【データで見える最強選手⑪】リーグで最も多くの本塁打を放つ男は、MLBで最も打たれない男だった!
2023.8.22 13:48 Tuesday
現代のベースボールを語るうえで欠かせないのがデータ。膨大なデータを使えば、あらゆる事実が見えてくる。現在、リーグで最も多い43本の本塁打を放っている大谷翔平は、MLBで最も打たれない男だった。その圧巻のピッチングをデータで見てみよう。
勝利と奪三振、そして防御率が投手の三冠だが、意外と注目されないのが被打率。打たれなければ防御率につながるが、打たれても失点にならなければ防御率には影響しない。「点を取られない」ではなく「打たれない」男が、エンゼルスの大谷翔平だ。
昨季、史上初めて規定打席と規定投球回(=チームの試合数以上の投球回)を同時に達成した大谷。投手成績はリーグ4位タイの15勝を挙げ、防御率2.33もリーグ4位、そして被打率.203は6位だった。そして今季、規定投球回に到達している投手のなかで、被打率.185はリーグでは唯一の1割台で、メジャー全体でも堂々1位となっている。
その飛躍の要因の1つがスイーパーだ。昨季の投球割合では3.3%だったスイーパーを今季は35.1%と決め球にし、打者を翻弄している。
大谷の投球割合を紐解くと、平均球速がメジャー3位の96.9マイル(約155.9キロ)を誇る4シームが32.8%に対し、球速83.7マイル(約134.7キロ)のスイーパーは35.1%となっている。約10キロの球速差でタイミングを外すだけでなく、驚くべきはその変化量だ。大谷のスイーパーの上下の変化差は35.8インチ(約90.9センチ)でこれはスイーパーを投じる投手のなかでは7位、そして、左右の変化差は16.0インチ(約40.6センチ)で堂々の1位を記録しており、いかに優れた球であるかがわかる。
最後に、日本時間5月28日のマーリンズ戦で記録した10奪三振の映像をご覧いただきたい。奪った三振のうち7つはスイーパーを決め球にしている。このような圧巻のシーンを次の登板でも見せてくれるか。打席にマウンド、「SHOW TIME」はいつも見どころ満載だ。