【タイトル候補者たち③盗塁】ナ・リーグは「怪物」が独走もア・リーグは稀に見る混戦状態
2024.9.16 22:48 Monday
牽制球制限やベースの拡大などのルール変更で、2023年からスピード野球の象徴である盗塁が激増。今季もすでにトータル3000盗塁を超え、健脚自慢の選手たちがダイヤモンドを激走。タイトルの行方が注目されている。
7月8日(日本時間9日)に、球団史上最多の前半戦45盗塁に到達したレッズの「怪物」ことエリー・デラクルーズは、シーズン80盗塁のペースで異次元の走塁を披露した。
前半戦をメジャートップの46盗塁で折り返したデラクルーズは、後半戦でペースダウンするも、すでに今季メジャー唯一の60盗塁超えとなる64盗塁で自身初のタイトル獲得をほぼ確実なものにしている。
リーグ2位は48盗塁の大谷翔平(ドジャース)。9月15日(同16日)現在、リーグトップの後半戦25盗塁で追撃するが、前半戦の差を埋めることは難しいだろう。しかし、大谷の盗塁で注目されるのが成功率の高さだ。デラクルーズの成功率81.0%も高いが、大谷は9月11日(同12日)までに25回連続で盗塁を成功させ、その成功率は92.3%の高水準。これは40盗塁以上では歴代4位。1位は95.7%を2006年にマークしたイチローだ。イチローはシーズン45回連続成功のリーグ記録も持っている。
片やア・リーグは、わずか5盗塁以内で3選手がひしめく大混戦となっている。
41盗塁でトップに立っているのが、2023年メジャーデビューのホセ・カバイェロ(レイズ)だ。チームは地区4位と低迷するなか、前半戦をリーグ最多の24盗塁で折り返し、そのままトップを維持。盗塁死14はリーグワーストだが、積極的な走塁で初のタイトル獲得を狙う。
1個差の39盗塁で2位につけているのはメジャー12年目のベテラン、ガーディアンズのホセ・ラミレス。ラミレスは後半リーグトップタイの21盗塁で追い上げており、今季35本塁打もマークし、「40-40」にも迫っている。2018年は「39-34」だったラミレスが初のタイトルとともに、大谷に次ぐ史上7人目の偉業にも挑む。
そして、トップと5個差の36盗塁を記録しているのがロイヤルズのマイケル・ガルシアだ。失敗はわずか2で、30盗塁以上では今季メジャー最少。成功率は94.7%を誇る。このまま40盗塁に到達すれば、歴代でも上位に名を刻む堅実な走りでタイトルを狙っている。
さまざまな記録も生まれそうな今季の盗塁王争い。両リーグとも誰が最後に笑うのか。塁上の彼らの一挙手一投足からは、シーズン最後まで目が離せない。