【敗れざる者➀】7年連続リーグ優勝決定シリーズ進出中の常勝チームの早すぎた終焉
2024.10.7 22:10 Monday
ポストシーズン(PS)は地区シリーズに突入。ここまでに4チームがワイルドカード・シリーズ(WCS)で姿を消したが、そのなかにはまさかの敗退チームもあった。PSでは7年連続リーグ優勝決定シリーズ進出中だったアストロズが早くも終焉を迎えた。
エースのジャスティン・バーランダーが右肩の炎症で出遅れると、チームは開幕4連敗でスタートダッシュに失敗。バーランダーは復帰するも6月には首の痛みで2ヶ月半の離脱となり、昨年打点王のカイル・タッカーも右すね骨折で3ヶ月も戦列を離れるなど波に乗れなかったアストロズ。2位に浮上するも一時は首位に10ゲーム差をつけられ、PS進出もほぼ不可能と思われたが、後半戦の快進撃で地区4連覇を達成した。
前半の不振が響き、88勝73敗の勝率.547は、ア・リーグの地区優勝チームで最低。PSは第3シードで、ワイルドカード・シリーズからの出場となった。対するは、2015年から2019年までアストロズを率いて常勝チームを築いた名将AJ・ヒンチが率いるタイガースだ。PS進出は10年ぶり。PSではここまで5連敗中の古豪が中地区3位でワイルドカードを勝ち取った。
ヒューストンで開催されたシリーズ第1戦、タイガースの先発はシーズン18勝(4敗)、防御率2.39、奪三振228で投手三冠を獲得したエースのタリック・スクーバル。6回を投げ、被安打4、無失点、奪三振6に抑えられ、アストロズはPSホーム6連敗。続く第2戦、タイガースはブルペンデーで、小刻みな投手起用を前に、リーグトップの打率を誇るアストロズ打線が沈黙。2対5で敗れてタイガースにスイープを許し、早々にアストロズのPSは終焉となった。
実はタイガースの第2戦の継投は、「ピッチング・カオス」と呼ばれ、シーズン最後の2ヶ月は、投手陣にとってはいつ呼ばれるか分からず、カオス状態になるこの投手起用法で目覚ましい効果をあげてきた。まさにアストロズは、元指揮官の策略にはまってしまったのだ。
就任初年度でアストロズを地区優勝に導いたジョー・エスパーダ監督は「選手たちには、ここまで来たことを誇りに思ってほしい。非常に厳しいシーズンだったが、ポストシーズンに進出できた」と選手をねぎらうとともに「我々は戻ってくる」と宣言。この言葉に選手たちは「大丈夫だと思う。このクラブハウスにはいい選手がたくさんいる」と心はすでに前を向いていた。