【2025年殿堂入り候補紹介⑦】ビリー・ワグナーが有資格最終年で殿堂入り間違いなしである理由
2025.1.9 12:08 Thursday
アストロズ、メッツ、ブレーブスなどでクローザーとして活躍し、歴代6位、左腕では2位の通算422セーブを挙げ、有資格最終年の10年目での殿堂入りが注目されるのが「ビリー・ザ・キッド」ことビリー・ワグナー。昨年は得票率で1.2%、わずか5票足りなかったが、ラストチャンスで殿堂入りが決まりそうだ。
1998年からの10年間で、シーズン30セーブ以上が8回、うち40セーブ以上を2回記録するも無冠だったビリー・ワグナー。通算セーブ数は史上8人しか到達していない400セーブを超えるが、通算1196奪三振を合わせると、ワグナーを超えるクローザーは3人。それは現役のケンリー・ジャンセンとクレイグ・キンブレル、そして2019年に殿堂入りしているリー・スミスだけだ。
ワグナーは5歳の頃にアメリカンフットボールで利き腕の右腕を2度骨折。回復が待ち切れずに左でボールを投げることで覚醒。常時100マイル(約160.9キロ)を超える剛球左腕として、セーブだけでなく、奪三振でもケタ違いの数字を挙げてきた。
2001年、のちにキンブレルに更新されたが、当時史上最速の341イニングで通算500奪三振を達成。2003年にはアストロズの球団記録を更新する通算200セーブ、シーズン44セーブを挙げた。その年、MLB全体で100マイル以上が199回記録されたが、そのうち159回はワグナーが記録したものだった。そして、2010年にはリリーバー歴代4位の1184奪三振を記録すると同時に、400セーブも超えた。
また、通算900イニング以上で見ると、三振の割合を示すK%が33.2、奪三振率(K/9)は11.92とともにMLB歴代トップ。さらに防御率は、殿堂入りを唯一満票で決めたマリアーノ・リベラに次いで2位の2.31、1イニングあたり何人の走者を出したかを示すWHIPは1.00で歴代2位、リベラをも凌駕するなど、通算のセーブ数だけでなく、多くの成績で驚愕の記録を挙げている。
ここまで9年間の得票率は、10.5%→10.2%→11.1%→16.7%→31.7%→46.4%→51.0%→68.1%→73.8%と、4年目からは最低でも4.6%増えている。そして、投票を済ませた各記者が公開している情報を独自に集計している「Baseball Hall of Fame Vote Tracker」によると、1月6日(日本時間7日)時点で当選ラインを超えていたのはイチロー(100%)、CC・サバシア(89.4%)、ワグナー(85.6%)、カルロス・ベルトラン(76.0%)だった。有資格最終年、「ビリー・ザ・キッド」の殿堂入りの準備はようやく整った。あとは21日(同22日)の結果発表を待つばかりだ。