0.1%の奇跡 ダイヤモンドバックスが9回の猛攻で大逆転勝利
2025.6.6 11:24 Friday
【ダイヤモンドバックス11-10ブレーブス】@トゥルイスト・パーク
日本時間6月6日、ダイヤモンドバックスが勝利確率0.1%の土壇場から蘇り、大逆転でブレーブスを下した。ダイヤモンドバックスは9回表の時点で4対10と6点のビハインドを抱える劣勢。しかし、ルルデス・グリエルJr.やアレック・トーマスら下位打線の本塁打でコツコツとビハインドを削ると、上位打線が3本のタイムリーを集めて7得点のビッグイニングにつなげ、試合をひっくり返した。ブレーブスは8回から登板したスコット・ブルエットが誤算。急遽リリーフした守護神ライセル・イグレシアスが5敗目(3勝)を喫している。また、ブルエットは試合直後にDFAとなった。
試合は序盤からブレーブスがペースを握った。1点リードで迎えた3回、クリーンナップの3打者を含む4者連続タイムリーが飛び出し、一挙5得点。この回限りでダイヤモンドバックス先発のブランドン・ファートを3回6失点でノックアウトする。しかし、ダイヤモンドバックスもやり返し、直後の4回に2本のタイムリーで3得点。4回途中でブレーブス先発のグラント・ホームズを降板させた。
しかし、そこからブレーブスは一発攻勢でダイヤモンドバックスを突き放した。5回にオースティン・ライリーの11号ソロ、6回にはロナルド・アクーニャJr.とドレイク・ボールドウィンの連続アーチが飛び出し、9対3にリードを拡大。その後、8回に互いに1点ずつを加えたが、6点の重い点差は変わらず、試合は最終回に突入する。
10対4で9回表を迎えた時点でブレーブスの勝利確率(Win Probability)は99.9%。ダイヤモンドバックスはこれまで8回終了時点で6点以上リードされた試合では、0勝419敗だった。一方のブレーブスは8回終了時点で6点以上リードした試合では、766勝1敗。そして回の先頭だったエウヘニオ・スアレスが三振に打ち取られ、一死走者なし。ブレーブスはこのまま勝利し、ダイヤモンドバックス3連戦のスイープを回避するかに思われた。
しかし、6番グリエルJr.が9号ソロで待ったをかけ、7番ティム・タワが四球、そして8番トーマスが2号2ランで続いて3得点。7対10と一気にセーブ・シチュエーションまで詰め寄った。ブルエットは9番のホセ・ヘレーラに四球を与えたところでお役御免。守護神イグレシアスがマウンドを引き継いたが、それでも流れは止められなかった。1番コービン・キャロルが二塁打でチャンスを広げ、2番ケテル・マルテがそれをすかさず還して2点差に。3番ヘラルド・ペルドモはポップフライに打ち取られ、ついに二死まで追い詰められたが、途中出場の続くイルデマロ・バルガスがタイムリーを放ち、ついに1点差に迫った。
そして二死1・2塁となって、打席には回の先頭で三振を喫したスアレス。スアレスはレフト線へ二塁打を放ち、その間に2人の走者が還り、ダイヤモンドバックスはついに11対10と逆転に成功した。苦戦中のダイヤモンドバックスのブルペンは、信頼を置けるシェルビー・ミラーをすかさず投入し、1点差の9回裏をクロージング。球団史に残る大逆転劇を完結させた。
ダイヤモンドバックスはブレーブス3連戦をスイープで終え、4連勝で勝率5割に復帰。連勝の直前の試合が、1アウト目を記録するまでに9失点を喫したナショナルズ戦だったのが象徴的なように、ダイヤモンドバックスは投手力不足からやや足踏みを強いられていた。一時は借金が4にまで膨らみ、さらにエースのコービン・バーンズを故障で失う不運にも見舞われた。しかし、ダイヤモンドバックスは戻ってきた。
殊勲打を放ったスアレスは「27アウトまで試合は終わらないことを理解している。それが僕らの試合だった。あの9回は、僕らのプレーの仕方を物語っている。絶対に諦めない。ホームラン、四球、そしてまたホームラン、そしてまた四球と、あの回から勢いづいていった」とコメント。トーリ・ロブロ監督も「いつ、誰が、どこで、いつ反撃を始めるのか、全く予測できない」と胸を張った。
今季は話題に上る壮絶な打ち合いを数多く演じ、それが必ずしも勝利に結びついてきたわけではなかったダイヤモンドバックス。しかし、ひとたび投打が噛み合い出せば、ナ・リーグの中でも最大級の脅威となり得る実力を持つ。4連勝でプレーオフ圏内を3.5ゲーム差に捉え、反撃を期す。
一方、大逆転負けを喫したブレーブスは、連敗が4に伸び、借金は7に膨らんだ。スロースタートを乗り越え、一時は勝率5割に復帰。それでも、ロナルド・アクーニャJr.の復帰から勢いに乗る青写真は崩れた。中でもブルペンは課題の一つとなっており、今日逆転のきっかけを作ったブルエットは試合後にDFAに。代わりに、マイナー契約を結んで調整していた往年の名守護神クレイグ・キンブレルが昇格すると報じられている。