まさにジキルとハイド アスレチックス・セベリーノがまたロードで好投
2025.6.14 16:39 Saturday
【アスレチックス6-4ロイヤルズ】@カウフマン・スタジアム
日本時間6月14日、ア・リーグ西地区最下位のアスレチックスと中地区4位のロイヤルズの3連戦が、ロイヤルズの本拠地カンザスシティのカウフマン・スタジアムでスタート。初戦はアスレチックスのエースであるルイス・セベリーノが8回途中1失点の支配的なピッチングを見せ、今季2勝目(6敗)をマーク。打線もロイヤルズ先発のマイケル・ワカから5得点を奪い、ワカに今季6敗目(3勝)をつけた。セベリーノはロードにおける防御率が0.93まで向上し、MLBベストの数字を残している。
まさにジキルとハイド。アスレチックスのセベリーノはホームとロードでは別人と化す。今日の8回途中1失点の好投によって、ロードでの防御率は0.93に向上。一方でホームでの防御率は7.10と苦しんでおり、ホームとロードの防御率の差はMLBで最大だ。
セベリーノは30人の打者と対戦しながら三振はわずか1、空振りも1つしか奪っていなかった。しかし、ロイヤルズ打線に的を絞らせず、12個のゴロアウトを量産。捕手のオースティン・ウィンズは、ロイヤルズ打線が2ストライクから内角を狙っていることを察知し、チェンジアップを普段よりも活用させた。34歳のウィンズと11年目を迎えるセベリーノのベテランらしい老獪さも十分に発揮され、ロイヤルズ打線を翻弄。チームにとって15試合ぶりのロードでの勝利を手繰り寄せた。
そして、若く実力ある打者が並ぶ打線も、今日は本来の実力を見せた。1点ビハインドの2回、ウィンズが4号ソロで同点とすると、3回は新人ニック・カーツのタイムリーで逆転。4回にはルイス・ウリアスの7号ソロで追加点を奪い、畳み掛けた。6回には満塁のチャンスから押し出し四球、さらに新人マックス・マンシーの2点タイムリーでリードを6点に拡大させた。
5点リードの最終回を託された守護神メイソン・ミラーは3点を失ったが、後続を断ってロイヤルズを振り切った。MLBワーストの11連敗、そしてその直後の9連敗の期間から続いていたロードでの連敗は14で止まった。
セベリーノのロードでの無双、そしてホームでの苦戦には理由がある。今季からアスレチックスが本拠地とするサクラメントのサターヘルス・パークには、ベンチ裏でセベリーノが体を動かせる場所がないという。イニング間の調整ルーティンを重んじるセベリーノにとって、急造の本拠地サターヘルス・パークは、その打者有利な環境もあいまって厳しい環境となっている。
「ロードだけで投げていたらサイ・ヤング賞にノミネートされていたんじゃないかと思う」と5月にうそぶいたセベリーノは、相変わらずロードではサイ・ヤング賞クラスのパフォーマンスを発揮し続けている。「コッツェイ監督に、もし必要ならあと100球投げてもいいと伝えた。最高の気分だったし、コントロールできていた」と、持ち前のタフさでチームを勝利に導いた。
また、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)に次ぐ打率2位につけるジェイコブ・ウィルソンは、今日も5打数2安打2得点の活躍。イチロー(マリナーズ)が持つア・リーグの新人最多安打記録242安打に迫るペースで安打を量産している。打率.369、OPS.919は遊撃手としてMLBトップ。さらに今日はハムストリングの負傷を抱えることを感じさせない守備の好プレーでも魅せた。今日対戦したロイヤルズのボビー・ウィットJr.や絶好調のアストロズのジェレミー・ペーニャらを差し置き、新人ながらア・リーグのオールスターのスタメン遊撃手に選ばれる可能性もあるだろう。