怪我人続出のレンジャーズの先発ローテ 名門大の有望株コンビに注目
2025.3.16 12:55 Sunday
ア・リーグ西地区の優勝候補レンジャーズのローテーションに怪我人が続出している。日本時間15日のオープン戦でベテラン右腕のジョン・グレイが打球を右手首に受けて骨折。先発左腕のコディ・ブラッドフォードも肘の痛みを訴えており、先発ローテには早くも2つの空席が生まれた。代役候補と見られているのは、名門ヴァンダービルト大学でしのぎを削った2人の有望株、クマー・ロッカーとジャック・ライターだ。彼らは先発ローテで共に開幕を迎えられるだろうか。米公式サイト「MLB.com」のケネディ・ランドリー記者が報じている。
15日、打球を右手首に受けたグレイは、右手首の骨折が判明。少なくとも6週間は投げられないと言われており、手術を要するかはまだ明らかになっていない。さらにブラッドフォードも肘痛で13日からシャットダウンされ、少なくとも4週間はノースローで調整となる。グレイは通算223先発の実績を持つベテランであり、ブラッドフォードも昨季14登板(13先発)で防御率3.54と好投していた。
この2人の離脱はレンジャーズにとっては痛恨だ。そもそもレンジャーズのローテーションは故障のリスクが大きく懸念されていた。エースのジェイコブ・デグロム、そしてタイラー・マーリーはトミー・ジョン手術明け。特にデグロムは近年は怪我でまともに投げられていない。開幕投手を務めるネイサン・イオバルディも35歳と衰えが懸念される。現状、ローテーションに決まっているのは全員に故障のリスクが伴うイオバルディ、デグロム、マーリーの3人だけになってしまった。
代役候補の筆頭と見られるのは2人の若手有望株、ジャック・ライターとクマー・ロッカーだ。同い年の2人は同じ名門ヴァンダービルト大学で切磋琢磨し、アマチュア球界2トップの投手として持て囃されたこともある。
共に2021年のドラフトクラスとしてドラフトに臨み、2人は「全体1位候補」と騒がれていた。しかし、ドラフトイヤーはライターの方が評価を上げ、ドラフト全体2位でレンジャーズから指名を受けた。一方ロッカーの方は故障もあって評価を落とし、全体10位でメッツから指名された。
しかし、ロッカーとメッツは契約に合意できず、ロッカーは2023年ドラフトに再エントリーすることに。そして、翌2023年のドラフトでレンジャーズは全体3位指名を使って、ロッカーをサプライズ指名。2人が全体1位候補と言われていた2021年からすれば信じられないことに、“ヴァンダービルト大コンビ”は運命のいたずらによってチームメイトとなった。
ライターとロッカーはマイナーで故障、不調に悩まされる時期もあったが、共に2024年にメジャーデビューまでこぎ着けた。そして今、共に開幕ローテーション入りするチャンスが生まれている。
レンジャーズの球団内部にライターとロッカー以外に有力な候補はいない。しかし、編成本部長のクリス・ヤングは「彼らには何も与えられるべきではない」と、あくまで競争によって開幕ローテを勝ち取ってほしいと思っている。実際、ライターは今春4登板で防御率2.53と堅調だが、ロッカーは3登板で防御率22.85と実力を発揮できていない。マイナー契約のエイドリアン・ハウザー(10.2回で防御率1.69)、パトリック・マーフィー(10回で防御率0.00)は絶好調であり、彼らが選ばれる可能性もある。
ただ、レンジャーズのローテーションの健康の不安は、開幕のみならずシーズン中常に付きまとう問題になるだろう。レンジャーズが2016年以来の地区王座を奪還するためには、この2人の活躍は欠かせなくなる。