【日本人選手の新天地⑤~青柳晃洋~】2年連続最多勝の変則右腕が挑む先発ローテの壁
2025.2.20 12:53 Thursday
アンダー気味のサイドスロー「クォータースロー」で阪神の先発ローテーションの中心として活躍し、2021~22年には連続で最多勝、最高勝率を記録した青柳晃洋がポスティング制度でフィリーズとマイナー契約。招待選手として参加するキャンプで、メジャー昇格に向けてアピールしている。
2015年のドラフト5位で帝京大から阪神に入団し、4年目から先発ローテーションに定着した青柳が昨年12月にポスティング制度によるメジャー挑戦を表明。45日間の交渉期間の締め切り1時間前にフィリーズとのマイナー契約が決まった。
フィリーズはここ3年連続でポストシーズンに進出し、昨季は13年ぶりにナ・リーグ東地区を制覇した常勝チーム。投打ともに強力な布陣を揃え、このオフはそれほど大きな動きがなかったが、メジャーであまり見ることがない日本の変則右腕を獲得した。
メジャーのキャンプに招待選手として参加している青柳は「本当に厳しい戦いになるが、挑戦の年だと思う」と決意を持って、開幕ロースター入りを目指している。
ブレーブス、メッツなど強豪ひしめくナ・リーグ東地区で、昨季は地区優勝を果たしたフィリーズの強さの要因の1つがメジャー屈指の先発陣だ。新型コロナウイルスの影響で60試合制の短縮シーズンとなった2020年を除き、2018年から2ケタ勝利を記録し続けているザック・ウィーラーと、3年連続2ケタ勝利のアーロン・ノラの2本柱を中心に、昨季2ケタ勝利の2人の左腕、クリストファー・サンチェスとレンジャー・スアレスが続き、青柳は5番手を争うことになる。
打線も昨季リーグ3位の得点力、同4位の打率を誇り、さらにこのオフにツインズからFAとなったマックス・ケプラーを獲得した。そして、MVP2度受賞のブライス・ハーパーを中心に、4年連続30本塁打以上のカイル・シュワーバーら強力打線は健在。今季はリードオフマンのシュワーバーを4番にスライドさせ、1番に俊足強打のトレイ・ターナー、2番にハーパー、3番にニック・カステヤノスと打線を入れ替え、機動力を加える構想もある。
今季も優勝候補に挙げられるフィリーズ。青柳は現状では開幕をマイナーAAA級のリーハイバレーでスタートすることになるが、青柳を獲得した理由についてホルヘ・ベランディアGM補佐は「我々は彼のユニークさを評価した」と語っている。青柳の変則投法はどこまで通用するのか。そして、フィリーズでは井口資仁、田口壮に続く3人目の日本人選手としてメジャー昇格なるか。青柳の「挑戦」はすでに始まっている。