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【Catch the Moment -2024- #4】ダルビッシュが見せた静かな闘志

2025.1.13 18:23 Monday

 一投、一打、そして一瞬の出来事が勝負を決める、それが野球の魅力の1つだろう。20年以上にわたってMLB公式フォトグラファーとして活躍する田口有史が、2024年シーズンに捉えた「最高の一瞬(Moment)」を紹介する。

 ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が「個人的にはあれがワールドシリーズだった」と、のちに語るほどの熱いシリーズとなった2024年のNLDSドジャース対パドレス。レギュラーシーズンでしのぎを削ったチーム同士の戦いは2勝2敗で最終決戦へ。両チームの先発はドジャースが山本由伸、パドレスはダルビッシュ有。日本でも注目の集まる一戦となった。

 この試合を迎えるまで、ダルビッシュはポストシーズンに通算12度先発。そのうちの4登板はこの日のように負ければポストシーズン敗退、すなわちシーズン終了となる試合だった。そのすべての試合でダルビッシュの所属しているチームは敗退。しかし、4度の登板のうち、3度は6イニング以上投げて自責点2。好投しながらも、残念ながらチームを次のラウンドに進めることはできなかった。

 そして迎えたこの一戦。レギュラーシーズンではドジャースに8勝5敗と勝ち越しており、ポストシーズンが始まる時点ではベストチームという呼び声もあったパドレス。そして、日本人投手同士の投げ合い。そんな周りの狂騒はダルビッシュには関係ないかもしれないけれど、綺麗に焼けた夕焼けと、奥のビジョンにはドジャースのロゴ。そのマウンドへ向かう背中から、ダルビッシュのこの試合に向けての静かな闘志というか、決意のようなものが感じられ、シャッターを切った。

◆田口 有史(たぐち ゆきひと)
1973年静岡県生まれ、福島県育ち。高校卒業時にスポーツ写真家を志し1993年に渡米。MLBが2チームある街という理由でサンフランシスコ芸術大学へ編入。在学中からフリーランスとして活動を始め、現在は日本に居を構えつつも年間150日ほど渡米し、MLBを中心に様々なスポーツシーンを撮影している。フリーランスとしての撮影活動の傍らMLBおよびWBC公式フォトグラファーも務める。Instagram:@tagucci42

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