最後までもつれたホームラン・ダービーをラウンドごとに振り返る
2024.7.16 12:00 Tuesday
今年のホームラン・ダービーは、スター選手たちが勢揃いしただけでなく、若きスーパースターとベテランスラッガーが入り混じる魅力的な顔ぶれとなり、さらに新ルールのもとで行われたことも話題となりました。
テキサスの夜空を次々と豪快な一発が舞う中、意外な優勝者となったのはドジャースのスラッガー、テオスカー・ヘルナンデス。
決勝ラウンドでロイヤルズの若きスター、ボビー・ウィットJr.との白熱の一騎打ちを制し、自身初出場で初優勝、そしてドジャース史上初のホームラン・ダービー王者に輝きました。
以下に、大会の決勝ラウンドの詳細を紹介します。
決勝戦
(第4シード)テオスカー・ヘルナンデスが(第3シード)ボビー・ウィットJr.を下して優勝
ウィットのホームラン数:13本
1回戦と準決勝を合わせて37本の本塁打を放ってきたウィットでしたが、決勝では13本にとどまり、ヘルナンデスに1本差で惜敗。
ボーナスタイム最後のスイングでは406フィートの大飛球をセンターの最深部に打ち込むも、フェンス直撃。
もしこれがスタンドを越えていれば、両者はスイングオフ(延長対決)に突入していたところでした。
ウィットの決勝戦データ
- 最長飛距離:457フィート(約139メートル)
- 最速打球速度:110マイル(約177キロ)
- 平均飛距離:409フィート(約124.6メートル)
- 平均打球速度:102.7マイル(約165キロ)
次世代のスターとベテランの激突に、スタジアムは大いに沸きました。
テオスカー・ヘルナンデスのホームラン数:14本(決勝)
タイムアウト中に交わされたウラディミール・ゲレーロJr.との会話が、ヘルナンデスの決勝でのパフォーマンスに大きな影響を与えました。
タイムアウト直後には、わずか6スイング中5本のホームランを放つという爆発的なラッシュを披露。
この決勝で彼が放った14本のホームランは、平均飛距離430フィート(約131メートル)を記録し、そのパワーはまさに圧巻。
ボーナスタイム中には449フィートの特大弾を2本、さらに本戦終了間際には最長454フィート(約138メートル)の一発も見せました。
ヘルナンデスの決勝戦データ
- 最長飛距離:454フィート(約138メートル)
- 最速打球速度:111マイル(約179キロ)
- 平均飛距離:430フィート(約131メートル)
- 平均打球速度:106.5マイル(約171キロ)
このパフォーマンスによって、ヘルナンデスはドジャース史上初のホームラン・ダービー王者に輝きました。初出場での快挙となった今回の優勝は、まさに記憶に残る一夜となりました。
準決勝
(第4シード)テオスカー・ヘルナンデスが(第1シード)アレック・ボームをスイングオフで撃破
両者ともに準決勝で14本のホームランを放ち、今大会初のスイングオフ(延長対決)にもつれ込みました。
ヘルナンデスは、3スイング中のラスト2スイングで連続ホームランを記録。最後の一発はこのラウンド最長の456フィート(約139メートル)をマークし、勝負を決めました。一方のボームは、2スイング目で1本を放つも、最後のスイングでフェンスを越えられず敗退。こうしてヘルナンデスが決勝進出を決め、劇的な勝利を収めました。
【第1シード】アレック・ボーム ホームラン数:14本(準決勝)
ボームは1回戦で21本、準決勝でも14本のホームランを放ち、テオスカー・ヘルナンデスと同数でスイングオフ(延長戦)へ突入。今大会において、出場選手中最少のシーズン本塁打数(11本)でのエントリーだっただけに、この快進撃は大会最大級のサプライズとなりました。
- 最長飛距離:431フィート(約131.4メートル)
- 最速打球速度:103.0マイル(約165.7km/h)
- 平均飛距離:402フィート(約122.5メートル)
- 平均打球速度:98.0マイル(約157.7km/h)
【第4シード】テオスカー・ヘルナンデス ホームラン数:14本(準決勝)→ スイングオフ勝利で決勝進出
1回戦で19本塁打を放ったヘルナンデスは、準決勝でも14本を記録。特にタイムアウト後の後半で10本を叩き出し、9球中7本ホームランという圧巻のスパートを披露。得意の左中間方向を中心に放物線を描き、ボーナスタイムでも1本を追加してこのラウンドを締めました。
- 最長飛距離:454フィート(約138.4メートル)
- 最速打球速度:109マイル(約175.4km/h)
- 平均飛距離:423フィート(約128.9メートル)
- 平均打球速度:105.5マイル(約169.8km/h)
(第3シード)ボビー・ウィットJr.が(第2シード)のホセ・ラミレスを撃破
【第3シード】ボビー・ウィットJr. ホームラン数:17本(準決勝)
ウィットは残り1分40秒でタイムアウトを取りリズムを掴むと、そこから11本のホームランを量産。
最終的には最後の10球中7本をスタンドへ。ボーナスタイムでは得点できなかったものの、計17本で第2シードのホセ・ラミレスを撃破しました。
- 最長飛距離:454フィート(約138.4メートル)
- 最速打球速度:108マイル(約173.8km/h)
- 平均飛距離:407フィート(約124.1メートル)
- 平均打球速度:102.6マイル(約165.1km/h)
【第2シード】ホセ・ラミレス ホームラン数:12本(準決勝)
ラミレスは、1回戦で21本塁打を放つ素晴らしいパフォーマンスを見せたものの、準決勝ではその勢いを維持できませんでした。規定時間内では11本、ボーナスタイムで1本を追加し、合計12本で準決勝敗退。1回戦では最長でも4スイング連続でホームランなしという安定したスイングを見せていましたが、準決勝では7スイング連続の空振り(ホームランなし)、さらに別の場面でも6スイング連続で不発となるなど、リズムを崩してしまいました。
- 最長飛距離:407フィート(約124.0メートル)
- 最速打球速度:103.0マイル(約165.7km/h)
- 平均飛距離:385フィート(約117.3メートル)
- 平均打球速度:97.6マイル(約157.1km/h)
ラウンド1
アレック・ボーム ホームラン数:21本(→準決勝進出)
ボームは序盤こそスロースタートでしたが、ラウンド終盤にかけて見事なリズムに乗り、左翼〜左中間方向に連発。フィリーズの三塁手は、ボーナスタイム直前の12スイング中10本がホームランという猛攻を見せ、最大で5スイング連続本塁打も記録しました。開始1分間ではわずか1本と苦しんだものの、その後は見事に修正し、自身のパワースイングを発揮。規定時間内で20本、さらにボーナスタイムで1本を追加して、合計21本でラウンド突破を果たしました。
- 最長飛距離:445フィート(約135.6メートル)
- 最速打球速度:105マイル(約169km/h)
- 平均飛距離:407フィート(約124.1メートル)
- 平均打球速度:100.7マイル(約162.1km/h)
ボビー・ウィットJr. ホームラン数:20本(→準決勝進出)
初のオールスター出場、そしてホームラン・ダービーも今回が初挑戦となったウィットJr.は、序盤に苦しみながらも終盤にかけて怒涛の追い上げを見せる展開となりました。最初のタイムアウトまでにホームランはわずか5本でしたが、そこから立て直し、規定時間内で合計16本を放ちます。特にラスト9スイング中6本をスタンドに運ぶなど、ラウンド後半は圧巻のパフォーマンスでした。さらにボーナスタイムで4本を追加し、最終的に20本でラウンドを突破。地元テキサス出身のウィットにとって、観客の声援も大きな後押しとなりました。
- 最長飛距離:442フィート(約134.7メートル)
- 最速打球速度:111マイル(約178.6km/h)
- 平均飛距離:409フィート(約124.7メートル)
- 平均打球速度:105.0マイル(約169.0km/h)
アドリス・ガルシア ホームラン数:18本(→敗退)
2023年ポストシーズン同様、ガルシアは突然スイッチが入ったように爆発。ラウンド中盤のタイムアウト後、わずか数スイングで勢いに乗り、11球中9本をスタンドインという驚異の猛攻を見せました。このホットゾーンにより規定時間内で18本のホームランを記録。しかし、ボーナスタイムでは3スイングすべてでホームランが出ず、他選手に及ばずラウンド敗退となりました。
- 最長飛距離:435フィート(約132.6メートル)
- 最速打球速度:106マイル(約170.6km/h)
- 平均飛距離:403フィート(約122.8メートル)
- 平均打球速度:100.7マイル(約162.1km/h)
テオスカー・ヘルナンデス ホームラン数:19本(→準決勝進出)
2度目のオールスター出場で、ホームラン・ダービー初挑戦となったヘルナンデスは、開始直後から絶好調。開始30秒以内に最初の5スイング中4本をスタンドに運ぶなど、圧巻のスタートを切りました。中盤はややペースが落ちたものの、ボーナスタイムで怒涛の6本塁打を放ち、合計19本でラウンドを突破。さらに驚くべきは、440フィート超えの特大弾を6本記録し、その中でも**最長466フィート(約142メートル)**という超特大アーチも炸裂させました。
- 最長飛距離:466フィート(約142メートル)
- 最速打球速度:111マイル(約178.6km/h)
- 平均飛距離:430フィート(約131.1メートル)
- 平均打球速度:105.1マイル(約169.1km/h)
ピート・アロンソ ホームラン数:12本(→敗退)
2019年・2021年のホームラン・ダービー王者で、史上3度目の優勝を狙っていた“ポーラーベア” ピート・アロンソでしたが、今回はトップ4に届かず1回戦敗退という結果に終わりました。序盤から思うようにリズムがつかめず、残り1分37秒でタイムアウトを取る時点で本塁打はわずか5本。その後も調子を取り戻せず、規定時間内で計9本。ボーナスタイムで3本を追加するも、合計12本では足りず、決勝ラウンド進出ならず。
- 最長飛距離:446フィート(約135.9メートル)
- 最速打球速度:109マイル(約175.4km/h)
- 平均飛距離:417フィート(約127.1メートル)
- 平均打球速度:105.5マイル(約169.8km/h)
ホセ・ラミレス ホームラン数:21本(→準決勝進出)
2022年のダービー(ドジャー・スタジアム開催)では右打席で17本塁打を記録したラミレス。今回は左打席からの挑戦となりましたが、その決断は見事に的中。1回戦では安定感あるスイングを見せ、ほとんど失速することなく、380〜420フィートの本塁打を連発。タイムアウト前に10本、ボーナスタイムで6本を加え、合計21本で準決勝へ進出しました。
- 最長飛距離:419フィート(約127.7メートル)
- 最速打球速度:107.0マイル(約172.2km/h)
- 平均飛距離:398フィート(約121.3メートル)
- 平均打球速度:101.2マイル(約162.9km/h)
マーセル・オズナ ホームラン数:16本(→敗退)
オズナは序盤に4本のみと苦しむも、残り1分40秒でタイムアウトを取った後に急加速。8球中6本塁打という猛ラッシュも見せ、規定時間内で14本、ボーナスタイムで2本を追加しました。特筆すべきは、全参加者中トップの飛距離で、最大473フィート(約144.2メートル)を記録。平均飛距離も426フィート(約129.8メートル)と群を抜きました。しかし、強打者揃いの今大会では惜しくも準決勝進出ならず。
- 最長飛距離:473フィート(約144.2メートル)
- 最速打球速度:110マイル(約177km/h)
- 平均飛距離:426フィート(約129.8メートル)
- 平均打球速度:105.1マイル(約169.1km/h)
ガナー・ヘンダーソン ホームラン数:11本(→敗退)
今季前半戦でMLB全体3位の28本塁打を放っており、参加者の中では最多本塁打の実績を誇るヘンダーソンでしたが、ダービーでは実力を発揮しきれず。唯一の見せ場は、4スイング連続本塁打の短いホットゾーンのみでした。カスタムバット「スクービー・ドゥー仕様」でも話題を集めましたが、今回は苦戦。とはいえ、今後の再挑戦が期待される逸材です。
- 最長飛距離:438フィート(約133.5メートル)
- 最速打球速度:106.0マイル(約170.6km/h)
- 平均飛距離:414フィート(約126.2メートル)
- 平均打球速度:103.5マイル(約166.5km/h)