フィリーズ・青柳がダークホースに 開幕メジャーの可能性は
2025.2.24 18:24 Monday
MLBではスプリング・トレーニングが始まり、主力選手は開幕に向けてゆっくりと調整を開始し、逆に定位置やロースタースポットを争う選手たちにとっては熾烈な競争が幕を開けた。米公式サイト「MLB.com」は「開幕ロースター入りのダークホース」と題して、各球団から開幕ロースター入りを狙うダークホースを1人ずつ取り上げた。そこには、今季からマイナー契約でメジャー挑戦しているフィリーズの青柳晃洋も名を連ねている。
現在31歳の青柳は、日本では阪神タイガース一筋でプレー。2021年には最多勝、2022年には最多勝と最優秀防御率のタイトルに輝いた実力者だ。しかし、そこから直近の2年間はややトーンダウン。昨季は12登板にとどまり、三振率13.0%、防御率3.69と、極端な「投高打低」環境のNPBでは目立たない成績に終わっていた。しかし、球団にポスティングを認められ、メジャー挑戦を発表。ポスティング期限当日にフィリーズとのマイナー契約が決まり、既にスプリング・トレーニングに参加している。
記事の中では、青柳はフィリーズ番記者トッド・ゾレッキーから「開幕ロースター入りのダークホース」に挙げられた。同記者は「彼はほぼ間違いなく、マイナーAAA級のリーハイバレーでシーズン開幕を迎えることになるだろうが、フィリーズは彼がいつかチームに貢献してくれるかもしれないと考えている。もし彼がフィリーズのリリーフ陣に加われば、彼は球団でプレーする初めての日本人選手となる」とコメント。現状ではAAA級で開幕を迎える可能性が高いが、変則的なスタイルの青柳がシーズン中にでもフィリーズのブルペンに抜擢される可能性が高いことを示唆している。
現実的には、青柳が開幕ロースターに抜擢される可能性が高いのは、現状の投手陣に故障者が出たときだろう。フィリーズはエースのザック・ウィーラーを筆頭に、質・量ともにメジャー屈指の先発ローテを有している。そこから押し出される形で、ベテラン右腕のタイワン・ウォーカー、そして先発経験もある右腕ジョー・ロスがブルペンでロングリリーフの役割を担うと予想されている。専業のリリーフ投手にしても、ジョーダン・ロマノ、マット・ストラーム、オライオン・カークリング、ホセ・アルバラードの4枚は鉄壁。さらに残り2枠を担うホセ・ルイーズとタナー・バンクスも、昨季それぞれ50登板以上をこなしながら水準以上の奪三振力を発揮しており、割って入るのは並大抵のことではない。
一方で、40人枠でマイナースタートが予想されるリリーフ投手は、経験の乏しいマックス・ラザーとデビン・スウィートの2人だけ。仮に先発・ブルペンに故障者が出た場合の代役は、その2人とローテから漏れる若手の先発投手たち、そして青柳のようなマイナー契約の投手たちによる競争に委ねられる。リリーフ投手としてメジャーに挑戦しながら、日本時代は豊富な先発経験を積んだ青柳は使い勝手の良い存在となるかもしれない。ブルペンを束ねるロブ・トムソン監督も「ブルペンから目先を変えられる投手が出てくるのは良いことだ。素晴らしいスライダーと時速100マイルを投げる投手が7人も揃うことはないだろう」と、変則投法で活躍してきた青柳に期待を寄せている。