【敗れざる者④】予想が間違っていることを証明したシーズンだったが、シリーズ最終局面で誤算
2024.10.21 22:40 Monday
2023年は本塁打リーグ最下位、OPSも同12位で、8年ぶりに地区3位だったガーディアンズ。今季も苦戦が予想されていたが、シーズンが始まるとリリーフ陣が奮闘した。打線も奮起し、予想を覆して地区を制覇。地区シリーズ(DS)も順調に勝ち進んだ。
2024年シーズン開幕を前に、データサイト「ベースボール・プロスペクタス」の成績予想システムである「PECOTA」の順位予想では83.4勝78.6敗の地区2位だったガーディアンズ。2023年は地区3位、11年間チームを率いた名将テリー・フランコーナが勇退し、2022年に現役を引退したばかりのスティーブン・ボートが監督に就任するなど、苦戦が予想されていた。
しかし、4月14日(日本時間15日)のヤンキース戦で延長10回にサヨナラ勝ちを決め、地区首位に立つと、そのまま1度も順位を落とすことなく2年ぶりの地区優勝を決めた。
その快進撃の1番の要因は、防御率0.61の圧倒的なピッチングで3年連続セーブ王を獲得した守護神のエマニュエル・クラセを中心としたリリーフ陣の奮闘だ。先発の防御率がメジャー24位の4.40だったのに対し、リリーフの2.57は同1位。先制点を取ったゲームでは、リリーフ陣がリードを守って59勝16敗と勝利の方程式を確立するなど、メジャー最強のリリーフ陣を誇った。
さらに、主砲のホセ・ラミレスとジョシュ・ネイラーの「30発&100打点コンビ」が打線を牽引し、バントや盗塁、犠牲フライなどでも着実に得点を挙げる「ガードボール」スタイルも機能し、ア・リーグではヤンキースの94勝に次ぐ92勝を挙げて地区優勝に輝いた。
タイガースとの地区シリーズ(DS)では、1勝2敗の崖っぷちから再び投打がかみ合い、2連勝で8年ぶりにリーグ優勝決定シリーズ(LCS)に進出。しかし、ヤンキースとのシリーズはリリーフ陣がまさかの誤算。2連敗で迎えた第3戦は、ジョンケンジー・ノエルの同点アーチと10回裏のデービッド・フライのサヨナラ2ランで一矢報いるも、その後も流れを変えることができなかった。
第4戦では、8回に同点に追いつくが、遊撃の名手ブライアン・ロキオのタイムリーエラーもあり、9回にクラセが3安打2失点で敗戦。
そして第5戦、2対2の6回途中からリリーフ陣も踏ん張るが、決勝点を奪えず、延長10回、シーズンでは78試合に登板して防御率1.57だったハンター・ガディスがフアン・ソトに3ラン本塁打を浴び、敗退となった。
シーズンを振り返ってボート監督は「このチームにはまだやるべきことがたくさんある。全体として成し遂げたことを誇りに思い、これをオフシーズンの原動力にしてほしい」と語った。また、シリーズではジャンカルロ・スタントンに対し、一塁が空いている緊迫した状況で2度、申告敬遠を選ばず勝負して被弾した采配が疑問視されたが、ボート監督は「あの状況ではケイド(・スミス)を信頼している」「タナー(・バイビー)は調子が良かった」と、これまで勝利に貢献してきた投手陣への信頼からの采配だったことを語っている。