English Español 韓国語

特別補佐就任のイチロー 異例の生涯契約について考える

2018.5.4 23:30 Friday

 日本時間5月4日、今季マリナーズ復帰を果たしたイチローが今季の残り試合に出場せず、特別補佐として球団に帯同し続けることが発表された。「50歳現役」を目標に掲げるイチローと、イチローの存在を必要としているマリナーズ。異例ともいえる今回の措置は、いわゆる「WIN-WIN」の関係となっているように見える。

 今回の措置に関して、マリナーズのジェリー・ディポートGMが明確にしたのは「来季以降イチローが選手としてプレイする可能性を排除するものではない」ということだ。イチローは今季、自分がチームに最も貢献できる方法として今回の措置を受け入れた。マリナーズはイチローの存在がチームに好影響を与えていることを高く評価し、単純に戦力外とするのではなく、球団史に残る功労者に対して最大限の敬意を表し、特別補佐というポジションを用意した。今季47打席で打率.205、OPS.460に終わったイチローだが、数字に表れない部分での貢献を最大限に評価された結果が、異例ともいえる今回の措置につながったのだろう。

 言い方は悪いかもしれないが、昨季終了後にマーリンズからフリーエージェントとなったイチローと契約してくれるチームは古巣のマリナーズしかなかった。今季さらに成績を落としているイチローを積極的に欲しがるチームがあるとは考えにくく、イチローにとってはマリナーズに残留することが現役を続行するために一番の近道だろう。来春には日本での開幕2連戦が予定されており、そこでは特別にロースター枠が28人に拡大される。イチローが選手として東京ドームのグラウンドに立つ可能性はゼロではないはずだ。

 開幕30試合で18勝12敗の好スタートを切ったマリナーズは、チーム好調の要因の一つがイチローの存在であると考えている。若手選手のみならず、主力選手やベテラン選手も、イチローからアドバイスを得るため、イチローから何かを学ぶため、イチローから何かを吸収するためにグラウンドの内外でイチローのもとに集まるという。残念ながら今後イチローはベンチには入れないようだが、試合前の打撃練習やミーティングにはこれまで同様に参加し、試合中にはビデオルームやクラブハウスでチームをサポートすることになる。イチローは自身のルーキーイヤーである2001年以来17年ぶりのポストシーズン進出を目指すチームに、今後も好影響を与え続けることだろう。

 「チームの助けになるのなら」と今回の措置を受け入れたイチロー。「ここで野球人生を終えてほしい」と願うマリナーズ。異例ともいえる今回の措置は、両者にとって必ずやハッピーな結末を迎えるはずだ。少なくとも今は、そうであると信じたい。

spotvnow