【2025年 殿堂入り候補紹介➀】全米を震撼させた日本の安打製造機 衝撃的だったイチローのメジャー1年目
2024.11.28 13:11 Thursday
2025年度の野球殿堂(HOF)入り投票の新たな対象者14人が発表され、イチローの満票選出が注目されている。しかし、日本プロ野球(NPB)で7年連続首位打者のイチローに対し、メジャー初年度の見方は懐疑的なものだった。
2001年、NPBで7年連続首位打者を獲得したイチローが、日本人野手として初めて海を渡った。しかし、当時の全米の関係者は、日本人がメジャーで毎日プレーできるのかと懐疑的な見方が多く、マリナーズのルー・ピネラ監督でさえ「イチローの打率は.270か.280であれば満足だ」と答えるほど、チームの期待度も高くはなかった。
そんななか、4月2日(日本時間3日)のアスレチックスとの開幕戦に「1番・ライト」で先発出場したイチローは、第4打席でセンター前に初安打を放つと、続く打席ではバント安打を決め、デビュー戦で2安打を記録した。
3試合目にも2安打、4試合目のレンジャーズ戦では3安打を記録すると、延長10回にはメジャー初アーチとなる決勝2ランを放って1試合4安打。その後も安打を量産し、15試合連続安打を記録するなど好スタートを切った。
連続安打中の4月11日(同12日)のアスレチックス戦では、8回に代打出場で安打を放ち、そのままライトの守備へ。そして、NPBでゴールデングラブ賞を7年連続7回受賞した腕前を披露した。先頭のテレンス・ロングが出塁すると、一死からラモン・ヘルネンデスがライト前に運ぶ。ロングは俊足を生かして三塁を狙うが、イチローの強肩が炸裂。イチローの代名詞にもなった「レーザービーム」が全米を震撼させた。
その後も勢いが止まらないイチローは、この年から制定されたルーキー・オブ・ザ・マンスを4月から6月にかけて連続受賞。オールスター・ゲームにも両リーグ1位の得票数で選出されると、1998年までマリナーズに在籍していたランディ・ジョンソンから内野安打を放ち、盗塁も決めた。
8月、9月にもルーキー・オブ・ザ・マンスを受賞したイチローは、1930年のビル・テリー以来となるシーズン242安打(当時歴代9位)を放ち、メジャーの新人最多安打記録を更新。さらに、1年目の選手ではリーグ歴代最高の打率.350で首位打者、盗塁王(56)のタイトルを獲得し、新人王とMVPに選出された。ダブル受賞は1975年のフレッド・リン以来、史上2人目の快挙となった。
関係者からの懐疑的な見方を、これ以上にない活躍で覆したイチロー。このあとも、イチローの記録ラッシュは続くことになる。