1~4番が87%、5~8番が13%と、この40年間で実に15%も上昇。昨季の「最高の打者」で5~8番で出場した割合が60%を超えていたのはヨンダー・アロンゾ(アスレチックス)だけだった。
このように、近年のメジャーリーグでは強打者を打線の上位に起用する傾向が顕著になっている。特に「最高の打者」が2番に起用されるケースが増えており、昨季ではジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)、トミー・ファム(カージナルス)、ジョシュ・ドナルドソン(ブルージェイズ)、マイク・トラウト(エンゼルス)が2番打者として70試合以上に先発出場した。2014~2017年の4年間では、1番打者&2番打者の平均OPS.747がメジャーリーグ全体の平均OPS.728を大きく上回り、1番や2番は非力な選手が務める打順ではなくなっているのである。
チャーリー・ブラックモン(ロッキーズ)、ブライアン・ドージャー(ツインズ)、ジョージ・スプリンガー(アストロズ)のように中軸クラスの打力を持った選手がリードオフマンを務めるケースも増え、「1番打者=俊足の選手」といったイメージも崩れつつある。もちろん、ビリー・ハミルトン(レッズ)のように伝統的な傾向に近い1番打者も存在するが、近年のトレンドを見る限りでは、今後も強打者を打線の上位で起用していく流れは加速していきそうだ。「俊足の1番打者」や「小技を使える2番打者」といった伝統的なイメージは、もはや過去のものとなりつつあるようだ。
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