エンゼルスの6人制ローテーションは実現可能なのか
2018.2.23 14:30 Friday
大谷翔平の加入により、今季は6人制の先発ローテーションを採用する予定のエンゼルス。これはエンゼルスが大谷の二刀流実現をサポートするための方策の一つだが、6人制ローテーションの実現に向けては課題も多い。本当にシーズンを通して6人制ローテーションを維持することは可能なのだろうか。
エンゼルスが6人制ローテーションを採用する理由しては以下の3つが挙げられる。1つ目は今オフの補強の目玉である大谷が、北海道日本ハム時代に十分な登板間隔を設けて先発のマウンドに上がっていたということだ。なるべく北海道日本ハム時代と変わらない環境を用意し、メジャーへの適応をスムーズに進めようという狙いがあることは想像に難くない。2つ目はチーム内に絶対的エースと呼べる存在がいないことだ。6人制ローテーションを採用するとなると、当然ながら各投手が先発する機会は5人制ローテーションに比べて少なくなってしまう。絶対的エースがいないことが6人制ローテーションの採用を容易くしているとも言える。3つ目はほぼ同等のクオリティの先発投手を多数抱えていることだ。これにより、6人制ローテーションを採用した場合でも、先発ローテーションの質を落とさずに戦うことができるのである。
現時点でエンゼルスの先発ローテーションの顔ぶれを予想すると、大谷とギャレット・リチャーズが1・2番手に入り、アンドリュー・ヒーニー、タイラー・スキャッグス、マット・シューメイカーの3人がそれに続く。6番手はニック・トロピアーノ、JCラミレス、パーカー・ブリッドウェルらの争いになるだろう。
各投手とも2ケタ勝利を挙げることができるだけの実力を有しているが、大谷はメジャーでの実績がなく、リチャーズは2年連続で6試合の登板のみ。ヒーニーは直近2年で27回2/3しか投げていないし、スキャッグスとシューメイカーも昨季の投球回数は100イニングに満たない。トロピアーノは右肘の故障で昨季を全休し、ラミレスは右肘のコンディションに不安を抱え、ブリッドウェルもメジャーでの実績は昨季の1シーズンのみという状況。要するに、フルシーズンの活躍を計算できる先発投手は皆無であり、シーズンを通して質の高い先発投手を6人用意できるかという点は大いに疑問である。また、先発ローテーションを1枠増やすということは、ブルペンないし控え野手の枠が1つ減ることを意味し、選手起用のフレキシビリティも失われる可能性が高い。
さらに、エンゼルスは6人制ローテーションの採用により、コンディションに不安を抱える選手が多い先発投手陣の負担を軽減することを狙っているようだが、登板間隔が1日長くなることがパフォーマンスの向上につながる保証はないと指摘する識者もいる。現時点では「大谷の二刀流を容易にする」という点以外に目立ったメリットが見当たらない6人制ローテーションだが、6人制ローテーションの導入は吉と出るのか凶と出るのか。その成否はシーズンの戦いが進むにつれて明らかになっていくことだろう。
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