レイズが球団売却へ 地元開発業者のグループとの独占交渉へ
2025.6.19 16:19 Thursday
日本時間6月19日、レイズの筆頭オーナーであるスチュアート・スターンバーグ氏が、フロリダ州ジャクソンビルに本拠を置く開発業者パトリック・ザルプスキ氏と、球団売却の独占交渉に入った。第一報を「スポルティコ」のカート・ベイデンハウゼン記者が伝え、米公式サイト「MLB.com」も報じている。昨秋のハリケーンの被害で本拠地球場が破損、さらに今春には新球場計画も中止に追い込まれ、手詰まりとなっていたレイズのオーナー陣は、球団売却へと舵を切ったようだ。
レイズは声明の中で「タンパベイ・レイズは、パトリック・ザルプスキ氏、ビル・コスグローブ氏、ケン・バビー氏、そしてタンパベイの著名な投資家らが率いるグループと、球団売却の可能性について独占交渉を開始したことを発表しました。レイズも同グループも、協議中はこれ以上のコメントは控えさせていただきます」と述べた。第一報を出した「スポルティコ」によれば、すでにザルプスキ氏は球団買収の意向書にサイン済み。この取引に置けるチームの価値は17億ドルと見込まれているという。
スターンバーグ氏率いるレイズは、低予算ながらデータ分析を駆使した戦略を用い、金満の強豪に引けを取らない結果を残していることで知られてきた。しかし、20年近く努力を積み重ねてきたものの、レイズは客を呼び込み、収益を改善させられる新球場を建てることができていない。そして、今春に起こった現行の新球場計画の破綻は、ついにオーナーを球団売却に追い込んだ。
今年3月、スターンバーグ氏は現本拠地のセント・ピーターズバーグ市での新球場計画の中止を発表。周辺コミュニティの再開発を含む一大プロジェクトは、昨秋にレイズの本拠地トロピカーナ・フィールドを襲った2つのハリケーンの影響により、資金調達のプロセスが遅延し、プロジェクトの総コストが増加。さらにはレイズのオーナー側とセント・ピーターズバーグ市とピネラス郡側の関係が悪化してしまっていた。
さらに、3月には「ジ・アスレチック」がロブ・マンフレッド・コミッショナーと複数の球団オーナーが、スターンバーグ氏に球団売却を迫ったことを報じていた。セント・ピーターズバーグ市への球場建設計画が頓挫し、さらに球団売却を迫られるという窮状で、スターンバーグ氏は球団の売却を決断したようだ。
仮に球団売却が完了し、新体制になれば、レイズの新球場計画は進展を見せる可能性が高い。現在、ヤンキース傘下のジョージ・M・スタインブレナー・フィールドを間借りしているレイズは、来季は修復したトロピカーナ・フィールドに戻る見込み。2028年終了まではトロピカーナ・フィールドの使用契約が有効で、新球場へ移るのはそれ以降になるかもしれない。