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【データの世界④】-64度から70度まで、134度のあいだで打者と対峙する投手たちの投球角度

2024.11.22 16:01 Friday

 MLBのデータ解析システム「STATCAST」を使って、選手やボールの動きを解析するデータの数々。近年では、最も打球が飛ぶとされる「バレルゾーン」が注目されたが、新指標として「Pitcher Arm Angle Leaderboard」が新たに公開された。

 打球速度が99マイル(約159.3キロ)以上なら、25~31度で放たれる打球が最も飛ぶとされ、各打者の打球角度「バレル」が明らかにされた。そして、新たに公開され投手の投球角度だが、これは理想の角度はなく、各投手が辿り着いた究極の角度である。

 2020年から2024年までの4シーズンにおける、各投手の投球角度が明らかになった。地面から水平のサイドスローを0度として、2024年に左投手で最も高い角度で投球したのが、フィリーズのリリーバー、ホセ・アルバラードだ。

 アルバラードは65度のオーバー・ザ・トップで投球し、その角度は2020年の56度から10度近くも高くなった。高い角度からの平均97.8マイル(約157.4キロ)のシンカーと、奪三振率47.4%の同92.5マイル(約148.9キロ)のカッター、あとはカーブの3球種で打者を打ち取る。

 日本人の左投手では、松井裕樹(パドレス)はメジャーで4番目に高い57度のオーバーハンド、菊池雄星(アストロズ)は42度、今永昇太(カブス)は40度のスリークォーターでメジャーの強打者と対峙する。

 左投手で最も角度が低いのは、ヤンキースのリリーバー、ティム・ヒルの-20度。投球割合68.7%のシンカーは、平均的な左利き投手よりも大きなドロップを誘発し、被本塁打ゼロだった。

 右投手で最も角度が高かったのは、ホワイトソックスのクリス・フレクセンの70度。190センチの高身長から平均91.3マイル(約146.9キロ)のフォーシームを投げおろす。

 日本人の右投手は、ドジャースの山本由伸が46度の高めのスリークォーター。ダルビッシュ有(パドレス)は40度、前田健太(タイガース)は38度。大谷翔平のエンゼルス時代、2023年の投球角度は36度だった。

 最も低い角度で投げた右投手は、77試合に登板して3勝4敗1セーブを挙げたジャイアンツのサブマリン・リリーバー、タイラー・ロジャース。-64度のアンダースローで、投球の63.7%にあたる平均82.3マイル(約132.4キロ)の地を這うようなシンカーでゴロの山を築く。双子の弟テイラーとは姿かたちはそっくりだが、テイラーは左投げでサイドスローに近い29度のスリークォーターで、2023年から兄弟リリーバーとしてジャイアンツで活躍している。

 並みいる強打者と、辿り着いた究極の投球角度のフォームで対峙する投手たち。メジャーならではの個性豊かな好勝負に注目だ。

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