レンジャーズが外野手タベラスをウエーバー公示 好守の26歳
2025.5.5 21:22 Monday
日本時間5月5日、レンジャーズが外野手レオディ・タベラスをアウトライト・ウエーバーにかけたと、「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者などが報じた。好守の中堅手として知られるタベラスだが、今季はOPS.601と打撃成績がさらに低下。レンジャーズはタベラスをウエーバーにかけることで、彼の475万ドルの年俸をいくらか節約できる可能性がある。
タベラスはメジャー6年目、レンジャーズ一筋の26歳。2023年にレギュラーに完全定着すると、持ち前の中堅守備に加え、14本塁打、14盗塁、OPS.733と打撃でも及第点の成績を残し、球団史上初の世界一に貢献した。ただ、昨季はOPS.641とやや調子を落とし、そして今季はOPS.601と打撃成績が年々悪化。貧打にあえぐレンジャーズは好打のユーティリティであるジョシュ・スミスを中堅手に回す試合が増え、さらにベンチプレイヤーのダスティン・ハリスとケビン・ピラーも中堅手をこなせるとあって、タベラスの存在感は薄れていた。
選手を直ちに40人枠から外す措置であるDFAと異なり、ウエーバーでは他球団が獲得に手を挙げるまで元の球団でプレーすることができる。
仮にウエーバーで獲得に手を挙げる球団が現れ、タベラスを獲得すれば(ウエーバーから獲得することをクレームという)、レンジャーズはタベラスの今季残り年俸の約380万ドルを節約できる。タベラスの今季の残り年俸は、タベラスの移籍先の球団が全て負担することになるためだ。
また、仮にタベラスを獲得(クレーム)する球団が現れなかった(ウエーバーをクリアした)場合、レンジャーズはタベラスをマイナーに降格させる(アウトライト)ことが可能だ。タベラスはそのアウトライトの措置を拒否し、FAとなることもできる。しかし、その場合は今季の残り年俸約380万ドルを放棄しなければいけない。
これにはMLBにおける「出場登録日数」であるサービスタイム、そしてそのルールにあるいわば「3年の壁」と「5年の壁」が関係している。タベラスのサービスタイムは今季の開幕前でちょうど3年と124日。MLBではサービスタイム3年以上の選手がアウトライトされた場合、選手はアウトライトを拒否し、マイナー配属の代わりにFAになることができる。一方、サービスタイムが5年以上の選手であれば、選手は単にアウトライトを拒否することができる。
つまり、サービスタイム3年以上5年未満の選手はアウトライトを拒否できるが、拒否すれば契約を放棄してFAになるしかない一方で、5年以上の選手には契約を放棄する必要がない。これの良い例が元エンゼルスの内野手デービッド・フレッチャーだ。フレッチャーはエンゼルスと5年2600万ドルの延長契約を結んだ後、打撃不振に陥ってレギュラーの座を喪失。エンゼルスは構想外のフレッチャーがサービスタイム5年を迎える前にアウトライトし、マイナーに降格させていた。フレッチャーはアウトライトを受け入れれば出場機会が減ると知りながら、多額の契約を放棄することはできず、エンゼルスのマイナーに降格することを受け入れていた。
レンジャーズは贅沢税ラインまでの余裕が約390万ドルしかなく、可能なコストカットには動いておきたいのが本音だろう。レンジャーズはタベラスをウエーバーにかけるまで、他球団とタベラスのトレード交渉も行っていたという。しかし「ダラス・モーニング・ニューズ」のエバン・グラント記者によれば、対価を差し出してタベラスの年俸を全て負担する球団は現れなかったとのこと。