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【アワード展望③】指名打者はMVPを獲れないという歴史を大谷が変える

2024.11.19 00:16 Tuesday

 2024年のアワード発表も残りわずか。ドジャースの大谷翔平は、今季も数々の賞を受賞したが、最も気になるのが主要4賞の最後に発表されるMVPだ。

 近年のMVPの選考で重要視されているのがWARだ。Wins Above Replacementの略で、代替可能な選手(Replacement)に比べてどれだけその選手が勝利(Wins)を上積み(Above)できたかを示す数値で、投手・野手を問わず比較することができる。

 Baseball Referenceで見る今季のWARのトップは、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)の10.8。全選手で唯一10を超えた。本塁打・打点の二冠に加えて打率は3位と素晴らしい成績を収め、キャプテンとしてチームを地区優勝に導いた功績も考慮すると、2022年以来、自身2度目のMVP受賞は間違いない。

 ジャッジの受賞前後でMVPを獲得したのが、二刀流で活躍した大谷翔平だった。大谷も2021年は8.9、2023年は9.9とWARでもトップで、満票での受賞だった。

 そして、ナ・リーグに移籍した大谷のWAR9.2もリーグトップ。両リーグでMVP受賞となればレッズ(1961年)とオリオールズ(1966年)でMVPに輝いたフランク・ロビンソン以来、史上2人目となる。しかし、ここにきて話題となっているのが、指名打者でMVPは獲得できるかということだ。

 例として、2006年に指名打者で本塁打と打点の二冠を獲得したレッドソックスのデービッド・オルティスもMVP投票では3位どまり。これまで指名打者専門でMVPを受賞した選手はいない。

 その理由の1つが、指名打者は守備につかないため、貢献度が低いとみなされていたからだ。もちろん、WARでは守備の貢献度も加味されており、指名打者はマイナスポイントとなる。2006年のオルティスもWARで見れば5.8のリーグ8位だった。

 今季の大谷のWAR9.2は、ファイナリストに残ったフランシスコ・リンドーア(メッツ・遊撃手)の7.0を大きくリード。打撃だけ(走塁もあるが)で凌駕している。この数値は、今年で大谷は4回目の受賞となった最優秀指名打者賞の別名、エドガー・マルティネス賞のマルティネスが1995年にマークした7.0を上回る指名打者歴代最高のWARとなった。

 大谷の2年連続3度目のMVPは間違いないだろう。これでまた、指名打者初という新たな歴史に名を刻むことになる。そして、すでに2度の満票受賞で歴代最多だが、自身の記録をまた満票で更新するのかも見どころだ。

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