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チャップマンが現代の球速至上主義に警鐘 「故障の原因に」

2025.2.27 10:16 Thursday

 現代のメジャーリーグでは投手たちが球速や回転数をアップさせることに注力し、100マイルを超えるスピードボールを投げる投手も珍しくなくなってきた。2010年に史上最速の105.8マイルを計測した「人類最速男」ことアロルディス・チャップマン(レッドソックス)は、スピードボーラーの仲間が増えることを歓迎しつつも現代の「球速至上主義」に警鐘を鳴らしている。「球速至上主義」が故障の多発につながっていると考えているのだ。

 チャップマンは米公式サイト「MLB.com」でレッドソックスを担当するイアン・ブラウン記者の取材に応じ、「故障の多くは、投手が限界に近いところまで身体を酷使していることが原因になっていると思う。僕はそうしないように気をつけている」とコメント。チャップマンの球速の源は、ムチのような腕の振りと、鍛え抜かれた身体であり、球速を上げるために無理な身体の使い方はしていないという。実際、チャップマンが腕の故障で離脱したのは3度だけ。いずれも長期の故障ではなかった。

 チャップマンは「僕は自分の身体と腕を大切にしていることに誇りを持っている。この2つをゴールド(金)のように大切にしてきたんだ。マウンドに上がるときは、腕を限界まで酷使しないように気をつけている」と語る。無理をしなくても球界トップクラスのスピードボールを投げられるチャップマンだからこそ、現代の投手たちが身体を酷使し、健康を犠牲にしたうえで球速や回転数のアップを目指している現状に危機感を持っているのだろう。

 先日、ジャスティン・バーランダー(ジャイアンツ)も「現代の先発投手は、もはや100球を投げられるリリーフ投手のようなもの。アナリストの指示通りに全力で100球を投げ、使い潰されていく。ピッチングというものを教わっていないんだ」と長いイニングを投げなくなった先発投手のあり方に疑問を呈していた。

 強打者を抑えるためには質の高いボールが必要であるのは間違いない。しかし、質の高いボールを追求した結果、身体を壊し、キャリアが短命に終わってしまうのであれば本末転倒だ。チャップマン、バーランダーといった実績十分のベテランたちが指摘するように、身体を酷使して質の高いボールを投げるのではなく、身体を酷使しなくとも打者を抑えられるピッチングを再考する時期に来ているのかもしれない。

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