カージナルス・アレナドにトレード再浮上 アストロズが興味
2025.2.23 07:47 Sunday
日本時間2月23日、鎮火したかに思われたカージナルスの三塁手ノーラン・アレナドのトレードの噂が再燃した。米公式サイト「MLB.com」のマーク・フェインサンド記者が報じたところによれば、アストロズが再びアレナドの獲得に興味を示しているという。アストロズとカージナルスは12月にアレナドのトレードで合意したが、そのときはアレナドがトレード拒否権を行使し、トレードは立ち消えになっていた。
ゴールドグラブ賞10度、シルバースラッガー賞5度を誇る名三塁手のアレナドも、近年はその実力に衰えが見え始めていた。アレナドと歩調を合わせるようにカージナルスも直近2年連続でプレーオフ進出を逃し、今オフはロースターの「リセット」を目標に掲げていた。そして、総年俸を抑え、若手にチャンスを回すことを目的とするその「リセット」の第一歩が、アレナドの放出と考えられていた。
しかし、アレナドは全球団に対するトレード拒否権を持っており、それが放出の障壁となっていた。ただ、12月にアレナドがトレードを許容する5球団のうちの1つとされていたアストロズが、アレナドの獲得に動いた。交渉は両球団の間で合意に達し、カージナルスが年俸を負担し、アストロズは向こう3年間で4000~4500万ドルの負担でアレナドを獲得できるはずだった。あとはアレナドがトレードを承認するだけだったが、このときはアレナドがトレード拒否権を発動する。
当時、アレナドがトレードを拒否した一因には、アストロズがスター外野手のカイル・タッカーを放出したばかりだったことも関係していると、同記者は伝えている。アレナドは世界一を狙える球団へのトレードを臨んでおり、タッカーを放出したアストロズの戦力に疑念を抱いたのかもしれない。しかし、アレナドはアストロズを移籍先として完全に除外するつもりはなく、当時FA市場にいた三塁手アレックス・ブレグマンの契約後に再びトレードに応じる可能性を示唆していた。一方のアストロズは、アレナドにトレードを拒否されるや否や、一塁手クリスチャン・ウォーカーの獲得にシフト。ウォーカーとの3年契約、そしてタッカーの対価として獲得した三塁手イサーク・パレイデスの存在によって、アレナドを獲得する必要性は消滅した。
しかし、その後アストロズは、一度は暗礁に乗り上げたブレグマンとの再契約の可能性が再燃し、再び三塁手を獲得する余地が生まれた。すでに三塁にはパレイデスを獲得していたが、パレイデスを二塁に移し、スター二塁手ホセ・アルトゥーベを左翼にコンバートすることに前向きな姿勢を見せていた。結局、ブレグマンとの再契約は実現しなかったものの、二塁守備に衰えが見られるアルトゥーベは、左翼の練習を続けている。
そして、カージナルスはアレナドの放出先を完全に失ってしまったように見えた。アレナドがトレードを許容する球団の中でも獲得に寄せる関心が強かったレッドソックスが、ブレグマンを獲得してしまったためだ。このタイミングでアストロズが再び関心を示しているのは、アレナド獲得のライバルが完全にいなくなったこと、そしてアルトゥーベの左翼転向に目処が付いたことが大きいはずだ。同記者の情報筋によれば、アレナドは開幕戦までにトレードされる可能性が高いとのこと。一方、「ジ・アスレチック」のカージナルス番記者ケイティ・ウーは「交渉は進展しておらず、アレナドもアストロズへのトレード承認について考えを変えていない」と報じている。カージナルスの編成本部長ジョン・モゼラックは、アストロズとのトレード交渉についてコメントを控えた。オフシーズンを通したアレナド狂想曲に終わりが訪れるだろうか。