ブレグマン争奪戦 カブス、レッドソックスの動向は
2025.2.8 12:11 Saturday
FA市場に取り残された唯一の大物が、アストロズからFAとなった三塁手アレックス・ブレグマンだ。オフ当初は古巣アストロズが再契約交渉に本腰を入れていたものの、ブレグマンが6年1億5600万ドルのオファーで妥結せず、アストロズは一旦撤退。その後、タイガースやレッドソックスらが有力候補とされながらブレグマンの市場は動かず、最近ではアストロズが再び再契約に向けて動き出したという報道もあった。現状報じられている争奪戦に残っている球団は「アストロズ、ブルージェイズ、カブス、タイガース、レッドソックス」の5球団。この中でカブスとレッドソックスについて、最新の動向が報じられている。
そして、有力候補の一角とされるカブスは、争奪戦に残っているが「デューデリジェンスを行っている」最中で検討段階にあると、地元メディア「マーキー・スポーツ・ネットワーク」のブルース・レヴィーンがきょう報じている。カブスの正三塁手はMLB未経験の有望株マット・ショウが担うと見られており、ここに経験豊富なブレグマンが加われば、アップグレードとなるのは確かだ。
ただ、カブスがブレグマンに提示しているのは、ブレグマンが求める長期契約ではないかもしれない。「ニューヨーク・ポスト」のジョン・ヘイマン記者は「クリエイティブな短期契約のオファーを受けている」と、ブレグマンが複数のオプトアウトやオプションが絡む複雑な構造の短期契約を提示されていると報じた。カブスは外野手コディ・ベリンジャーのサラリーダンプを敢行するなど、今オフは贅沢税の範囲内でチームを強化するために奔走。「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者も、カブスに6年契約を提示するだけの意欲と経済的柔軟性があるかを疑問視していた。そのため、カブスがクリエイティブな短期契約を提示している球団だと考えるのは理に適っている。しかし、ブレグマンはあくまで6年以上の契約を求めているとされており、このままでは獲得は実現しないかもしれない。
また、オフの早い段階から有力候補とされてきたレッドソックスは、必ずしもブレグマンに高額契約を提示する必要がない状況だ。そもそも内野コーナーが埋まっているレッドソックスでは、ブレグマンは二塁コンバートを受け入れる可能性が高い。ただ、二遊間にはクリスチャン・キャンベルとマルセロ・メイヤーという超有望株がデビュー間近で、ブレグマンにリスクの高い長期契約を提示する必要性は薄いと言える。
そして、補強に動く場合でも、レッドソックスにはノーラン・アレナドという別の選択肢がある。全球団に対するトレード拒否権を持つアレナドが、トレードを許容する数少ない球団の一つがレッドソックスだ。今オフ、カージナルスは年俸削減のためにアレナド放出を模索し、一旦その動きはトーンダウンしたかに思われた。しかし、MLB公式サイトのカージナルス番記者ジョン・デントンによれば、最近になってレッドソックスとの交渉を再開したという。再開された交渉では、レッドソックスの球団22位有望株のブレイズ・ジョーダンが移籍候補として挙がるなど、現実的な交渉が展開されているようだ。
有望株が控えるレッドソックスにとっては、アレナドの方が候補としてブレグマンより理に適っている要素が多く、ブレグマンに高額オファーを提示する必要性は薄い。仮にトレードが成立するならば、レッドソックスとしては球団トップレベルの有望株を失わずしてアレナドを獲得できる可能性が高い。一方でブレグマンを獲得すれば、クオリファイング・オファー対象選手を獲得したペナルティとして、ドラフト指名権を失うことになる。さらに、アレナドの残り契約は3年6400万ドルで、そこからカージナルスが一部を負担すると予想されており、その金銭的負担もブレグマンよりずっと軽い。もちろん衰えが見え出したアレナドと、依然としてトップレベルのブレグマンとの違いはあるが、獲得に要するコストは大きく異なる。