ボール/ストライクのチャレンジ制度をオープン戦で試験運用
2025.2.20 12:07 Thursday
日本時間2月21日から始まる2025年のオープン戦では、約60%の試合で「自動ボール/ストライク判定システム」(略称ABS)が採用される。19球団がオープン戦の本拠地として使用する13球場に設備が導入されており、機械がボール/ストライクの判定を行う。ただし、今年のオープン戦で試験運用されるのは「ABSチャレンジ制度」であり、従来通りに球審がボール/ストライクを判定し、その判定が間違っていると判断したときにチャレンジを行うという形式になる。
今年のオープン戦では各チームに1試合2つのチャレンジ権が与えられる。チャレンジ権を行使できるのは、打者・投手・捕手に限られており、監督を含め、それ以外のコーチや選手がチャレンジを申請することはできない。また、チャレンジの申請は、球審の判定後すぐに行う必要がある。チャレンジに成功した場合、そのチャレンジ権は維持され、球審の判定が正しかった場合は、そのチャレンジ権は失われる。
これまでマイナーリーグや独立リーグでABSシステムのテストが行われてきたが、すべてのボール/ストライクを機械が判定するよりも、従来通りに球審が判定し、必要なときにチャレンジを行うという形式のほうが支持された。そうした経緯もあり、まずは「全球を球審が判定」と「全球を機械が判定」の中間にある「ABSチャレンジ制度」が試験運用されることになった。ちなみに、昨季のマイナーリーグにおけるチャレンジの成功確率は51%だったという。
ストライクゾーンはホームベースと同じ幅17インチ、高さは上端が選手の身長の53.5%の部分、下端が同27%の部分となる(身長は公式に測定したものを使用)。また、ホームベースの前端と後端から8.5インチの部分がストライクゾーンの「深さ」となる。球審がコールするゾーンは、一般的には丸みを帯びており、投手にやや有利であることが明らかになっている。そのため、マイナーリーグで完全な機械判定をテストした際には、与四球が激増する結果になった。
なお、「ABSチャレンジ制度」の試験運用に伴い、試合の中継画面からストライクゾーンの表示が消える可能性があるという。理由の1つは、中継画面に表示されるストライクゾーンが必ずしも正確ではないということ。また、中継画面にストライクゾーンが表示されていると、不正行為につながるというリスクもある。さらに、チャレンジを行う前にボール/ストライクがわかってしまうのは面白くないというエンターテインメント的な観点もある。「ゾーンを表示せず着弾点だけ表示する」「ゾーンを表示する代わりに着弾点を表示しない」「ゾーンを部分的に表示する」など様々な方法が検討されているようだ。