【オールスター名場面集④】ファンの思いがMLBのルールまでも変えた
2024.7.8 19:01 Monday
2021年のオールスター・ゲーム(ASG)にてファン投票、指名打者(DH)部門でトップ選出となった当時エンゼルスの大谷翔平。ルールでは指名打者で出場し、投手で登板するとDHは解除される。そこでMLBはDHが解除されないルール変更を行った。
メジャー4年目の大谷は、前半戦は投手として4勝1敗、打者としては打率.279、70打点、両リーグトップの本塁打33本を記録し、ファン投票DH部門トップでスタメン選出を決めた。選手間投票でも、ア・リーグ先発投手部門5枠の5番目に入ると、ファンが見たいのは投打での「二刀流」。その思いが届き、MLBはルールを変更して大谷のASG史上初の「二刀流」を実現させた。
コロラド州デンバーのロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドで行われた第91回オールスター・ゲーム。1回表、「1番・DH」でナ・リーグ先発のマックス・シャーザー(当時ナショナルズ、現レンジャーズ)の2球目のカッターを打ち、セカンドゴロに。そしてその裏、大谷はア・リーグの先発マウンドに立った。日本人投手では、1995年の野茂英雄以来、26年ぶり2人目の先発登板となり、ナ・リーグの強打者たちを3人で打ち取った。
1番のフェルナンド・タティス Jr.(パドレス)をレフトフライ、マックス・マンシー(ドジャース)をセカンドゴロ、そしてノーラン・アレナド(カージナルス)をショートゴロに打ち取り、アレナドの4球目には100.2マイル(約161.3キロ)を計測する圧巻のピッチングを披露した。
2回表にマーカス・セミエン(当時ブルージェイズ、現レンジャーズ)のタイムリーでア・リーグが先制し、勝ち投手の権利を持った大谷。3回の第2打席では、コービン・バーンズ(ブリュワーズ、現オリオールズ)の初球をとらえるも一塁ゴロ。現チームメイトのフレディ・フリーマン(当時ブレーブス)がさばき、打席では無安打に終わったが、チームはリードを保ったまま5対2で勝利し、大谷が前回(2019年。2020年はCOVID-19の影響で中止)の田中将大(当時ヤンキース)に続き、日本人2人目の勝利投手となった。
ASGの歴史に名を刻んだ大谷。今年は4年連続でファン投票指名打者部門トップとなったが、4年連続で指名打者でとしてスタメン出場するのはASG史上初となる。日本人では今回、大谷に続いてカブスの今永昇太の出場も決定したが、2人の日本選手だけでなく、現在のMLBを代表する打者、投手たちがどのようなプレーを見せてくれるのか。1週間後の16日(日本時間17日)にテキサス州アーリントンで激突する。