【データで紐解くMLB⑧】デラクルーズ、大谷の盗塁を止められるのは誰だ!?
2024.8.16 14:40 Friday
ピッチクロックと牽制球の制限、ベースサイズの拡大などで盗塁が増加しているMLB。捕手にとっては厳しいが、ファンはスリリングな瞬間が楽しめると歓迎している。そんな盗塁の攻防を捕手のデータで紐解いてみた。現在の最強捕手は誰か。
レッズのエリー・デラクルーズが異次元の走塁で盗塁数を重ねているが、現在の盗塁数59に対して失敗は11。やすやすと盗塁を決めているわけではない。そこには捕手のキャッチングから二塁までの送球時間の短縮やアームスピードの向上など、進化がうかがえる。
STATCASTでは「Catcher’s CS Above Average」として、平均的な捕手の予想と比較して、余分に刺した盗塁の数を算出しており、その上位を見れば、最強捕手が見えてくる。
Catcher’s CS Above Average トップ5
1 パトリック・ベイリー(ジャイアンツ)8
2 ウィル・スミス(ドジャース)6
3 フレディ・ファーミン(ロイヤルズ)5
4 コリー・リー(ホワイトソックス)4
4 ルイス・トレンズ(メッツ)4
4 シェイ・ランゲリアーズ(アスレチックス)4
トップのベイリーは二盗機会53に対し、17度阻止しており、盗塁阻止率は32%。投球を受けてから、内野手が二塁で送球を受けるまでの時間(POP TIME)は平均1.98秒に対してメジャー2位の1.85秒、セカンドへの投球の平均腕力(Arm Strength)81.4マイルはメジャー15位を誇っている。
ベイリーに対して、デラクルーズは8月3日(日本時間4日)、大谷翔平も7月22日(同23日)に刺されており、成功はゼロだ。
2位のスミスは二盗機会45に対し、阻止は14回で阻止率31%。POP TIME1.93秒に、Arm Strengthは80.1マイルを示している。
3位のファーミンは盗塁機会16と少ないが、9回阻止し、阻止率は56%。POP TIMEは1.88秒で、Arm Strengthは82.1マイルと高い数値を示すため、走者はあまり挑まないのかもしれない。
以下、リーの阻止率は35%(43-15)、POP TIMEは1.85秒、Arm Strengthは84.8マイル。トレンズの阻止率は67%(12-8)、POP TIMEは1.86秒、Arm Strengthは82.0マイル。ランゲリアーズの阻止率は27%(52-14)、POP TIMEは1.90秒、Arm Strengthは83.9マイルである。
フィリーズのJ・T・リアルミュートはPOP TIMEがメジャートップの1.84秒だが、阻止率は19%(29-7)。Arm Strengthがトップの85.3マイルを誇るマーリンズのクリスチャン・ベサンコートの阻止率は33%(21-7)と高いが、Catcher’s CS Above Averageは3止まりだ。
しかし、数値が低いからといって容易に塁を盗めるわけではなく、Catcher’s CS Above Averageが最下位の数値(-6)を示しているナショナルズのキーバート・ルイーズは、阻止率11%(56-6)ながら、3月30日(同31日)にデラクルーズを二塁で刺している。
数値では差があるといっても、走者との駆け引きではほとんど差がないといえるかもしれない。シーズンも残り少なくなってきたが、デラクルーズは記録に向けて果敢に攻めてくることが予想されるだけに、スリリングな展開がまだまだ見られるはずだ。