ジャイアンツが強打者デバースをトレードで獲得 交換要員は?
2025.6.16 09:55 Monday
日本時間6月16日、レッドソックスのラファエル・デバースがジャイアンツへトレード移籍となったことを「ファンサイデッド」のロバート・マレー記者らが伝えた。デバースの対価として、ジャイアンツからジョーダン・ヒックス、カイル・ハリソン、ジェームズ・ティブス、ホセ・ベヨの4名がレッドソックスへ移籍する。レッドソックス一筋のスター選手の急転直下の放出は衝撃を呼んでいる。
レッドソックスが球団の顔ともいえたスター選手・デバースを放出したのには、有望株のデビューによるロスターの混雑、デバースの契約の重い負担、そして今春からのコンバート騒動による関係悪化が理由にあると考えられている。
一方、ジャイアンツがデバース獲得を目指した理由はシンプルだ。ジャイアンツは単に強打者を必要としていた。
ナ・リーグ西地区でドジャースと鍔迫り合いを演じるジャイアンツだが、打線は強くない。チームOPSはMLB23位の.687。特にDHではMLB22位の.671と、プラスを生み出せていなかった。また、近年はアーロン・ジャッジやカルロス・コレアといった大物FAを取り逃がしてきた背景もあり、明確に違いを生み出せるデバースのようなスター選手、強打者は喉から手が出るほど欲しかったに違いない。バリー・ボンズ以来、20年以上もシーズン30本塁打を記録した打者が出ていないジャイアンツにとって、3度の30本塁打シーズンを送り、今季も30本塁打ペースのデバースはうってつけの存在だ。
そして、本職である三塁手からのコンバートを発端に球団と関係が悪化したとされるデバースだが、新天地でも本職に戻る見込みはなさそうだ。ジャイアンツの三塁には、現役最高の守備の名手に数えられるマット・チャップマン(現在故障者リスト)がいる。そのため、デバースがフルタイムのDHを担い、DHに入ることが多かったウィルマー・フローレスが一塁へ。そして一塁で左打者のドム・スミスとプラトーンを組む布陣が考えられる。
一方、ジャイアンツがデバース放出のために差し出した交換要員には、超が付くほどの有望株は含まれていない。ジャイアンツはデバースの契約を全額引き受ける代わりに、対価の放出は控えめで済んだ。
交換要員の中で最もメジャー経験があるのが、28歳のジョーダン・ヒックス。2027年まで続く4年4400万ドルの契約下にあるヒックスは、今季13登板で防御率6.47と振るっていない。しかし、xERAは3.87、FIPは3.59と内容は優秀。先発・救援のどちらもで起用でき、投手デプスが課題のレッドソックスにとってはフィットする存在だ。
そして、23歳のカイル・ハリソンもメジャー3年目。2023年には米公式サイト「MLB.com」で球界18位にランクインした元トップ・プロスペクトだ。ただ、MLBでは通算防御率4.48とまだポテンシャルを開花できておらず、今季も8登板で防御率は4.56。今季は球速がアップして奪三振力が改善されたが、痛打されやすい点や制球はまだ課題と言える。
3番目のピースであるジェームズ・ティブスは、ジャイアンツの組織内でも高評価の有望株。2024年ドラフト1巡目で入団し、既に米公式サイト「MLB.com」では球団4位にランクインしている。洗練された打力が持ち味の外野手で、今季はA+級の56試合で12本塁打、OPS.857と売り出し中だ。
そして、ホセ・ベヨはルーキーリーグでプレーする20歳の投手。今季はアリゾナ・コンプレックス・リーグで8登板で防御率2.00、奪三振率41.8%と頭角を現している。スライダーを武器とし、先発4,5番手への成長が見込まれている。