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ソダーストロムは大谷なのか? HR数トップの23歳はなぜ覚醒したか

2025.4.19 16:47 Saturday

 MLBの2025シーズンが開幕して20試合弱が経過した。今、MLBの本塁打王ランキングでトップをひた走っているのは、ヤンキースのアーロン・ジャッジでも、ドジャースの大谷翔平でもない。現状のMLBの本塁打王は、9本塁打を放っているアスレチックスのタイラー・ソダーストロムだ。23歳のソダーストロムは有望株として知られる存在ではあったものの、今季の本塁打王レースではノーマークの存在だった。ソダーストロムの突如の覚醒に繋がったのは、同僚のアドバイスを取り入れた、ある意味で「大谷翔平流」にも近いスイングへの変更だという。米公式サイト「MLB.com」が報じている。

 現在23歳のソダーストロムは今季、20試合に出場して9本塁打、打率.325、OPS1.085をマーク。既に3試合でマルチ本塁打を放ち、9本塁打は自身のキャリアハイに並んだ。2020年にドラフト1巡目で指名されてから、強打者候補として期待されていた逸材は、メジャー3年目でついにその期待に応えている。

 ソダーストロムの成長の最大の要因は、「足を早く下ろす」ほぼノーステップ打法への変更だ。スイング前に足を上げる動作を減らすことは、一般的に頭の動きを抑えることができ、その分長くボールを見られる効果があるとされている。これまではステップありの打法を採用し、悪球に手を出す癖もあったソダーストロムにとっては、まさに必要な改良だった。

 その改良のきっかけは、アスレチックスで同僚のJJ・ブレデイが既にその打法を導入し、結果を残していたことだった。2024年に向けてオフから「足を早く下ろす」打法を練習していたブレデイは、見事に昨季20本塁打を放ってブレイクイヤーを送った。昨季、本拠地の試合に向かう際、ブレデイと一緒に車に乗ることが多かったソダーストロムは、2人でその打法について話し合っていたという。そして、昨季の途中からその打法を取り入れ始め、閉幕間際には36打数12安打と調子が上向きに。今春のスプリングトレーニングでもその打法の改良を続け、ついに本格開花につながったという。

 ソダーストロムを導いたブレデイ曰く、同じ打法を既に多くの選手が実践しているとのこと。中でも注目すべきはドジャースの大谷翔平だ。ブレデイは「大谷(が足を下ろす)のは本当に早い。だが、彼は捻って力を溜めて、股関節を内側に回すことができる」と、反動をつけない打法でもパワーを発揮できる要因を分析する。

 そして、同じ打法を実践し、同じ左打席から本塁打を量産する大谷とソダーストロムは似ていると、「MLBネットワーク」も指摘している。レッドソックスなどで活躍したマーク・ローウェル氏は「彼が大谷と言うわけではないけどね」と前置きしながらも、2人のスイング動画を並べてその類似性を分析。すると、WBC米国代表監督のマーク・デローサ氏も「タイラー・ソダーストロムは大谷翔平なのか?」と思わずコメントしたほどだった。

 今季のブレイクの要因は「JJ・ブレデイのおかげ」と謙遜するソダーストロム。ただ、“師匠”のブレデイにとっても、ここまでのブレイクは想定外だったようで「クレイジーだ。もし彼がリーグのホームラン数でトップに立つなんて言われたら、俺は『どうかしてる』って言っただろう」と唖然としている。師匠の予想をも軽く超えるソダーストロムの快進撃はどこまで続くだろうか。

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