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松井秀喜氏の米野球殿堂入りを検討すべき 米記者が問題提起

2025.1.28 12:48 Tuesday

 2025年度のアメリカ野球殿堂入り投票では、メジャー通算3089安打のイチロー氏が得票率99.7%という「準満票」の支持を集め、アジア人として初めてのアメリカ野球殿堂入りを果たした。これを受け、米公式サイト「MLB.com」のアンソニー・カストロビンス記者はアメリカ野球殿堂について「国際野球殿堂」という名称が適切になりつつあると主張。日本球界でスーパースターとして活躍したあと、ヤンキースの主力打者として結果を残した松井秀喜氏について「殿堂入りを検討すべきだ」と問題提起している。

 アメリカ野球殿堂は近年、より多くの野球人口を反映するようになっている。ニグロリーグでの活躍を評価されて殿堂入りした人物は37人いるが、その大半は過去20年以内に殿堂入りを果たした。また、2011年以降、殿堂入りを果たしたラテン系の選手の人数は10人から20人へ倍増した。アメリカ50州およびワシントンDC以外で生まれた殿堂入り選手はイチロー氏が22人目。これまでは原則としてメジャーリーグでの実績が評価対象となってきたが、カストロビンス記者は「その選手の影響力をアメリカ野球殿堂は適切に評価できているか」と疑問を投げかけている。

 1990年代、パク・チャンホ氏が韓国人初のメジャーリーガーとなり、野茂英雄氏は日本人メジャーリーガーのパイオニアとなった。そして、2001年にイチロー氏が史上初の日本人野手として大成功を収め、日本ではメジャーリーグがより身近なものとなった。カストロビンス記者は、パク氏と野茂氏について「彼らのERA+は97で、リーグ平均を3%下回っている。殿堂入りの資格があるとは言えない」としつつも「彼らの登場によって、アジア人選手に対する懐疑的な見方や固定観念が覆されたことは否定できない」とその功績を称えている。

 そんなカストロビンス記者が「イチローが殿堂の扉を破った今、最も精査に値する人物がいる」として名前を挙げたのが松井氏だ。松井氏は2018年に殿堂入り候補となったが、わずか4票(得票率0.9%)しか獲得できず、1年で資格を失った。その年の殿堂入り候補には、のちに殿堂入りを果たす選手が10人いただけでなく、ロジャー・クレメンスやバリー・ボンズといった「ステロイド組」も名を連ねていた。松井氏にほとんど注目が集まらなかったのは仕方ない部分もある。

 しかし、カストロビンス記者は「時代委員会は将来的に、松井のキャリア全体を考慮すべきだ。NPBはそれ自体が単独で強力なリーグであるだけでなく、MLBへの有望な供給源となっている。NPBの全体的な質をしっかり考慮すべきである」と主張する。つまり、メジャー通算で1253安打、打率.282、175本塁打、760打点、OPS.822、オールスター・ゲーム選出2度、2009年ワールドシリーズMVPという実績を残した松井氏について、「時代委員会は日米通算での実績を評価すべきだ」という主張である。

 イチロー氏はメジャーリーグだけで殿堂入りに相応しい数字を残しており、イチロー氏の殿堂入りはおそらく日米通算の実績が評価されたものではないだろう。その点についてはカストロビンス記者も理解している。しかし、カストロビンス記者は「NPBとMLBの成績を単純に比較するのは良くないかもしれない。しかし、NPBがマイナーレベルという考えも良くない。もしNPBがマイナーレベルなら、イチローや大谷翔平、山本由伸がこれほどアメリカで評価されることはなかったはずだ」とNPBのレベルの高さを認めている。

「アメリカ野球殿堂がより国際的になっていくなかで、殿堂入りの投票者はメジャーリーグでの実績だけでなく、その選手の全体像に重点を置くべきだ」というのがカストロビンス記者の考えだ。「アメリカ野球殿堂」から「国際野球殿堂」へ。イチロー氏の殿堂入りはその大きな変化のきっかけとなるのだろうか。そして、松井氏が殿堂に迎えられる日はやってくるのだろうか。

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