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ドジャース対メッツのNLCSを展望 大谷の覚醒が絶対条件に

2024.10.13 19:37 Sunday

 日本時間10月14日から、ナ・リーグ優勝決定シリーズが開幕。第1シード・ドジャースが快進撃を続ける第6シード・メッツを迎え撃つ。大谷翔平、山本由伸、千賀滉大が登場する注目のシリーズを展望していく。

◆先発予定・予想(メッツ対ドジャース)
第1戦 千賀滉大(ブルペンデー) 対 ジャック・フラハティ
第2戦 ショーン・マナイア 対 ウォーカー・ビューラー
移動日
第3戦 ルイス・セベリーノ 対 ブルペンデー
第4戦 ホセ・キンタナ 対 山本由伸
第5戦 千賀(ブルペンデー) 対 フラハティ
移動日
第6戦 マナイア 対 ビューラー
第7戦 キンタナ 対 ブルペンデー

◆ドジャースシーズン/プレーオフ成績(順位は30球団/勝ち残りチーム中)
OPS.781(1位) / .689(3位)
先発防御率4.23(19位) / 6.86(4位)
救援防御率3.53(4位) / 2.22(2位)

◆メッツシーズン/プレーオフ成績(順位は30球団/勝ち残りチーム中)
OPS.734(9位) / .714(1位)
先発防御率3.91(12位) / 2.43(2位)
救援防御率4.03(17位) / 4.01(4位)

 共にナ・リーグのMVP最有力候補である大谷翔平、フランシスコ・リンドーアを擁する強力打線を抱えるドジャースとメッツだが、それ以外の点は対照的だ。メッツは不安定なブルペンを先発投手の奮闘で補い、ドジャースは不安定な先発投手をブルペンの奮闘で補い、それぞれ激戦を制して進出してきた。

 メッツの強みは先発投手だ。プレーオフではマナイアが12回3失点、キンタナが11回1失点の好投でチームを牽引。プレーオフで先発投手が3巡目を前に早めに降板するのは当たり前という風潮もある中、先発投手が3巡目まで投げた回数6は今プレーオフでトップだ。マナイア、キンタナ、そして3番手セベリーノのいずれも剛球を操るエース級というよりは、百戦錬磨のベテランタイプ。しかし、シンカーやチェンジアップ、ブレーキングボール(カーブ、スイーパー)など多様な変化球を駆使して、フィリーズのような強力打線を抑えてきた。

 対するドジャースは、パドレスとの地区シリーズ第4戦でブルペンデーを行ったように、ブルペンが大車輪の働きを見せている。主要なリリーフであるブレイク・トライネン、マイケル・コペック、アレックス・ベシア、エバン・フィリップス、ダニエル・ハドソン、アンソニー・バンダは19.2回を完封。機を逃さないデーブ・ロバーツ監督の柔軟な継投手腕もあり、攻略は至難の業だろう。

 両チームにとっての懸念は何だろうか?

 メッツにとっての懸念はブルペンだ。信頼できるリリーフが限られている上、守護神エドウィン・ディアスもかつてほどの絶対的支配力はない。鍵を握るのは、千賀滉大やデイビッド・ピーターソンのようなジョーカー的起用ができる先発投手。この2人が軸となるであろうブルペンデーで、どれだけのパフォーマンスを発揮できるか。特にプレーオフで6.1回を無失点に抑えているピーターソンは、大谷翔平のようなドジャースの左打者に対するときの切り札ともなるだろう。

 とはいえ、やはりメッツは既存のリリーフの奮起が求められる。地区シリーズ第5戦でタリック・スクーバル(タイガース)がついに攻略されたように、投手というのは対戦回数が重なるごとに打たれるリスクは増すもの。シリーズで2先発こなす可能性が高いリーグ優勝決定シリーズにおいて、先発投手がどちらも3巡目まで好投すると計算するのは酷だ。ましてやキンタナとマナイアは投手三冠を獲得したスクーバルではない。先発を早めに見切ってでも継投に移らないといけない局面は必ず発生する。

 対するドジャースは、左の切り札アレックス・ベシアが故障し、枚数不足の危機に瀕している。地区シリーズでは3登板、被打率1割と完璧だったベシアを欠き、ドジャースのブルペン左腕はバンダのみとなった。地区シリーズにおいて、もともと投手力で大きく水をあけられていたパドレスを上回ることができたのは、そもそも求められるイニング数が多くなかったのも一因。限られたイニング数ならば、十分ブルペンの集中起用で補うことができた。しかし、最大7戦のリーグ優勝決定シリーズでは求められるイニング数は跳ね上がる。ベシアを欠くブルペンでそれを乗り切れるかどうか。

 ただ、ドジャースにとっての光明は、山本由伸の復調だ。山本は地区シリーズ第1戦の炎上から立ち直り、第5戦では5回零封のエースらしい投球を見せた。中5日でローテを回す山本はリーグ優勝決定シリーズでは1先発しかできない可能性が高いが、支配的な先発がいるのは違いを生む。加えてもちろん、地区シリーズでは苦戦したフラハティ、ビューラーも奮起しなければならないだろう。

 そしてそれを打ち崩さなければならない打線の働きも注目だ。

 メッツは上位打線がきっちりと仕事を果たしてきた。リンドーア、ピート・アロンソ、マーク・ビエントス、ブランドン・ニモは、プレーオフで4人合わせてOPS.989、7本塁打と大当たり。さらに左打者でプラトーン要員のジェシー・ウィンカーもOPS1.239と大当たりで、ベシア不在で左腕が足りないドジャースにとっては脅威となる。

 一方、ドジャースはまだまだリーグ最強の打線に火がついていない。特にムーキー・ベッツとテオスカー・ヘルナンデス以外の中軸が機能しているとは言い難い。地区シリーズでは20打数10三振と苦戦した大谷、怪我とも戦うフレディー・フリーマンの復調が求められる。

 総合的に見れば、攻守に状態が良いのはメッツだ。MLB公式サイトの予想でも、メッツのシリーズ突破に58%の予想が集まった。またしても下馬評が低いドジャースには、シーズン中も苦しいチーム状況を払拭してきた強力打線、ひいては大谷翔平の覚醒が必要だ。

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