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ロイヤルズ・カグリオーンがメジャー初アーチを含む1試合2本塁打

2025.6.20 10:12 Friday

【ロイヤルズ4-1レンジャーズ】@アーリントン/グローブライフ・フィールド

 日本時間6月19日、トップ・プロスペクトのジャック・カグリオーン(ロイヤルズ)は3週間前にMLBデビューして以来初めて、スタメンを外れた。マット・クアトラーロ監督は有望株にメンタルをリセットする機会を与え、試合準備や試合中の調整といったものからカグリオーンを解放し、違った視点から試合を見させようとしたのだった。

 カグリオーンは本当の休息を取るために「今日はスイングしない」と自分に言い聞かせていたという。しかし、それは無理だとすぐに諦め、追加の練習を行うために球場に早く現れた。

 集中力を高めた打撃練習を行い、ダグアウトから試合を観戦して翌日に備えたカグリオーンだったが、日本時間6月20日に敵地グローブライフ・フィールドで行われたレンジャーズ戦で早速その成果が出た。カグリオーンはチームが4-1で勝利した試合でメジャー初アーチだけでなく2本の本塁打を放ち、敵地アーリントンでは2003年7月11~13日以来となる3連戦スイープに貢献したのだ。

 二回表の第1打席、カグリオーンは飛距離387フィート(約118.0メートル)のメジャー初本塁打を放った。九回表には2本目のアーチを放ち、自身初の1試合2本塁打を記録。この2本目のアーチは右中間スタンドに飛び込み、飛距離439フィート(約133.8メートル)を計測した。

 MLB初本塁打を含む1試合2本塁打をマークした選手は、カグリオーンが球団史上4人目。ロイヤルズでは過去に、1969年のジム・ルーカー、1979年のU・L・ワシントン、そして1999年のマーク・クインが達成している。

 カグリオーンが初本塁打を放つまでにかかったのはわずか14試合。しかし、マイナーで本塁打を連発してMLB昇格を勝ち取ったパワーヒッターにとって、初本塁打を待つまでの時間は少しずつ苦痛になり始めていた。

 カグリオーンは「(初本塁打のことは)考えないようにしていた。でも、日が経つにつれて、徐々に意識するようになっていた。(初本塁打を打つことができて)ちょっと安心したよ」と素直な感情を明かした。

 カグリオーンの初本塁打は彼の異次元のパワーを発揮したもの、2本目の一発は左打席からのスムーズなスイングで失投を逃さず捉えたものだった。2回表、カグリオーンはレンジャーズの左腕ジェイコブ・ラッツが投じた95.5マイルの速球を右中間へ運んだが、打ったのは地面から4.22フィート(約1.3メートル)という高めのボール球。ピッチ・トラッキングが開始された2008年以降、ロイヤルズの選手が本塁打を打った球としては2番目に高いボールだった。

 カグリオーンは「僕が(打撃コーチのアレック・ザムウォルトと)計画していたのは、相手投手をゾーン内に導くことだった。ビデオを見返すまで、あんなに高いボールだとは気づかなかったよ」と自身の初本塁打を振り返ったが、自慢のパワーを遺憾なく発揮した見事な一撃だった。

 打球がレンジャーズのブルペンに着弾すると、カグリオーンはニコリと笑って素早くベースを一周。しかし、ダグアウトに戻ったカグリオーンを待っていたのは、チームメイトの「サイレント・トリートメント」による祝福だった。

 カグリオーンは一人ひとりにハイタッチする素振りを見せながらダグアウトを歩いたが、その時間は「永遠」のように感じられたという。最終的にはダグアウトの端でサルバドール・ペレスがカグリオーンに抱きつき、それを合図としてボビー・ウィットJr.ら他の選手たちもカグリオーンを祝福した。

「彼が初本塁打を打ちたがっていたことは僕たちも知っていたからね」とウィットJr.は期待の有望株が放った待望の一発を喜んだ。

 カグリオーンは日本時間6月4日にMLBデビューを果たし、出場2試合目で初安打となる二塁打を放った。ところが、MLB全体10位の有望株は今日の試合が始まる前の時点で打率.196、出塁率.212、長打率.235、わずか2打点とスロースタートになっていた。

 しかし、ロイヤルズの選手たちはそんなカグリオーンを見守り、優しい声をかけていた。ウィットJr.は「彼は早くから球場にきて、自分の仕事をこなし、成長しようと努力していた。メジャーリーグでは常にアジャストしていくことが必要になる。彼はそれを実践してきた。彼に『ペースを落としてもいい。自然に任せなさい』と言ったくらいだよ」とカグリオーンとのコミュニケーションを明かしている。

 カグリオーンが2本目のアーチを放ったあと、今度はロイヤルズの選手たちが通常通りに祝福した。カグリオーンの圧倒的なパワーがMLBデビューを飾った今、ロイヤルズの選手たちが彼の本塁打を祝う場面は増えていくかもしれない。

 カグリオーンの活躍もあり、ロイヤルズはレンジャーズに4-1で勝利。本拠地で喫した6連敗を脱出し、敵地でのレンジャーズ3連戦を見事にスイープした。カグリオーンの2本塁打のほか、初回にはビニー・パスカンティーノが先制の11号2ラン。援護を受けた先発のマイケル・ワカは6回2安打1失点の好投でチームを3連勝に導いた。

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